気候変動問題から考えるSDGs
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
「スコープ3」に注目、大手企業が取り組む気候変動対策
気候変動問題から考えるSDGs(2)「スコープ3」への取り組み
伊藤元重(東京大学名誉教授)
気候変動対策ではグリーン・ファイナンスやコーポレートガバナンスが主流だったが、企業の対応として注目されているのが「スコープ3」である。サプライチェーン全体の排出量を抑えていく姿勢は、企業や投資家などからの社会的信頼性を向上させていく結果、マーケティング手法としても有利だからである。(全2話中第2話)
時間:7分40秒
収録日:2022年4月7日
追加日:2022年6月13日
≪全文≫

●コーポレートガバナンスによる脱炭素への動き


 気候変動への対策や対応に限定して、もう一度お話をすると、すでにいくつか大きな動きが出てきています。

 中でも最も身近に感じられるのが、いわゆるグリーン・ファイナンスだろうと思います。つまり、気候変動にマイナスになる行動を取るような企業には投資がいきにくい。銀行もそちらへは融資しにくい。あるいは債権市場でもグリーン・ファイナンス・ファンドという形の資金を呼び込むことができない。ということで、そのような形で、金融そのものがマーケットメカニズムとして気候変動対応を誘導する役割を、かなり強く期待されています。

 それから、コーポレートガバナンスにも非常に関わってきています。例えば有名な例として、アメリカにエクソンモービルという世界最大級の石油メジャーの一つがあります。この会社の株主総会で「物言う株主」といわれる人たちが、炭素から脱却する「脱炭素」に積極的な立場を示している何人かの専門的経営者をエクソンモービルのボードメンバー(取締役会の役員)に推薦したことがあるのです。

 「物言う株主」はそれほど多くの株を持っているわけではないのですが、いわゆる機関投資家の大手であるブラックロックなどが、これに賛同しました。その結果、エクソンモービルは、脱炭素に熱心な経営陣として新たに3人を選ぶことになったのです。

 これがどういうことを意味しているかというと、エクソンモービルはもちろん石油精製等で非常に大きな利益を上げているわけですが、そういうビジネスをこの先もずっと続けていけるというものではない。次の時代は水素エネルギーなのか再生エネルギーなのか、いろいろな道があると思いますが、経営者としていかに早いタイミングで脱炭素するか、それに向けた手を打つことが、株主にとって好ましいことだという流れができつつあるわけです。


●情報開示と「スコープ3」への取り組み


 こういうことを進める上で非常に重要な役割を果たしているのが、いわゆる情報開示です。企業がどういう形で気候変動対策に取り組んでいるのか、さらにいえばSDGsに取り組んでいるのか。そのことを積極的に情報開示していく姿勢が求められるというのが、今の大きな流れになってきています。

 さらにいいますと、より一般の国民のみなさまが気候変動に対して積極的に対応する前向きな企業を支...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
クライン『ショック・ドクトリン』の真実(1)ショック・ドクトリンとは何か
100分de名著!?『ショック・ドクトリン』驚愕の印象操作
柿埜真吾
資産運用の思考法…経済や市場の動きをどう読むか
市場予測のポイント…短期・中期・長期の視点と歴史的洞察
養田功一郎
戦略的資本主義と日本~アメリカの復活に学ぶ5つの提言
戦略的資本主義とは?日本再生へアメリカに学ぶ5つの提言
片瀬裕文
本当によくわかる経済学史(1)経済学史の概観
経済学史の基礎知識…大きな流れをいかに理解すべきか
柿埜真吾
躍進するインドIT産業の可能性と課題(1)下請けから世界の中心へ
インドが世界有数のIT産業の拠点へと発展した理由
島田晴雄
経済社会と「隠れた価値」の行方(1)経済の中の価値
人間の幸福と「価値」…お金以外の「隠れた価値」をどう考えるか
吉川洋

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(31)鶴見太郎先生の「公開収録」のご案内
【公開収録のご案内】鶴見太郎先生:ユダヤ人と世界史…その歴史の教訓とは
テンミニッツ・アカデミー編集部
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(5)「3つ」で組まれた構造分析
驚くほど似ているギリシアの『オデュッセイア』とインドの『マハーバーラタ』…その謎に迫る
松村一男
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(1)神とは何か、そして天皇とは?
日本と世界の「神と信仰」の違いは?…そして天皇の大切な役割
橋爪大三郎
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
ギリシア神話の基本を知る(1)「ゼウス以前」の神々の戦い
ギリシア神話…ゼウスの「父親殺し」とオリュンポス十二神
鎌田東二
「ホメロス叙事詩」を読むために(1)ホメロスを読む
2700年前のホメロスの叙事詩が感動を与え続ける理由
納富信留
人生100年時代の「ライフシフト概論」(1)人生100年時代のインパクト
80歳まで現役でいるために大切なこと…人生100年時代の発想法
徳岡晃一郎
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(1)ポピュリズムの台頭と社会の分断化
デモクラシーは大丈夫か…ポピュリズムの「反多元性」問題
齋藤純一
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
日本の財政の真実を検証する(3)金利上昇の深刻な影響
金利が上昇した未来を10年スパンで見てみると…何が起きるか?
宮本弘曉