皆さんこんにちは。シティグループ証券で為替のリサーチを担当しています、高島でございます。
今日は、最近の為替相場の動きに関する状況をアップデートしつつ、この動きを私がどのように見てきたかについて、定期的にアップデートしているモデル分析を用いながら説明を加えていこうと思います。
最初に最近のマーケットの動きについてお話した後、まずはドル円のモデル分析の話をして、その後にユーロドルのモデル分析の話をしようと考えています。
●数年間のマーケットの動きを振り返る
まず、最近の相場動向についてお話しします。今見ていただいているグラフは、2013年からのドル円(赤線)とユーロドル(青線)の動きを示しています。
ドル円(赤線)に関していうと、グラフのちょうど真ん中あたり、2015年半ばの125円ほどのところでドル高円安がいったん終わります。2016年前半には円高が進行し、2016年6月頃には100円前後までドル安円高が進みました。
その後、2016年11月8日のアメリカ大統領選挙でドナルド・トランプ候補が勝利したことを受けて、ドル円の「トランプラリー」が発生します。いったん101円台まで下がった後、12月には118円というドルの高値を付けています。
その後、2017年に入って再び調整局面に入りました。4月に北朝鮮問題に揺れたところで108円までドル円は下がりました。足元は少し方向感を変えているような状況になっています。
●2015年初頭に「ドル高円安の一旦停止」を予測した根拠
この間、私はどういう見方をしてきたのかというと、まず2015年の初めぐらいには「過去数年続いたドル高円安が一回止まる」という見方を示してきました。
この後でお話しするモデル分析に基づくものでもありますが、特にその時は日本の国際収支がかなり急ピッチで改善をしていたことがありました。2014年後半から原油価格が下がったことを受けて、日本の輸入は減りました。それにより日本の国際収支が改善していましたので、2013~2014年のようなドル高円安は続かないであろうと、2015年の初めぐらいから主張してきたのです。
その意味においては、2015年半ばに125円でピークアウトした動きは、ほぼ考えていた通りでした。ただ、そこで想定していた円高のめどは110円ほどでしたので、2016年前半の100円にまで下がったドル安円高は、正直なところ予想できていなかっ...