意思決定プロセスに見る日米比較
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
アメリカ海軍の意思決定プロセスに学ぶ
意思決定プロセスに見る日米比較
山下万喜(元海上自衛隊自衛艦隊司令官)
日本人からすると、一見迂遠な手続きに見える意思決定プロセスは、多様な出自を持つ人が出すさまざまなアイデアをまとめ上げていくためのアートだ。アメリカ人の身体に染み付いている意思決定プロセスから、日本人の決断思考に足りないものが見えてくる。海上自衛隊幹部学校長・山下万喜氏による、意思決定プロセスの日米比較論。(インタビュー第1話目)
時間:15分44秒
収録日:2015年6月15日
追加日:2015年10月15日
≪全文≫

●意思決定プロセスから捉える戦史


―― 今回のシリーズ講話は、分かりやすく整理されていますね。こういう言い方をした人はいないですね。

山下 そうですね。1話10分程度で理解してもらうために内容を圧縮しているので、歴史に詳しい人からすると不満な部分もあるかと思いますが、「意思決定のプロセス」というところに重きを置いています。ですので、そこを理解してもらえればと思います。

―― これはすごく分かりやすいですね。

山下 後のシリーズもこういう形でポイントが分かるようにしたいと思っています。

―― こういうものが整理されたものは、今までに無いですよね。

山下 ものとしては無いですよね。歴史を研究している方はどうしても史実に忠実になり、それを評価しますので。教訓として残るにしても、それを実戦にどう適応するかという意味では、このようなまとめ方をしているものは、おそらく無いと思います。今回チャレンジするにあたり、うちの職員や関係者を総動員して、アンケートを取りました。

―― いや、すごく分かりやすいです。今までも、防衛研究所でこのようなことはやっていなかったですよね。

山下 そうですね。防研などでも作戦用務と部隊運用という二つの観点を並べて見るというのは、なかなか得意な人がいるわけではありません。海上自衛隊幹部学校は、単に普通のシンクタンクではない部分、いかに歴史上の事実を部隊運用や防衛力整備に反映させていくかという部分では扱っている分野が違うし、それはわれわれ制服を着ている者がやるべきことだと思います。そういう意味で、防研や他の大学やシンクタンクで似たようなものはあると思いますが、10分程度にどうやってまとめるかということについては、無いのではないかと思います。

―― 戦略が分かると、ぐっと濃密になりますよね。

山下 どこを言わなければいけないか、どこを伝えるかという意味で、制約そのものが逆に良い効果になっているのではないかと思います。

―― 戦史はたくさんありますが、戦っている人が実際に書いているわけではないから、山下さんが言われた「自分が東郷平八郎だったら」というまとめ方にはなかなかならないですよね。

山下 「自分が」という立場になるときに、自衛隊の立場からすると、そのときの場面を頭に描きながら「自分はどうだ、自分はどうだ」ということを繰り返し問います...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
日本のエネルギー&デジタル戦略の未来像(1)電動化で起こる「カンブリア爆発」
日本のエネルギー政策を「デジタル戦略」で大転換しよう
岡本浩
クーデターの条件~台湾を事例に考える(1)クーデターとは何か
台湾でクーデターは起きるのか?想定シナリオとその可能性
上杉勇司
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い
外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか
小原雅博
ポスト国連と憲法9条・安保(1)国連の構造的問題
核保有する国連常任理事国は、むしろ安心して戦争できる
橋爪大三郎
為替レートから考える日本の競争力・購買力(1)為替レートと物の値段で見る円の価値
ビッグマック指数から考える実質為替レートと購買力平価
養田功一郎
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2025(29)歴史作家の舞台裏を学べる
歴史作家・中村彰彦先生に学ぶ歴史の探り方、活かし方
テンミニッツ・アカデミー編集部
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(6)曼荼羅の世界と未来のネットワーク
命は光なのだ…曼荼羅を読み解いて見えてくる空海のすごさ
鎌田東二
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
内側から見たアメリカと日本(6)日本企業の敗因は二つのオウンゴール
日本企業が世界のビジネスに乗り遅れた要因はオウンゴール
島田晴雄
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――認知行動療法とポジティブ・ルーティーン
西野精治
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(1)内戦と組織動乱の構造
カーク暗殺事件、戦争省、ユダヤ問題…米国内戦構造が逆転
東秀敏
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ