●外貨準備の通貨シェア変更における通貨売買量の試算
続いて、この外貨準備がなぜドルを売るのか、という話に入ります。
まずここで確認頂きたいのが、11.4兆ドルに達している世界の外貨準備の中でどの通貨が保有されているかです。これを示したグラフが今、見ていただいているものです。この中では、青が米ドル、緑がユーロ、赤が日本、紫が英国ポンド、黄緑が豪ドル、オレンジがカナダドル、ピンクがそれ以外の通貨です。その他、薄い緑の部分がありますが、これはIMFに報告する外貨準備の通貨構成を開示してない国の、不明分を示したものです。この不明分を除くと、2017年9月の IMF の外貨準備に関する最新データで、外貨準備が保有する通貨としては 米ドルが63.5パーセント、ユーロが20パーセント、円とポンドが4.5パーセントずつという数字が出ています。カナダドルと豪ドルは更に少なく2~3パーセントあたりです。
このような外貨準備によるドル売りは、1つには通貨比率の構成の変更から出てきます。もう1つは外貨準備残高の増減から、オートマチックに売買をするオペレーションがあります。この2つから「リザーブマネージャー」と呼ばれる外貨準備(の管理担当者)によって「ドル売り・ユーロ買い・円買い」、もしくは「ドル買い・円売り・ユーロ売り」といったものが発生します。
この中で通貨シェアの変更に伴う売り買いがどれくらいあったかを計算してみます。これを計算するにはIMFが発表する外貨準備の統計から為替変動の影響を調整した数字を出す必要があります。そうすると、通貨を保有している各通貨の残高を見て開示されたものでないと、為替レートの変動の影響は取り除けないということになりますから、ドル、ユーロ、円、ポンド、カナダドル、豪ドル、これらの為替調整、為替相場の変更を調整した後の通貨シェアの変更を試算しました。
●主要通貨間におけるドル売りの実態
2016年12月の段階で、この6つの合計の残高が7兆4781億ドルありました。2016年12月というのは、この6通貨の中で米ドルのシェアが一番高かったとき時期です。そこから足元にかけて、米ドルのシェアが下がってきていますが、2016年12月の段階では6通貨に占めるドルのシェアが74パーセント、ユーロが16.5パーセント、円が3.5パーセン...