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前立腺ガンの進行を止めるための三次予防

「人生100年時代」の抗加齢医学と前立腺ガンの予防

堀江重郎
順天堂大学医学部大学院医学研究科 教授
情報・テキスト
人生100年時代の到来が近年、叫ばれている。100年という時間の中で生じる変化は女性の方が適応しやすいともいわれている。それに対して男性は、どのようなライフスタイルを築けば良いのだろうか。来たるべき人生100年時代の抗加齢医学、そして増加する前立腺ガンの予防について学ぼう。
時間:14:35
収録日:2018/11/15
追加日:2019/02/11
≪全文≫

●人生100年時代における3つの資産


 皆さん、こんにちは。順天堂大学の堀江です。今日は、人生100年時代における、男性のアンチエイジングについて考えてみたいと思います。

 アンチエイジングに関する医学を「抗加齢医学」ともいいますが、現在私は日本抗加齢医学会という、アンチエイジングを研究する医師、医学者の団体の理事長をしています。今日は男性のアンチエイジングということで一緒に考えてみましょう。

 現在、リンダ・グラットン先生が書かれた『ライフ・シフト 100年時代の人生戦略』という本が30万部を超えるベストセラーになっていますが、この中でリンダ・グラットン先生は3つの資産が100年時代に重要だといっています。

 1つ目は生産性の資産、2つ目は活力資産、3つ目は変身資産です。最初の生産性の資産は、簡単にいえば学歴、あるいは職業上の経験のことです。要するに、ご飯を食べていくためのスキルということになります。

 2つ目の活力資産は、自分が100年間やる気を持っていろいろなことに取り組み、生活をしていくという人間の内面、あるいはメンタル、サイコロジーに関連したことです。

 3つ目の変身資産ですが、おそらく今後、人生のいろいろなステージに応じて、ライフスタイル、あるいはワークスタイルが変化していくだろうということで、例えば私たちの分野でいえば、最初は外科医だったけれども、その後内科医になるかもしれません。あるいは健康に関するコンサルティングをするようになることも考えられます。つまり、人生のいろいろな時期に応じて、働き方が変わってくることを変身資産といっているのです。

 これらの資産は、いわゆるお金や土地、株であるといった目に見える資産ではないということから、「intangible assets」、触れることができない資産といわれます。


●人間の集団の中におばあさんがいると、より繁栄しやすい


 しかし、人生100年時代、むしろ女性は100年間いろいろ変化しながら生活できるということに、もともと適していると思います。女性の場合、成長していくと、生殖年齢、また子どもを育てる年齢になるわけですが、全ての女性がある時期でこれを卒業します。医学的には、いわゆる生理の周期が終了するということで「閉経」といいますが、これはDNAに書いてありますので例外なく全ての女性がそういう道筋をたどることになります。では、なぜDNAに書いてあるかというと、閉経した後の生活、人生に基本的に意義があると認められているといえるかもしれません。

 興味深いことに、例えばゴリラやチンパンジーもほぼヒトと同じ50才ほどで閉経になりますが、ゴリラやチンパンジーは50才で死んでしまいます。ですから、閉経即人生ということで、ヒトではないので人生といえるか分かりませんが、ライフスパンが終わってしまいます。ところがヒトは、(人生100年時代になると)おそらくその後また50年間ほど生きていくということで、その50年間の役割があるということです。

 面白いことに、ヒトの場合、おばあさん効果ということが知られています。要は人間の集団の中におばあさんがいると、その集団はより子どもが作りやすい、より繁栄しやすいということです。これについてですが、霊長類の中でもヒトは非常にユニークな動物ですが、他の動物では海にいるシャチにもそういう効果があるといわれています。

 例えば女性の場合、認知症の率が男性より高いということはお聞きになった方もいらっしゃるかと思いますが、実は65歳までを見ると、男性の方が女性より認知症になる率は高いのです。しかし、65歳を超してくると、今度は女性の方が認知症になってくる率は高いです。面白いのは、65歳は孫の子育てがだいたい終わる時期だということです。第一子を産む年齢は現在いろいろな意味で遅くなってきており、だいたい28歳くらいです。ただ、それを25歳、その子どもが第一子を産むときの年齢を50歳と考えますと、65歳で孫の子育てはおおむね終了しているという形で、そこまではおばあさんががんばっているということになります。


●認知症になりにくい遺伝子の効果は女性の方が高い


 また遺伝子を調べますと、遺伝子の中のある特定の部分だけが、人によって違うということが分かっています。これを医学的な言葉で「一塩基多型」といいますが、多型とは形が多いということです。例えば、人間とチンパンジーは90数パーセント遺伝子が一緒とよくいわれますが、実はその遺伝子の中のある部分は違いますし、それは人によっても違うということが分かっています。それがいわゆる体質というものに...
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