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レアル反発の国内要因は政治環境の変化にあらず?!

ブラジルレアルの反発(1)国内要因

高島修
シティグループ証券 チーフFXストラテジスト
概要・テキスト
2011年より長期的な下落を続けていたブラジルレアルは、この3月より反発に転じた。その国内要因としては、ブラジルの政治の大混乱による「政治環境の変化」と市場では言われている。しかし、シティグループ証券チーフFXストラテジスト・高島修氏は、「この見方は非常にレベルが低い」と否定した。一体、この反発の要因は何なのか。高島氏が分析する。(全3話中第1話)
時間:10:58
収録日:2016/04/08
追加日:2016/04/18
≪全文≫

●ブラジルレアルの力強い反発が起こっている


 皆さん、こんにちは。シティグループ証券の高島です。為替市場では円高の進行に注目が集まっていますが、今日は、最近海外で話題になっているブラジルレアルの反発について、三つの観点からお話しします。一つ目は、ブラジルレアルの反発がどうして起こったのかを、ブラジル国内の要因からお話ししたいと思います。二つ目は、ブラジルの市場環境の変化をグローバルな市場環境からどのように見るべきかをお話しします。三つ目は、これらの観点と少し被るのですが、ブラジルを見る上ではメキシコとの対比が極めて重要だと考えており、メキシコをどう見るかを合わせてお話ししようと思います。

 ブラジルレアルは、2011年から長期的に下落してきました。昨年(2015年)の9月には、1米ドル4レアルを超えて売られる動きが出ましたが、今までのところ、どうやらそれがレアルのセリングクライマックスで、その後は下げ渋りを半年間ほど続けていたのですが、本年3月に入って急速にブラジルレアルの力強い反発が起こっています。


●ルセフ大統領の辞任が反発の理由と言われている


 この反発の理由として、市場では、ブラジルの政治環境が変わるからレアルや株価が上昇しているのだと言われています。実は今、ブラジルではジルマ・ルセフ大統領が辞任する観測が強まっています。ルセフ大統領に限ったことではないのですが、過去1年少しの間に、さまざまな汚職問題、あるいは国営石油会社ペトロブラスの不正会計問題の摘発、検察当局の調査が進んでおり、その線上にルセフ大統領が浮かび上がってきたのです。ブラジルは今、ルセフ大統領の弾劾手続きをしようとしており、成立すれば、ルセフ大統領が辞任することになるでしょう。正確に言えば、ルセフ大統領の大統領権限を一時停止した後に辞任と考えられています。

 通常であれば、こうした政権の求心力の低下は、その国の通貨が売られる要因になりやすいのですが、ブラジルに関して言えば、ルセフ大統領の社会主義的な政策に対して、市場はこれまで非常に厳しい見方をしていましたから、ルセフ大統領よりも市場に優しい人が大統領になってくれたら、ブラジル経済にとってポジティブだという見方が出てきているのです。

 この弾劾がどのような理由で成立するかによって、誰がルセフ大統領の後任になり得るかが違っ...
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