法人税改革はアベノミクス第三の矢の試金石
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
デフレ脱却を目指している今こそ法人税率引き下げを
法人税改革はアベノミクス第三の矢の試金石
伊藤元重(東京大学名誉教授)
今、世界の中でも格段に高い日本の法人税率の引き下げが議論されている。財政健全化も同時に推進しなければならない日本の法人税改革はいつ、どのように行うべきなのか? 諸外国の実例とともに税率引き下げの背景から分かりやすく解説する。
時間:16分18秒
収録日:2014年4月25日
追加日:2014年5月2日
カテゴリー:
≪全文≫

●財政健全化抜きでは語れない法人税率引き下げ


安倍総理が今年1月のダボス会議で法人税の改革をしたいとおっしゃったことが一つのきっかけで、日本で法人税の改革、もう少し正確に言うと、法人税率を引き下げるという議論が高まっています。これは、これからの日本経済、特に成長戦略の行方を考える上でも非常に重要な点になるだろうと思います。
いくつか重要なポイントを申し上げたいと思いますが、一つは多くの専門家、経済学者やビジネスに精通している方々に聞くと、日本の法人税はいずれ欧州あるいは近隣アジア諸国並みに税率を下げていくべきだろうという見方をしている人が大半のようです。税の専門家に近い方々もたくさん参加されている政府の税制調査会の第一回目の会議で、法人税改革について一般的な論議をした時にも、日本の法人税率は国際的に見ても高いので、下げていくべきだという議論をした人が多いわけです。したがって、日本の法人税率が高いのか低いのかで言うと、高すぎるということに対しては、一部の例外の人を除くと、基本的な認識はあると思います。
ただ、政治的に難しいのは、財政健全化ということを同時に実現しないといけない今、法人税率を下げることが本当に正しい選択なのかどうかということに対しては、いろいろな論議があるわけで、財政健全化と法人税のあり方について、まさに今、政治あるいは政策論議の中で大きな問題になっているわけです。


●諸外国にみる法人税率引き下げの背景(1)グローバル化


さて、なぜ法人税率を下げるべきかという議論が世の中にあるのかということですが、法人税率は世界の主要国を見ると、日本とアメリカだけが突出して高くなっています。かつての欧州の多くの国も日本とそれほど変わらない法人税率だったのですが、ここ10年20年の間に急速に法人税率を下げてきているわけです。
それから日本の周辺であるアジアの諸国も同じように法人税率を下げているわけで、したがって、かつてはあまり違いがなかったのに、気が付いたら日本とアメリカ以外の国は法人税率を下げてしまって、結果的に日本とアメリカだけが突出して高い状況にあるというのが現実です。
なぜ各国が法人税率を下げてきたかと言うと、二つの大きなファクターが働いていると思います。一つは国際的な競争ということで、欧州がわかりやすいと思いますが、国境の壁を低くして、欧州域内...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
戦争とディール~米露外交とロシア・ウクライナ戦争の行方
「武器商人」となったアメリカ…ディール至上主義は失敗!?
東秀敏
教養としての「人口減少問題と社会保障」(1)急速に人口減少する日本の現実
毎年100万人ずつ減少…急降下する日本の人口問題を考える
森田朗
台湾有事を考える(1)中国の核心的利益と太平洋覇権構想
習近平政権の野望とそのカギを握る台湾の地理的条件
島田晴雄
本当によくわかる経済学史(1)経済学史の概観
経済学史の基礎知識…大きな流れをいかに理解すべきか
柿埜真吾
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い
外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか
小原雅博

人気の講義ランキングTOP10
逆境に対峙する哲学(10)遺産を交換する
ナイチンゲールの怒りから学ぶこと…逆境の中で考えるとは
津崎良典
「進化」への誤解…本当は何か?(4)ダーウィンの進化論と自然淘汰の理論
『種の起源』…ダーウィンとウォレスの自然淘汰の理論
長谷川眞理子
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(7)領国経営と秀長の統治能力
想像以上に有能――領民に慕われた秀長のリーダーシップ
黒田基樹
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(1)ルーズベルトに与ふる書
奇跡の史実…硫黄島の戦いと「ルーズベルトに与ふる書」
門田隆将
「幸福とは何か」を考えてみよう(1)なぜ幸せになりたいのですか
「幸福」について語り合う「哲学カフェ」を再現
津崎良典
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
歌舞伎はスゴイ(2)市川團十郎の何がスゴイか(後編)
歌舞伎十八番を定めた七代目市川團十郎、一番モテた八代目
堀口茉純
生き抜くためのチカラ~為末メソッドに迫る(4)人生の勝敗を考える
幸せの鍵「なにげなさ」とは何のことか
為末大
内側から見たアメリカと日本(2)アメリカの大転換とトランプの誤解
偉大だったアメリカを全否定…世界が驚いたトランプの言動
島田晴雄
『法の精神』と『社会契約論』を学ぶ【質疑篇】(1)モンテスキューとルソーの人物像
エピソードが語るモンテスキューとルソーの両極端な人物像
川出良枝