大人の学び~発展しつづける人生のために
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生き方を変える時代へ――リスキリングに求められる自律性
大人の学び~発展しつづける人生のために(5)大人のリスキリング
理論だけ理解しても処方箋は出てこない。よりよい選択ができるようになるためには、現実に合わせなければいけない。そこで昨今注目を集めているのが大人のリスキリングだが、リスキリングとは「自分の使い方を変えて、次の使い方を決めること」だと為末氏は言う。いったいどういうことなのか。そもそも会社が方向転換するために必要とされていたリスキリングが個人に向けられるようになった今、その意味について真摯に問い直す。(全6話中第5話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
※収録時の事情により、一部動画内に揺れが生じている箇所がございます。ご了承ください。
時間:12分53秒
収録日:2024年2月18日
追加日:2024年8月5日
≪全文≫

●よりよい選択のためには、理論だけ理解しても処方箋は出てこない


―― (ここまで)いろいろなお話をいただいた中で、具体的に一つ、例示的なもので教えていただくと、よりお聞きいただいている皆さんのイメージが広がりやすいかと思います。

 ちょうど、この(2024年)3月上旬には、先ほどお話も少しありましたが、『東大教授がゆるっと教える独学リスキリング入門』(柳川範之著、中央公論新社)という本をご発刊になるとお聞きしています。こちらの本でお書きになった事例でももちろん大丈夫ですし、あるいはご自身の研究されている経済学に大変好奇心を持った人が学んでみようというときに、どのような「型」が役立つのか。例えば、名著といわれるものをいくつか読んでいって、その体験と現実を交互に行き来するのか。そのように、何かイメージできるようなお話をいただけると大変ありがたいのですが、いかがでしょうか。

柳川 ありがとうございます。実は10年以上前に、自分の経験をもう少し書いた本を出していて、この本はその増補版のような形になっています。

 私自身は経済学者として、経済に関心を寄せているわけですが、そもそも関心を持った理由は、先ほど言ったように、世の中には実にさまざまな経済活動や社会活動があふれている。それらは、個別論としてはいろいろな議論があるが、バラバラではどうしても語りにくい。ところが、経済学の理論モデルを使うと、すっきりと骨が(枠組みが)分かる感じがする。それが非常に面白かったのです。

 もともと私は会計士になろうと思っていて、中卒で10年ほどシンガポールやブラジルにいた経験があるのですが、途中からは方向転換して、経済学のほうが面白くなってしまいました。その大きな理由は、やはりそういう複雑な現象を抽象的なモデルにすることで、すっきり理解できるところにあります。

 それこそ金融政策やインフレ、物価はどうやって決まるのか、あるいは価格とはどのように上下するのか、似たようでいてなかなか分からない話です。しかし、理論モデルで考えていくと、「なるほど、こういうメカニズムになっているのか」ということが分かっていくのだと思います。

 ところが、例えば今であれば、デフレ脱却やインフレ対策について、実際にどういう政策がいいかと、さまざまな議論が交わされています。かなり多様な議論があふれているのを、皆...

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