●展示室案内(解説:多摩六都科学館 研究交流グループ グループリーダー 伊藤勝恵氏)
・展示室1:チャレンジの部屋
・展示室4:自然の部屋
・展示室5:地球の部屋
●プラネタリウム バーチャル鑑賞(解説:同 天文チーム 解説員 糸瀬千里氏)
では、これから時間を進めて、日の入りを迎えていきます。
8月の日の入りの時刻は、およそ午後6時台となっています。午後7時ごろはまだ明るいかもしれませんが、午後7時半、8時くらいになると、だんだん星が見えるようになってきます。東京でもここまでの星は見えませんが、明るい一等星であれば、また三等星ぐらいであれば、見つけることができるかと思います。
今年の夏、見ごろなのは、南西の方角に惑星が二つ見えています。望遠鏡で見ると、こちらの火星と土星は、赤い様子や輪のある様子も見ることができます。望遠鏡がなくても明るい星たちですので、惑星は目で見てすぐに見つかります。ただ、惑星は、星座をつくっている星の中を逃げ惑うように見えますので、いつも同じ場所にあるわけではありません。「惑うように見える」ということから「惑星」と呼ばれています。
今年の夏は、火星・土星のあるところには、夏の代表的な星座・さそり座が見えています。さそり座の目印は、赤い色の一等星・アンタレスです。土星の少し南寄りにあるこちらがアンタレス。アンタレスを見つけたら、そのすぐ西寄りに明るい星が三つ、縦に並んでいます。こちらがサソリの頭、アンタレスの辺りが体で、その先にはくるっと曲がった長い尻尾があります。サソリのちょうど心臓の辺りにアンタレスが輝いています。こちらのサソリは、冬の星座としても有名なオリオン座の狩人・オリオンを刺し殺してしまったことで有名です。オリオンは今でもサソリのことを怖がって、サソリが夜空にいる夏のうちは、空のどこを探しても見つけることができません。サソリが沈んで見えなくなった頃、安心して冬の夜空でオリオン座を見つけることができます。
そして、サソリのすぐ東側、サソリを狙っているように、また一つ星座が見つかります。六つの星がひしゃくの形に並んでいる南斗六星といいます。北の空に見られる北斗七星が有名ですが、こちらはその反対側の南の空に見える、ひしゃくの形をした六つの星ということで、南斗六星と呼ばれます。
南斗六星を目印として、周りの星をつないでみますと、ここにはいて座が見つかります。弓矢を射る者のことを「射手(いて)」といいます。こちらは半人半馬の伝説の生き物・ケンタウルスの星座です。ケンタウルスの中でも、こちらはケイロンという名前です。
さそり座から天の川を上っていって頭の真上近くに、一等星三つでつくるのが、夏の大三角です。「夏の空で見える大きな三角」ということですが、この大三角のような目印は他の季節にもあります。秋ですと秋の四辺形、冬は冬の大三角、春は春の大三角と、それぞれの季節に目印となる星の並びがあります。
この夏の大三角をつくっている三つの星の中でも一番明るい星は、三つの中で一番西寄りにあるベガという星です。ベガの周りの星をつないでいくと、こと座が出来上がります。「こと」といっても日本で使われているお琴とは違って、西洋で使われていた竪琴「リラ」という楽器です。ことの名手・オルフェイスが持っていたことだとされています。
こと座のベガから離れている方の星がアルタイルといいます。アルタイルの周りの星をつなぐと、ここには鳥の星座・わし座が見つかります。鳥の鷲だけではなく人間の男の子もいますが、名前をガニュメデスといいます。ガニュメデスはとても美しい少年でした。神様の王様・ゼウスがガニュメデスを気に入って、ガニュメデスを神様の世界まで連れて行ってしまいます。ゼウスは力持ちの鷲の姿に変身してガニュメデスを連れ去っていく、その様子がそのままわし座になりました。
わし座のアルタイルからまた北の空へと移ったところにあるのが、三つ目の星・デネブといいます。デネブからは周りの星を十字の形につないでいきます。デネブが尻尾の星、隣がお腹の星で、お腹から両脇に大きな翼を広げます。そして尻尾と反対側に長い首が伸びて、その先にはくちばしがあります。南半球で見られる南十字とあわせて、こちらは北十字ともいわれます。ここにあるのがはくちょう座です。ちょうど白鳥のくちばしや尻尾の辺りにある星ということで、そのままの名前が付けられました。はくちょう座のくちばしの星はアルビレオといいますが、望遠鏡でのぞいてみると、二つの星が並んで見える不思議な星となっています。こちらは二重星(連星)と呼ばれています。黄色い星と青い星は、サファイアやトパーズといった宝石にも表されます。
この夏の大三角のベガとアル...