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普通の足の形で速く走れる義足を目指して!

義肢装具士の世界と義足作り(1)義肢とは何か?

臼井二美男
義肢装具士・切断者スポーツクラブ「ヘルス・エンジェルス」代表
情報・テキスト
“手や足を失った人に、健常者と同じ生活を”―義肢装具士で切断者スポーツクラブ「ヘルスエンジェルス」代表を務める臼井二美男氏が、義肢装具士の世界と進化し続ける義足作りの技術についてレクチャーする。第一回目は、臼井氏が義足作りに関わるきっかけと義足の現状を語る。(全2話中第1話)
時間:19:28
収録日:2016/07/19
追加日:2016/08/26
“手や足を失った人に、健常者と同じ生活を”―義肢装具士で切断者スポーツクラブ「ヘルスエンジェルス」代表を務める臼井二美男氏が、義肢装具士の世界と進化し続ける義足作りの技術についてレクチャーする。第一回目は、臼井氏が義足作りに関わるきっかけと義足の現状を語る。(全2話中第1話)
時間:19:28
収録日:2016/07/19
追加日:2016/08/26
≪全文≫

●義肢作りのきっかけになった恩師との思い出


 義肢装具士の臼井二美男です。鉄道弘済会義肢装具サポートセンターで、今は研究開発室長も兼任してやっています。入社して、今度で33年たちます。最近はスポーツ義足を作る専門家として、いろいろな選手の人が相談に来ます。とはいえ95パーセントは、一般の切断者の人の義足を作っています。

 33年前、僕が28歳の時、それまでいろいろな仕事をしていて、今でいえばフリーターのような身分だったのですが、やはり手に職を付けようということでいろいろと探したことが、この仕事に入るきっかけです。その時に思い出したのが、小学6年生の時の担任の先生でした。

 その先生はまだ大学を出たばかりで、当時23歳くらいでしょうか。赴任して僕たちのクラスの担当になった年に、悪性腫瘍になり、大腿切断ということになってしまいました。先生は学校をしばらく休んで、僕たちが卒業する頃に学校に戻られたのですが、その時に、義足を履いていると言って、重そうな足をひきずるようにしてクラスに入って来たのです。その後、「臼井君、ちょっと触ってみる?」と言って、足を少し触らせてくれたのです。その時の硬い感触のようなものを思い出しました。それが義足作りの仕事についてみようかなと思ったきっかけです。

 それから、直接この職場(当時)へ見学に行きました。その時ちょうど欠員があったので、見習いから始めました。それから33年たって、今に至っています。本当に恵まれていたと思いますが、今から20年ほど前に、その先生にお会いすることができました。今は、その先生の義足を作らせてもらっています。


●最近の義足の主流は、ワンタッチ式


 義足にもたくさんの種類があります。本当は義「足」ばかりではなく、義「手」もあります。要するに体の欠損した部分、切断した部分を補うものを義肢といいます。

 装具は他にもいろいろとあります。手はあるけれども麻痺があるといった、いわゆる機能障害という状態のためのものもあります。形としてはあるけれども、けがや病気で機能しない、そうした場合に補助するものを装具というのです。僕が主に作っているのは、その中で義肢、つまり義手や義足です。特に、義足を中心にやらせていただいています。

 繰り返しになりますが、切断を補うためのもの全般を義肢といいます。そのうち、手に付けるのは義手、足に付けるのは義足です。テーブルの上にいくつかありますが、例えば足の場合、いろいろな事故や病気により、指1本だけない人、あるいは2本だけない人など、切断の種類はあらゆるレベルに至ります。

 大きく分ければ、膝下の場合、膝より下の切断を下腿切断といいます。以前であれば、膝小僧にバンドを引っ掛けるタイプでした。引っ掛けることを懸垂といいますが、バンドが膝小僧にうまく引っ掛からないと抜けてしまいます。これまでは、こういったバンド式の義足がほとんどだったのですが、ここ最近15年ほどですが、バンドを使わないものも出てきました。

 中に入っているのはシリコーンライナーで、残っている足の太さに合わせて、いろいろなサイズがあります。まず、シリコーンライナーを断端という残された足の部分に付けます。付けた後にぐっと力を入れると、中にコネクターがあるので、シリコーンライナーのピンとコネクターがカチャッとはまるようになっています。これで完全に懸垂されます。こういう付け方が、最近の主流になっています。

 外すときは、ボタン...
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