グラフの座標軸は思想を表す
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縦軸と横軸に何を置くかで同じデータでも全く意味が異なる
グラフの座標軸は思想を表す
小宮山宏(東京大学第28代総長/株式会社三菱総合研究所 理事長/テンミニッツ・アカデミー座長)
折れ線グラフや棒グラフでデータの動向を見る手法は、どんな業界でも一般的に行われている。目標の達成度、対象別の比較など、数値の変化が教えてくれることは多い。しかし、新たな発想で、同じデータも全く違う意味を持つ。小宮山宏氏の実践から、「グラフの座標軸は思想を表す」ことを理解しよう。
時間:14分25秒
収録日:2014年5月14日
追加日:2014年6月19日
≪全文≫

●グラフは、縦軸と横軸の取り方で意味が変わる


 今日は、グラフの座標軸というものが思想を表すのだというお話をしたいと思います。縦軸に何を取るか、横軸に何を取るかによって、同じデータでも全く意味が違ってくるということです。

 例として、車の燃費がいったいどのぐらい向上するのかを考えてみましょう。

 私が以前に乗っていた古い車は、世田谷を走っていて8キロメートル/リットルぐらいの燃費でした。7~8年前にハイブリッド自動車に買い換えて、今は22キロメートル/リットルで走っています。8キロメートルから22キロメートルになると、同じ距離を走るのに3分の1のガソリンで済みます。エネルギー問題にとっては、莫大なよい影響を与えることになります。


●乗用車の燃費向上は、すでに達成されているのか


 それでは、未来の車はいったい1リットル当たりどのぐらいの距離を走るのでしょうか。

 この図(参照:乗用車の燃費向上)は、それを表すために国が作った図です。横軸には年代が取ってあり、縦軸に「キロメートル/リットル」と燃費が書いてあります。そして、実線がデータです。2010年度には1リットル当たり14.4キロメートル走るように、2015年度には18.6、2020年度は22.2という目標値が書き込んであります。

 ところが、データである実線部分を見てみると、2010年度にはすでに2015年度の目標すらクリアしてしまっているのですね。

 「いや、これは自動車会社がことさらに努力したからだ」と言われるかもしれません。確かにそういうこともあるでしょうが、おそらくは燃費の目標値自体がおかしいのでしょう。もっと高い目標値を設定することもできたはずなのです。


●燃費問題について正しい議論ができるグラフの作り方


 では、どのようにプロットをしたグラフを書けば、自動車のエネルギー効率がどこまで向上するのかという議論ができるのでしょうか。

 (参照:自動車のエネルギー効率は10倍になる)理論的に正しく自動車の燃費を表すプロットは、燃費の逆数です。キロメートル/リットルではなくて、その逆数でリットル/キロメートル。1キロメートル当たり何リットルのガソリンを消費するかです。この燃費の逆数を縦軸に取っていきます。

 横軸には、車の重さ(車体重量)を取ります。そうすると、タイヤやエンジン...

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