●総選挙の報道で円相場への関心が高まる
シティグループ証券の高島です。2017年10月22日に総選挙が行われて、それに絡んだ動きが市場でも活発化したので、アベノミクスの総括を含めてお話をしていきたいと思います。
1点目はこの総選挙をまたいだ市場の動きについてお話をします。2点目はアベノミクスと円相場の関係を総括したいと思います。3点目はそのアベノミクスで重要な役割を握っている日銀の金融緩和がどういう形で円相場に影響を及ぼしてきたか、といったことをお話ししていきます。
まず1点目の選挙に絡んだ動きについてですが、9月17日の報道で「総選挙が行われる」という話が出てきました。実は今年2017年、海外投資家は円相場にあまり関心がなく、特に春先以降はドル円相場もレンジにあるので円相場への関心が薄かったのですが、総選挙があるという報道が出た頃から、私のところにも海外から問い合わせが数多く寄せられるようになってきました。この半年間ほどでは初めてのことでした。そういった中、「全体的な流れとしては円安を見込みたいが、10月22日の総選挙に絡んではやはり自民党が議席を減らすことに伴う円高のリスクを警戒したい」という声が多かったと思います。
●選挙予想に伴うリスクリバーサルの動きを見る
今、見ていただいている表はドル円の通貨オプションのリスクリバーサルというものの動きを示しています。これはかなり専門的な話になるのですが、通貨オプションマーケットでドル円を買う権利とドル円を売る権利を相対的に比べたものなのです。このグラフが上に行けば行くほど、ドル円を買う権利の方がドル円を売る権利よりも値上がりしているということになります。ドルを買いたいという権利が値上がりするわけですから、基本的にはドル円のドル高円安リスクを見ているということになってきます。一方で、下方向に行くときというのは、ドル円を売りたいという権利の方がドル円を買いたいという権利よりも相対的に値上がりしているということを示しています。ですから、このことはドル円を売りたいと思っている人が市場の中に増えているということを示しているのです。
こういった中で今、示しているのは、リスクリバーサルの1カ月もの、2週間もの、1週間もの、この3つの動きです。9月17日の後すぐに、10月22日の選挙の日を捉えて1カ月もののリスクリバーサルが下に下がっ...