2015年イギリス総選挙の結果
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
予想とは異なる「保守過半数」という結果が意味するもの
2015年イギリス総選挙の結果
曽根泰教(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
2015年5月のイギリスの総選挙は、予想に反して保守党が過半数を獲得した。なぜ、多くの予想とは異なる結果となったのか。また、辛うじて政権を死守した保守党およびイギリスとしての課題は何なのか。政治学者・曽根泰教氏の分析により、イギリスの前途を俯瞰する。
時間:11分22秒
収録日:2015年5月25日
追加日:2015年6月1日
カテゴリー:
≪全文≫

●予想と大きく異なったイギリスの総選挙結果


 今回、イギリスの総選挙の結果をどう見るかというお話をいたします。

 今回の選挙は、保守党、労働党、いずれも過半数を取れないだろうと予想されていました。これは、イギリスの新聞やテレビなどの情報に基づいて、日本のマスコミもそう言っていましたし、われわれも、あるいはイギリス大使館も、過半数はどこも取れないのではないか、そして、取れなくなったときに、どう連立ができるのかという話が議論の的でした。ところが、結果としては、保守党が650議席のうちの331議席という過半数を取ったわけです。労働党が100議席くらい離されていたわけですから、大幅に予想と違ったわけで、これが一つの大きな結果でした。

 それからスコットランド国民党(SNP:Scottish National Party)は勝つだろう、躍進するだろうと言われていましたが、これは予想通りでした。また、保守党と連立を組んでいる自由民主党が議席を失うのも予想通りでした。世論調査ではそこそこの支持を得ることができる英国国民党、これはナショナリストパーティーですが、どちらかというと右派で、イギリス、ブリティッシュの方でスコットランド側ではありません。これも議席にはあまり反映されなかったということです。


●予想を狂わせた小選挙区制度


 では、なぜ予測が外れたのか。最近は、予測精度はどこの国もかなり高くなっているのですが、こんなに外れた理由は何かというのが、一つ関心があるところです。

 一言で言えば、小選挙区制度の効果が現れたということです。「小選挙区制度の効果」という言い方は変ですけれども、例えば、保守党だけではなくスコットランド国民党が、スコットランドで59議席のうちの56議席という大半の議席を取ったことは、実は小選挙区の効果なのです。つまり、各選挙区で票を集約していないと小選挙区では勝てません。50パーセント、51パーセントの過半数の票があれば、議席は確実に1議席確保できるのですが、なかなかそれだけ集中しているところがないと難しいということです。そういう意味では、地方政党の連合体があれば政権は取れるのですが、全国ばらばらで、その地方で過半数以上の議席を取る党同士の連立や連合は、なかなか難しいのです。


●鍵を握ったスコットランド国民党の動き


 ただ、今回、小...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
こどもと学ぶ戦争と平和(1)私たちに必要な想像力と戦争体験
戦争は絶対してはいけない…外交官の母が説いた平和の尊さ
小原雅博
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い
外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか
小原雅博
クーデターの条件~台湾を事例に考える(1)クーデターとは何か
台湾でクーデターは起きるのか?想定シナリオとその可能性
上杉勇司
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(1)内戦と組織動乱の構造
カーク暗殺事件、戦争省、ユダヤ問題…米国内戦構造が逆転
東秀敏
緊急提言・社会保障改革(1)国民負担の軽減は実現するか
国民医療費の膨張と現役世代の巨額の「負担」
猪瀬直樹
墨子に学ぶ「防衛」の神髄(1)非攻と兼愛
『墨子』に記された「優れた国家防衛のためのヒント」
田口佳史

人気の講義ランキングTOP10
哲学から考える日本の課題~正しさとは何か(1)言葉の正しさとは
「正しい言葉とは何か」とは、古来議論されているテーマ
中島隆博
AI時代と人間の再定義(7)AIと倫理の問題と法整備の可能性
AIに正しい倫理を学ばせるには?徳倫理学のススメ
中島隆博
編集部ラジオ2026(2)「時代の大転換期の選挙」特集を解説!
「大転換期の選挙」の前に見ておきたい名講義を一挙紹介
テンミニッツ・アカデミー編集部
これからの社会・経済の構造変化(4)日本企業の課題と組織改革の壁
日本の場合、トップダウンよりボトムアップで変えるべき?
柳川範之
おもしろき『法華経』の世界(10)未来への智慧と希望
「未来応化=どんな未来も大丈夫」…ブレない臨機応変の力
鎌田東二
逆境に対峙する哲学(8)白隠の覚悟
宮本武蔵「型を捨てろ」と「守破離」が教えてくれること
津崎良典
平和の追求~哲学者たちの構想(7)いかに平和を実現するか
国際機関やEUは、あまり欲張らないほうがいいのでは?
川出良枝
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(6)曼荼羅の世界と未来のネットワーク
命は光なのだ…曼荼羅を読み解いて見えてくる空海のすごさ
鎌田東二
徳と仏教の人生論(6)物事の本質を見極めるために
「境地は裏切らない」とは?禅の体験から見えてきたもの
田口佳史
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(6)政治と経済をつなぐ公共哲学
どのような経済レジームを選ぶか…倫理資本主義の可能性
齋藤純一