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「放牧型共育」――親と上司に求められるのは我慢

「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(4)「決める」技術(後編)

三谷宏治
KIT(金沢工業大学)虎ノ門大学院 教授
概要・テキスト
『〔新版〕一瞬で大切なことを伝える技術』(知的生きかた文庫:三谷宏治著、三笠書房)
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人生には選択がつきものだが、なぜなかなか決められないのか。決めるのは怖いものだし、また決め方をどこでも教わっていないからだ。ではどうすればいいのか。そのための方法を、家庭でのおこづかいを例に考える。また、子育てに関して、「放牧型共育」の実践から、決断までのプロセスを重視した思考法を解説する。(全4話中第4話)
時間:07:52
収録日:2023/10/06
追加日:2024/02/07
≪全文≫

●プロセスに着目し、決める怖さを乗り越える


 なぜ決められないのか。そもそも決める必要がないからだ、といいました。決めるのは怖いのです。そして決め方です。どこでも教わりません。

 家庭でいえば、親が決めるからです。そして、決める必要がないのは資源が無尽蔵だからです。これは、おこづかいのことをいっています。日本の子どもたちは、ほぼ8割くらい月定額のおこづかい制になっています。目的は何なのでしょうか。なぜ月定額のおこづかい制にしているのでしょうか。それは、その資源の中でどう生活していくかの意思決定と訓練のはずです。

 月1000円とか、月2000円とか、中学生は、それくらいはもらっているでしょう。でも、そんな年収1万円、2万円の子どもたちに対して、祖父母たちは平気で1万円をあげたりします。年収1万円の子に、1回遊びに行っただけで1万円与えるのは何なのでしょうか。

 皆さんご自身で考えてみてください。どこかへ遊びに行ったら年収分がもらえるのです。そして、その行き先は、祖父母、叔父叔母、親も含めれば4カ所くらいあって、その4カ所を年間3、4回は回れるから、年収の10倍くらいが手に入ることになります。わけが分かりません。定額のおこづかい制は訓練のためのはずです。それが無尽蔵では意味がありません。

 決めることは怖いのです。人と同じであれと、捨てるのが怖いのです。決め方は親も下手です。そして、どこでも教えてくれません。

 でも、決める必要がないのだったら、作ればいいのです。親が決めないこと、上司が決めないことです。そして、資源を絞ることです。決めるのが怖いのだったら、楽しくしてあげるということもいいでしょう。人と違うことをしただけでもほめてあげられるのか、そして、イベントにするということもいいでしょう。

 決め方は、とにかく練習です。人生のあらゆるイベント、会社の中のあらゆるイベントを使って決めるということを練習させましょう。

 でもこれは、ただ任せるのではありません。決めるための考え方、話し合い方があるわけです。そういうプロセスをちゃんと問うことです。ちゃんと調べたのか、ちゃんと考えたのかというプロセスを問うことです。


●「決める」力を高めるため、おこづかいで実践


 私は娘が3人いて...
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