10MTVオピニオン|有識者による1話10分のオンライン講義
ログイン 会員登録
このエントリーをはてなブックマークに追加

アベノミクスの三本の矢の成果を振り返る

2017年世界と日本(6)第一次アベノミクスを振り返る

島田晴雄
公立大学法人首都大学東京 理事長
情報・テキスト
激動する世界情勢の中、日本国内ではアベノミクスが2015年9月から第二ステージへと進んでいる。では第一次アベノミクスは何をもくろみ、どう達成していったのか。公立大学法人首都大学東京理事長・島田晴雄氏が持論を交えながら振り返る。(2017年1月24日開催島田塾第142回勉強会島田晴雄会長講演「2017年 年頭所感」より、全11話中第8話)
時間:12:51
収録日:2017/01/24
追加日:2017/05/12
≪全文≫

●日本に世界の注目を集めたアベノミクス


 ここからは、世界がこういう状況になっている中で、日本はどうすればいいのか、という話をしたいと思います。世界から見た日本というと、今や「アベノミクス」一色です。

 その前の民主党政権ですが、野田首相は頑張っていましたあまり冴えませんでした。だけど、安倍首相に替わってからは、世界がとても注目しています。それは、やはり「金融と財政と構造改革でいく」という方針が分かりやすいからでしょう。

 2014年の春にパリでヨーロッパのインテレクチャル・ミーティングが開かれたのですが、それに参加して第二次成長戦略の中身について説明してほしいという依頼が、私にありました。50枚ぐらいのペーパーを書いて送っておいたところ、会場に入ると100人ほど人がそれを読んでいて、関心の高さを感じました。ちょうどECB(欧州中央銀行)のマリオ・ドラギ総裁が超金融緩和に踏み切った時だった影響もあるでしょう。日本に対する関心は非常に高まっています。


●クロダノミクスと財政政策の不協和音


 アベノミクスの三本の矢の第一は、金融(クロダノミクス)です。これは、とにかくベースマネーをどんと出して、為替レートも下げることで企業に元気を付け、インフレに誘導していくというものでした。株価は見事に上昇し、為替レートも下がったので、成果があったと思います。日本経済は明るくなりました。

 ただ、本当の狙いは、これまでずっとデフレが続いた国をインフレマインドにすることです。なぜなら、デフレの間は物の値段も下がりますから、「今買うより将来でいいでしょう、投資も将来でいいでしょう」となり、だんだんと経済が細っていきます。長いこと放っておくと死に至るような現象です。インフレだと、「消費は、いつしたらいいでしょう?」「今でしょ」となります。皆、背中に火が付いているからどんどん動いて活性化するだろう、というのが安倍晋三首相の見方で、リフレーショニスト(リフレ派)の考え方です。

 最初の1年ほどは良かったのですが、2014年の夏からは世界的な原油安になった影響もあり、日本ではCPI(消費者物価)がずっと停滞し、時々マイナスにもなったりしました。そこで、黒田東彦総裁も「もう一度、第二バズーカだ」と、ドカーンと金融緩和をしたり、マイナス金利を導入したり、大変苦闘しています。それでも当初の「物価上昇を引き起こし、インフレマインドを国民に植え付ける」という狙いは、必ずしも成功していません。

 もう一つは、財政政策です。経済が構造改革過程ですから、必要なときに必要なものをダイナミックに提供しなければいけません。そのために、本予算も全て史上最大になっています。例えば、東北の復興対策や消費税対策などに、何兆円かずつ出しています。「財政再建を掲げているのに、大丈夫ですか?」というと、あまり大丈夫ではありません。大丈夫ではないのを放っておくとどうなるかについては、後でお話しします。


●第一次から第二次へ、膨らむ日本の成長戦略


 したがって世間の期待は、成長戦略にかかります。金融政策は、期待感を変えるという一時的な政策です。財政政策は、大盤振る舞いしていると財政赤字を引き起こす。成長戦略は、構造改革によって潜在成長力と生産性を高めるわけですから、これはもう絶対に必要です。

 まず、2013年の最初に第一次成長戦略として「日本再興戦略」が打ち出されます。「日本産業再興プラン」「戦略市場創造プラン」「国際展開戦略プラ...
テキスト全文を読む
(1カ月無料で登録)
会員登録すると資料をご覧いただくことができます。