遠隔操縦機~原子炉ロボット
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
福島第一原発の漏水調査に向けた水中ロボットの開発
遠隔操縦機~原子炉ロボット(2)原子炉の漏水を探せ!
科学と技術
浦環(東京大学名誉教授/株式会社ディープ・リッジ・テク代表取締役)
九州工業大学社会ロボット具現化センター長・浦環氏が、福島第一原発の漏水調査について解説する。格納容器に溜まった水がどこから漏れているのか、失敗の許されない調査に向けて、周到な準備をして水中ロボットの開発が行われた。モックアップを使った十分な訓練の後、ケーブルの引っ掛かりを監視できるロボットが制作されたのだ。(全3話中第2話)
時間:10分55秒
収録日:2017年1月27日
追加日:2017年7月6日
≪全文≫

●1号機の冷却水はどこから漏れているのか


 さて、次は1号機の調査です。これはF1(福島第一原発)を上から見たところです。2号機は、現在は調査されているところがありますが、1号機をまずは調べるというのが、東電のプロジェクトでした。

 1号機はどうなっているでしょうか。格納容器があり、丸いドーナツ型のサプレッションチェンバに水が入っています。しかし、原子炉容器のどこかが壊れていて、サプレッションチェンバが入っているトーラス室という部屋に、水が溜まってしまっている。そして、トーラス室から、水が地中に漏れ出しています。1号機も2号機も同じような状況です。

 この漏えいを止めたいのですが、一体どこから漏れているのかが分からない。トーラス室の中に、外へ水が出ている割れ目が見つかれば、そこをふさげば、水が外に出ていかなくなります。あるいは、格納容器から出ているのであれば、そこをふさげば外に出なくなる。したがって、とにかく漏れている所がどこなのかを探したい。

 そこで、水中ロボットで調べたいと、東電に言われたのです。中に潜って、どこが漏れているのか、どこからか漏れているのであればそこからの流れが見えるのではないか、あるいは漏れている所に向かって流れが起きているのではないか。こうしたことを調べたいというわけです。


●水中ロボットは調査に即座に使えるというわけではない


 こうしたことを水中ロボットの専門家として、アドバイスするよう求められました。しかし、いろいろと話を聞きましたが、水中ロボットというのはそんなに簡単なものではありません。水中ロボットでなければいけない理由は、一体何だろうか。ロボットが潜ったとしても、どこから水が出ているかは近くに寄らないと分からないのではないか。この水はどのくらい濁っているのだろうか。しかし、東電は分からないと言うのです。

 これが分からないとなると、なかなかうまくはいきません。そこで、段階を追ってやるべきでしょうと言いました。まずは、サーフェスボートを出すべきです。サーフェスボートを出して、サーフェスボートが水中カメラでその中を見る、あるいは周りの観測をする。そういう作戦を立てるべきだと申し上げました。それで、何カ月か議論をして、実行に移ることになるわけです。


●ロボットのロジが重要


 われわれにはROVなどの経験もあるし、もっと深...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
ヒトの性差とジェンダー論(1)「性」とは何か
MLBのスーパースターも一代限り…生物学から迫る性の実態
長谷川眞理子
生成AI・大規模言語モデルのしくみ(1)生成AIとは何か
10年で劇的な進歩を遂げた生成AIと日本の開発事情
岡野原大輔
2050年「プラチナ社会」実現への挑戦(1)「プラチナ社会」実現のルーツと現況
2025年頭所感~5つのプラチナ産業イニシアティブ創りへ
小宮山宏
2050年のための「前向きの愛国心」(1)木造都市へのシフト
木造ビルで20階…新しい暮らしを支える森林産業の確立を
小宮山宏
未来を知るための宇宙開発の歴史(1)宇宙開発の流れを概観する
宇宙開発の歴史、そして未来へ…6枚の写真で概観する
川口淳一郎

人気の講義ランキングTOP10
ヒトは共同保育~生物学から考える子育て(1)動物の配偶と子育てシステム
ヒトは共同保育の動物――生物学からみた子育ての基礎知識
長谷川眞理子
未来を知るための宇宙開発の歴史(7)米ソとは異なる日本の宇宙開発
日本の弾道ミサイル開発禁止!?米ソとは異なる宇宙開拓の道
川口淳一郎
「集権と分権」から考える日本の核心(3)中央集権と六国史の時代の終焉
天平期の天然痘で国民の3割が死亡?…大仏と崩れる律令制
片山杜秀
数学と音楽の不思議な関係(1)だれもがみんな数学者で音楽家
世界は数学と音楽でできている…歴史が物語る密接な関係
中島さち子
モンゴル帝国の世界史(2)チンギス・ハーンのカリスマ性
自由な多民族をモンゴルに統一したチンギス・ハーンの魅力
宮脇淳子
DEIの重要性と企業経営(4)人口統計的DEIと女性活躍推進の効果
日本的雇用慣行の課題…女性比率を高めても業績向上は難しい
山本勲
睡眠から考える健康リスクと社会的時差ボケ(5)シフトワークと健康問題
発がんリスク、心身の不調…シフトワークの悪影響に迫る
西多昌規
「アカデメイア」から考える学びの意義(1)学びを巡る3つの危機
「学びの危機」こそが現代社会と次世代への大きな危機
納富信留
知識創造戦略論~暗黙知から形式知へ(1)イノベーションと価値創造
価値創造において重要なのは未来から現在を見るという視点
遠山亮子
トランプ政権と「一寸先は闇」の国際秩序(3)これからの世界と底線思考の重要性
同盟国よもっと働け…急激に進んでいる「負担のシフト」
佐橋亮