免疫の仕組みからポストコロナ社会を考える
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免疫パスポートの交付は抗体量を測定するだけでは難しい
免疫の仕組みからポストコロナ社会を考える(7)免疫と検査の実態
一口に免疫といっても、抗体に関していえば、善玉と悪玉などの違いがあり、それ以外の免疫系の働きも無視できない。総合的に見て、個人の免疫力の有無を正確に判断する方法はまだ存在しない。PCR検査や抗原検査も、検査対象、コスト、時間などさまざまな面で長所と短所があるので、これらを組み合わせて効果的な感染拡大防止対策を考えていく必要がある。(全11話中第7話)
※司会者:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:12分13秒
収録日:2020年6月4日
追加日:2020年7月2日
≪全文≫

●現在の検査結果だけで免疫パスポートを交付するのは難しい


―― (前回のお話では)また非常に重要な指摘をいただいたと思います。善玉抗体と悪玉抗体の区別は、なかなか普通の人は意識することが少ないかと思います。現在、新型コロナウイルスに関して、PCR検査をはじめ、さまざまな検査の可能性が議論されています。これらの検査では、先ほど先生が指摘されたように、善玉抗体と悪玉抗体は見分けられないという理解でよろしいでしょうか。

宮坂 今の検査では見分けられません。ただ、例えば東京大学の児玉龍彦先生をはじめ一部の研究者は、かなり感度の高い抗体測定キットを持っています。また、最近では、そのような抗体がどの程度ウイルスを殺す能力を持っているか調べ出していると思います。しかし、例えば国立感染症研究所や、現在抗体検査を大規模に行っている日本赤十字社などの検査では、抗体全体の量しか計測していません。

―― そうすると、抗体があると判定されたからといって、必ずしも感染しにくいことを指すわけではないということですね。現在、抗体の有無を示すパスポートを配布して、社会活動を正常化させる計画も、盛んに議論されています。しかし、その前提となるPCR検査や抗体検査でOKだったからといって、感染しにくいとは限らないという認識でよろしいのでしょうか。

宮坂 その通りです。PCR検査で陰性で抗体検査が陽性だったのであれば、ウイルスは存在せず抗体を持っており、感染から快復したと考えられる、という論法はよく耳にします。そこで、この人は抵抗性があるはずだということで、免疫証明書やパスポートを交付できないかという議論になりますが、先ほど指摘したように、抗体量を丸ごと計測した場合、本当に善玉抗体を持っているのか判別できません。したがって、免疫パスポートなどを現在の検査結果だけで交付するのは、基本的に難しいと思います。

 もし善玉抗体だけを計測できるようになり、感染を防ぐためにどの程度の量の善玉抗体が必要か分かると、善玉抗体を計測してパスポートを交付する可能性はあります。ただし、最初に指摘したように、私たちのウイルスを排除する能力は、自然免疫に分類される食細胞による能力、獲得免疫の司令塔であるヘルパーTリンパ球の能力、その結果、刺激されるBリンパ球とそれが産出する抗体、そしてキラーT細胞の四つです。これらがそろわなければ...

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