TPP署名式を終えて―今後の各国の動きと日本の未来予想
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TPP、各国の動向と日本の未来予想
TPP署名式を終えて―今後の各国の動きと日本の未来予想
伊藤元重(東京大学名誉教授)
2月4日、ニュージーランドで行われた署名式により、TPPはさらに一歩前進した。だが、まだまだ課題は多い。今後、協定発効に向けて、何がカギとなるのか。アメリカ大統領選挙やアジア諸国の追加参加などによる影響も見逃せない。東京大学大学院経済学研究科教授・伊藤元重氏が、最新情報をもとに、TPPの現状と今後を分析する。
時間:15分01秒
収録日:2016年2月9日
追加日:2016年3月17日
≪全文≫

●2013年の交渉参加から3年、署名まで進んだTPP3つのポイント


 先日、ニュージーランドで、日本から高鳥修一副大臣が出席して、TPPの署名式が行われたという報道がありました。日本がTPP交渉参加すると表明したのが、2013年の4月頃でした。実際の参加はもう少し後ですが、すでに2年半から3年近い時間がたったわけです。非常に大変な交渉でしたが、とりあえず署名まで進んだことは、大変素晴らしいことだと思います。

 ただ、いくつか大きなポイントがあります。まず、本当にTPPがこの後、批准されるのかどうか。特にアメリカの動向を中心に、非常に注目されていることです。二つ目は、このTPPが、今後アジアから新しい参加国をどんどん吸収して、拡大していくかどうかということ。三つ目には、日本がTPPのメリットを最大限に享受し、一方で、TPPがもたらしうる問題点をできるだけ軽くするため、日本は何をしなければならないか。あるいは、そういうことを行った結果として、日本経済全体にどれだけのメリットがあるのか、ということをこれから少しずつ検証していかなければなりません。

 いずれも、近未来を予想するのはなかなか難しいですが、今の段階でいくつか思うところを申し上げようと思います。


●不確定要素の多いアメリカ、まずは大統領選挙に注目


 アメリカの批准について、これはやはりそう簡単な話ではありません。理想は、バラク・オバマ大統領の就任中、つまり今年の間にアメリカ議会を通過することでしょう。そのために、現在、オバマ政権は全力を尽くしていると思いますし、議会もそれに対していろんな動きがあるわけです。ただ、大統領の最後としてなかなか本格的な意味での影響力を及ぼしにくい、いわゆるレームダック状態になるともいわれていますから、このことだけに期待感を持つわけにいきません。

 困るのは、仮にオバマ政権の間に批准がうまくいかない場合です。次の大統領に委ねられるわけですが、共和党候補のドナルド・トランプ氏、テッド・クルーズ氏、あるいは民主党候補のバーニー・サンダース氏は、明確に「ノー」を表明しています。今まさにアメリカ大統領選挙の話題の最中ですから、右・左というのが妥当かどうか分かりませんが、共和党の非常に極端な強硬派の人たちと、ある意味で非常にラディカルでリベラルな民主党のサンダース氏のような...

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