遠隔操縦機~カメラロボ
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遠隔操縦ロボットの問題は操縦者が育っていないこと
遠隔操縦機~カメラロボ(3)震災現場は戦場だ
浦環(東京大学名誉教授/株式会社ディープ・リッジ・テク代表取締役)
九州工業大学社会ロボット具現化センター長・浦環氏が、震災現場のロボットをめぐる問題点を解説する。震災後の現場は戦場である。そこでロボットが活躍するには、十分な訓練や技術が欠かせない。ところが日本では、高価なロボットを壊してはいけないといって、日常的に使用されていないため、操縦者が育っていない。(全5話中第3話)
時間:12分03秒
収録日:2017年1月27日
追加日:2017年5月7日
≪全文≫

●海上保安庁や海上自衛隊の苦労


 これは大槌の湾の中です。ほとんどがれきがなく、所々にこのような漁具のようなものが落ちています。ここにもほとんど何もありませんが、調べた時期が震災後1カ月半ぐらいということもあり、水温も非常に冷たかったのですが、私たちが見つけた最初のご遺体です。われわれはすぐに海上保安庁に連絡をし、このご遺体を保安庁の人たちが引き揚げるということになりました。ロボットをここにずっと置いていたため、われわれは保安庁のダイバーがこれを引き揚げていくのをずっと見ていました。

 もちろん、われわれは遺体捜索に行ったのではありません。海底がどうなっているかを調べていただけです。当時、海上自衛隊と海上保安庁のダイバーが、沿岸を潜って遺体捜索を行っていました。大変なご苦労だったとニュースでも伝えていました。津波の後、特に沿岸部分は水が非常に濁っていたのです。また、いろいろな破片などが落ちていると、それに引っかかってドライスーツが破れたりする。非常に危険な作業だったと、ニュースが報じていました。非常にご苦労なことだったと思います。彼らは電話をして30分ほどで飛んできたのですが、すぐにご遺体を揚げてくれました。


●調査チームは遺体捜査の邪魔をしないように活動していた


 われわれは実はロボットを持っているだけ、あるいはオペレーションをしているだけであって、組織的な行動をすることはできません。事故や津波で海底に行方不明者がいらっしゃるという場合、捜索をすべきなのは自衛隊あるいは海上保安庁、警察、消防といった、大きな国家的な組織です。彼らは船を持っていて、きちんとしたロジができるわけです。そういった人たちが非常に努力しています。それはもう大変なことです。ダイバーは深くても30メートルぐらいしか潜れず、しかもせいぜい数十分の間だけです。一人ではそれほど広い範囲をカバーできないため、人海戦術しかありません。

 そこにわれわれが出掛けていきロボットを出したとしても、人間が潜るのも大変な所で、ケーブル付きのロボットをうまく遠隔操縦できるとは到底思えません。われわれがうまくできているのは、沖合の、ほとんど何も残骸が落ちていない所を調べていたためです。海上保安庁が調べていた沿岸地帯には、近づかないようにしていました。彼らの邪魔をしてはいけないし、それから前にも申しました...

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