2017年解散総選挙の意味~小池新党は台風の目となるか
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
小池新党に不意打ちを食らった自民党の誤算
2017年解散総選挙の意味~小池新党は台風の目となるか
曽根泰教(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
2017年9月25日、安倍晋三首相の解散表明と同時に、小池氏は新党「希望の党」の結成を発表した。政治学者・慶應義塾大学大学院教授の曽根泰教氏は、かねてより小池百合子氏は「2017年の日本新党」という路線を歩んでいるという説を唱えてきたが、はたして小池新党が今回の選挙で台風の目となるのか。安倍首相が持ち出した解散理由とともに、小池新党の可能性について解説する。
時間:12分17秒
収録日:2017年9月28日
追加日:2017年10月6日
カテゴリー:
≪全文≫

●不意打ちを食らわせようとした自民党が不意打ちを食らった


 衆議院が解散総選挙になりました。これをどのように理解すべきか、お話します。

 2017年8月、第3次安倍第3次改造内閣が発足しましたが、これは7月に行われた東京都議会議員選挙での自民党の惨敗を受けてのものでした。その後、総選挙を模索する動きと非常に関連することとして、支持率がそのまま低下し続けるだろうという見方と、都議選の時が底で徐々に回復していくだろうという見方がありました。

 いくつかの世論調査によれば、自民党・安倍内閣への支持率は回復しています。ただし、人柄が信頼できないというアンケートの数字は、まだ本当の意味では回復していません。こうした背景の中で、総選挙が模索されていたわけですが、そこにはさらに2つの要因があります。第1に、小池百合子氏が新党を結成するのにはまだ時間がかかるだろうという予測です。第2に、民進党のつまずきです。山尾志桜里氏を幹事長にしようとしたところ、彼女が不倫騒動で離党せざるを得なくなりました。前原誠司代表のもとでの民進党が、もたつきを見せたのです。

 自民党としては、ここで選挙をすれば勝てるだろうという読みだったと思います。不意打ちを食らわせようとしたわけですが、しかしながら、反対に小池新党によって不意打ちを食らってしまったというのが、今の状態です。


●選挙で勝てるときを見計らって、解散時期を模索していた


 安倍晋三首相が実際に何を考えているのかは分かりませんが、心象風景を説明することはできます。安倍首相がしたいことは、2つです。第1に、2018年に行われる自民党総裁選での3選です。そこで勝った上で、オリンピックを迎えたいと思っているでしょう。第2に、憲法改正です。任期中に憲法改正をするということが、希望としてあるでしょう。ただし、選挙の時期を探ることはなかなか困難でした。それが今年(2017年)であろうが来年(2018年)であろうが同じことです。

 選挙の時期を探る際、いくつか考えなければならない要素があります。一つは、総裁選の前か後なのかということです。憲法改正をする場合、国民投票の時期もあります。さらに、天皇陛下の退位問題があります。退位なさるのが2018年12月なのか2019年3月なのかは分かりませんが、その時期に解散総選挙を行うのは難しいでしょう。あるいは、2019年10月には消費税を10...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
2025年、どん底日本を脱却する大戦略(1)日本が凋落した要因を総覧する
日本凋落の「7つの要因」と「10の復活大戦略」
島田晴雄
財政問題の本質を考える(1)「国の借金」の歴史と内訳
いつから日本は慢性的な借金依存の財政体質になったのか
岡本薫明
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
マルクス入門と資本主義の未来(1)マルクスとはどんな人物なのか
マルクスを理解するための4つの重要ポイント
橋爪大三郎
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い
外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか
小原雅博

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2025(27)なぜ何回説明しても伝わらない?
なぜ伝わらない?理解の壁の正体を今井むつみ先生に学ぶ
テンミニッツ・アカデミー編集部
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(2)量子論と空海密教の本質
脳内の量子的効果――ペンローズ=ハメロフ仮説とは
鎌田東二
デカルトの感情論に学ぶ(1)愛に現れる身体のメカニズム
デカルトが注目した心と体の条件づけのメカニズム
津崎良典
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(2)バイアスの正体と情報の抑制
『100万回死んだねこ』って…!?記憶の限界とバイアスの役割
今井むつみ
内側から見たアメリカと日本(2)アメリカの大転換とトランプの誤解
偉大だったアメリカを全否定…世界が驚いたトランプの言動
島田晴雄
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(3)未解決のユダヤ問題
「白人vsユダヤ人」という未解決問題とトランプ政権の行方
東秀敏
徳と仏教の人生論(1)経営者の条件と50年間悩み続けた命題
宇宙の理法――松下幸之助からの命題が50年後に解けた理由
田口佳史
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦