「イギリスのEU離脱問題」を考える
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
EU離脱によってイギリスの政党政治が崩壊する!?
「イギリスのEU離脱問題」を考える
曽根泰教(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
6月23日に行われた国民投票でEU離脱を選択したイギリス。世界に与えた衝撃はあまりにも大きく、イギリスのEU離脱によって世界はどうなっていくのか、日本経済にどんな影響があるのかなど、テレビをはじめ各メディアでさまざまな予測が飛び交っている。では、一体なぜこういったことが起こってしまったのか? これからどうするのか? 全世界が注目するこの問題を政治学者で慶応義塾大学大学院教授・曽根泰教氏が特別に緊急解説。
時間:15分58秒
収録日:2016年6月30日
追加日:2016年7月2日
カテゴリー:
≪全文≫

●今さら国民投票、代議制の是非を論じても始まらない


 イギリスのEU離脱問題(BREXIT)は、大変に興味をもたれた方もいると思いますし、驚いた人もいると思います。しかし、私は一年前に、この10MTVでイギリス総選挙の総括をした時に、「実はEU離脱の国民投票は考え直した方がいい」ということを言っているのです。また、伊勢志摩サミットの総括の時も、金融あるいは経済の下振れリスクよりも政治リスクの方が大きく、その政治リスクの一番目にイギリスのEU離脱を挙げています。そこで、今日はなぜこういうことが起こったのか、これからどうするのか、という話をしたいと思います。

 国民投票それ自体に問題があった、という意見もあります。もし、国民投票をやるとするならば、私などもやっているように討論型世論調査と組み合わせることも一つの方法だろうと思います。離脱が決まってから、「EUとは何か」とグーグルで検索した人が多い、という笑い話もたくさんありますが、イギリスはもともとウェストミンスター型のシステムなのです。ウェストミンスター型とは何かというと、議会を中心とする政党政治ということなのですが、イギリスは国民投票を何度かやっています。実はこの国民投票は、モデルが違うのです。しかし、そのことをもって代議制に戻れ、議院内閣制に戻れ、議会主義に戻れと言っても、始まりません。


●そもそも他のEU諸国とは相当違いのあったイギリス


 そこで、いろいろな解釈があります。例えば、これはグローバリズムとポピュリズムの問題だ、あるいは移民に対するナショナリズムの反応だなど、いろいろな話がありますが、主として「EU内にとどまれ」という意見には、経済的な議論が多かったわけです。

 そういう意味でいいますと、現実にイギリスの移民問題にさらされている人たちとシティの反応は違いました。ですが、よくよく考えてみると、イギリスはもともとユーロには入っていませんし、またヨーロッパ間の移動の自由を認めるシェンゲン協定にも加わっていないわけですから、他のEU諸国とは相当違うのです。しかしそれでも、これだけ反発があったわけです。


●離脱決定の背景-拠出金と補助金の問題


 私は、これまでグローバリズムの話を日本に置き換えて行ってきましたが、世界の中での流れをもう一度おさらいする必要があると思います。今回、結果が出...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
本当によくわかる経済学史(1)経済学史の概観
経済学史の基礎知識…大きな流れをいかに理解すべきか
柿埜真吾
半導体から見る明日の世界(1)世界的な半導体不足と日本の可能性
なぜ世界の半導体不足は起きた?台湾TSMCと日本復活への鍵
島田晴雄
紛争が絶えない世界~私たちは何ができるか(1)「戦争の世紀」から再び戦争の時代へ
再び戦争の時代へ――私たちは何を考え、どう動くべきか
小原雅博
民主主義の本質(1)近代民主主義とキリスト教
なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景
橋爪大三郎
地政学入門 歴史と理論編(1)地政学とは何か
地政学をわかりやすく解説…地政学の「3つの柱」とは?
小原雅博
ハーディングとトランプ~100年前の米大統領選を読む(1)米国第一主義の台頭
1920年のアメリカファースト…ハーディング大統領の勝利
東秀敏

人気の講義ランキングTOP10
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(3)孤食リスクと加齢に伴うホルモン変化
「孤食」が危ない…独身男性の一人の食事はうつのリスク2倍以上に
小川純人
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
現代人に必要な「教養」とは?(1)そもそも教養とは何か
教養とは…本質を捉える知、他者を感じる力、先頭に立つ勇気
小宮山宏
「進化」への誤解…本当は何か?(1)進化の意味と生物学としての歴史
実は生物の「進化」とは「物事が良くなる」ことではない
長谷川眞理子
「満洲」から考える日本とアジア(8)日貨排斥と満洲事変の原因
なぜ満洲事変が起きたか…激烈な日本排斥と朝鮮人迫害、さらに一方的な条約無効化に直面した日本人の決断と失敗
宮脇淳子
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(1)神とは何か、そして天皇とは?
日本と世界の「神と信仰」の違いは?…そして天皇の大切な役割
橋爪大三郎
進化生物学から見た「宗教の起源」(1)宗教の起源とトランス状態
私たちにはなぜ宗教が必要だったのか…脳の働きから考える
長谷川眞理子
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(1)ルーズベルトに与ふる書
奇跡の史実…硫黄島の戦いと「ルーズベルトに与ふる書」
門田隆将
心と感情の進化(1)そもそも「心と感情」とは何なのか
「心と感情」とは何か、行動生態学から考える大事な問題
長谷川眞理子
日本の財政の真実を検証する(1)膨らむ借金の知られざる実態
日本の財政の「真実」をデータで徹底検証…国際機関の分析は?
宮本弘曉