シンガポールの謎~驚異的な経済発展の秘密
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
シンガポールはなぜ驚異的な経済発展を遂げたのか?
シンガポールの謎~驚異的な経済発展の秘密(1)植民地時代から分離独立までの歴史
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
一人当たり国民所得ではすでに日本を抜き去り、驚異的な経済発展を遂げたシンガポール。淡路島ほどの国土で、資源もない東南アジアの小国が、なぜ急成長できたのか。シンガポールの歴史的経緯を辿りながら、その訳に迫っていきたい。(前編)
時間:13分59秒
収録日:2013年10月3日
追加日:2014年4月3日

●日本をはるかに上回る最先進国!?


島田晴雄です。
今日は、皆さんとやや変わったテーマを考えてみたいと思います。それは、東南アジアでキラキラ輝いている国、シンガポールです。
なぜシンガポールについて考えたいかと言うと、皆さん、ご存知でしょうか。かつて日本は、一人当たりの国民所得が世界で一度トップになったことがありますが、シンガポールはいま、日本よりもおそらく3割から4割高い一人当たり国民所得を実現しています。そういう意味では、日本をはるかに上回る最先進国になったとも言えるのです。

●たった20年で奇跡の急成長を遂げ、世界を驚かせた


この国は、国土が淡路島くらいの小さい島で、人口は550万くらいです。そして、実は水が十分に出ず、農業生産ができず、食料も供給できないという、大変不利な条件に囲まれているのですが、そんななかでの目覚ましい経済発展ということで、これは世界の不思議といいますか、驚異的な成果の一つなのです。
かつて日本も、「世界の奇跡」と言われるほどの高度成長を1960年代から70年代に達成した経験があります。一方、シンガポールは、特に1980年代の後半から20年くらい、日本が「失われた20年」と言われている時代に、急激な成長を遂げ、世界のリーダー国になりました。
この「東洋の宝石」のようなシンガポールという国がどうしてそうなったのか、どういう状況にあるのか、ということを、今日は皆さんと考えてみたいと思います。
私はシンガポールへ数回行っていて、実は数週間前の、暑い夏が終わったころにもシンガポールを訪ねました。それ以前は10年以上前に何回か行っていますが、この間に本当に大きく変化しており、それはまさに目が点になるような思いです。
では、どうしてそのような大変な成果をこの小さな島で上げることができたのか、はじめに少し歴史的な経緯をたどってみたいと思います。

●イギリスの戦略的拠点となった植民地時代


西欧諸国がアジアを植民地化した時代がありました。いまから200年、300年前のことです。
17世紀から、18~19世紀にかけて、フランスはベトナムとカンボジアを、オランダはインドネシアを支配します。そういう状況のなかで、イギリスはマレー半島の突端の小さい島に目を付けたのです。
当時、イギリスは東インド会社という会社を営んでいました。そこに(トーマス・)ラッフル...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
中国の「なぜ」(1)なぜ「中国は一つの国なのか」
武力で負けても文化で勝つ? 恐るべし「中原」の同化力
石川好
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(1)内戦と組織動乱の構造
カーク暗殺事件、戦争省、ユダヤ問題…米国内戦構造が逆転
東秀敏
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
日本人が知らないアメリカ政治のしくみ(1)アメリカの大統領権限
権限の少ないアメリカ大統領は政治をどう動かしているのか
曽根泰教
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(1)銀行がお金を生む仕組み
信用創造・預金創造とは?社会でお金が流通する仕組み
養田功一郎

人気の講義ランキングTOP10
戦争とディール~米露外交とロシア・ウクライナ戦争の行方
「武器商人」となったアメリカ…ディール至上主義は失敗!?
東秀敏
逆境に対峙する哲学(2)運命・世界・他者
「私をお母さんと呼ばないで」…突然訪れた逆境の意味
津崎良典
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(1)史実としての豊臣兄弟と秀長の役割
豊臣兄弟の謎…明らかになった秀吉政権での秀長の役割
黒田基樹
熟睡できる環境・習慣とは(4)起きているときを充実させるために
夜まとめて寝なくてもいい!?「分割睡眠」という方法とは
西野精治
渡部昇一の「わが体験的キリスト教論」(1)古き良きキリスト教社会
古き良きヨーロッパのキリスト教社会が克明にわかる名著
渡部玄一
平和の追求~哲学者たちの構想(4)ルソーが考える平和と自由
ルソーの「コスモポリタニズム批判」…分権的連邦国家構想
川出良枝
死と宗教~教養としての「死の講義」(1)「自分が死ぬ」ということ
世界の宗教は死をどう考えるか…科学では死はわからない
橋爪大三郎
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(2)言葉を理解するプロセスとスキーマ
なぜ子どもは教えられても理解できないのか?鍵はスキーマ
今井むつみ
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
インテリジェンス・ヒストリー入門(1)情報収集と行動
日本の外交には「インテリジェンス」が足りない
中西輝政