●野党同士の対立で自公は漁夫の利を得た
今日は、2017年総選挙の結果についてお話しします。ご承知のように、自由民主党・公明党(自公)で3分の2議席という結果に終わり、解散前と何も変わらないのではないかという印象をお持ちの方もいるでしょう。また、野党再編は進んだのかと疑問に思われる方、あるいは、今後の政策がどの方向へ向かっていくのか知りたい方もいるでしょう。
まずは、選挙を概観しましょう。この選挙は、安倍晋三首相が自ら勝てる時期を探って行った、奇襲攻撃でした。これに対して、小池百合子氏は一夜城を造ったわけです。一夜城ですから、政策は当然、多くのものが書き割りでした。他方、民進党は希望の党の立党に合わせて、計画倒産をしました。
ところが、計画倒産をして従業員を引き取ってもらおうと思ったところ、全員は無理だとはねのけられてしまったのです。スクリーニングされるのであれば、自主再建しようということで、自主再建組が立憲民主党を結成します。結果的には、希望の党よりも立憲民主党の方が議席を多く獲得し、かつ、野党同士の対立で自公は漁夫の利を得ることになりました。結論をいえば、こういう選挙だったと思います。
●小池氏は「制度の罠」にはまった
しかし、なぜ小池氏の希望の党は失速してしまったのでしょうか。小池氏の「排除」の論理についての失言が大きかったとは、よく言われることです。確かに、これはその通りでしょう。しかし、小池氏は「制度の罠」にはまったのだと私は考えています。
「制度の罠」として、しばしば挙げられるのは、総理大臣は国会議員でなければならないという憲法上の既定です。都知事と国会議員を両方兼ねるわけにはいきませんので、総理大臣を目指すのであれば、今回の衆議院議員選挙に出て、国会議員になっておく必要がありました。ここまでは、多くの評論家や新聞などが指摘することです。
しかし、もう一つ「制度の罠」があります。それは、現在の日本の選挙は、事前型の政権選択選挙だということです。日本新党が結成された頃はまだ中選挙区制で、首相候補は選挙後に相談して決めるというスタイルでも、国民は十分納得することができたのです。しかし、当時と今の選挙は違います。小選挙区制になったということだけではありません。選挙自体が、政権選択選挙になっているのです。この点は例えばドイツとは異...