遠隔操縦機~重作業ROV
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
ROVを使った正確な事故調査が原因解明につながる
遠隔操縦機~重作業ROV(4)海底という現場に行く
浦環(東京大学名誉教授/株式会社ディープ・リッジ・テク代表取締役)
九州工業大学社会ロボット具現化センター長・浦環氏は、ROVの技術的問題の多くがケーブルによって引き起こされると言う。しかしその不便さを超えた便利さがあるとも述べる。何よりもROVは、人間が到達できない深さに潜り、撮影や残留物の回収が可能だ。そうした調査が、事故原因の解明を大きく進展させるのである。(全5話中第4話)
時間:11分23秒
収録日:2016年6月15日
追加日:2017年1月28日
≪全文≫

●ケーブルが絡むと故障しやすい


 お見せしているのは、重作業ROVの写真です。これが先ほど出てきたCURVです。これがDOLPHIN-3K、これが後で出てくるWoods HoleのJASONというものです。別の写真はScorpioといって、先ほどの「えひめ丸」引き上げ時に活躍したものです。これは新しいROVで、こういったものが海底油田のために働いています。

 これはアメリカが1960年に開発したCURV(Controllable Underwater Recovery Vehicle)です。名前にある通り、“Recovery”という言葉が非常に重要です。これは、マニピュレータが付いていて、物を拾ってくる。プロペラが付いていて、ROVというのは大体こういう形をしています。あくまでも想像図ですが、水素爆弾を写真のように拾ってきたという絵です。実際はこうではなくて、この水素爆弾にパラシュートが付いており、そのパラシュートにCURVが引っ掛かってしまった。マニピュレータでそれをつかんで上げてくれば格好よかったのですが、パラシュートが絡んでしまったため、引き上げられたということです。まさに「けがの功名」です。でも世の中には、そういうことがたくさんあります。

 なぜ、そんなことをわざわざ言うのか。理由は、遠隔操縦機についているケーブルです。ケーブルが付いているため、いろいろなものに絡まりやすい。これが問題なのです。有人潜水艇にはケーブルが付いていません。それは非常に大きな特徴で、何より絡まりにくい。自律型海中ロボットもケーブルが付いていません。このように、ケーブルというのは非常に不便なものです。

 油価がボーンと下がった1986年の1年前に、日本の海事新聞にこういうROVがあるという宣伝が載りました。「ドラゴンフライ」というものです。こういうものが出てきて、石油開発ではすごく役に立っているという宣伝です。このドラゴンフライは、当時としては最新鋭のROVです。

 これはPerry Tritech'sが開発したScorpioです。それが「えひめ丸」をリカバーしました。このビークルも、開発されたのは1980年代です。「えひめ丸」の事件は2000年以後ですから、古いものを相変わらず使っていたということだと思います。

 アメリカのWoods Holeが開発していた「JASON」で、ランチャーに対応するものが付いており、そこから出ていていろいろなことをやっています。世界の海洋科学では非常に活躍しているROVです。これは産業用ではな...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
都市木造の可能性~木造ビルへの挑戦(1)木造建築の歴史と現在
伝統木造建築はいま都市で必要な建物ではない
腰原幹雄
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
五島列島沖合の海没処分潜水艦群調査(1)目的と潜水艦史
海底に突き刺さる旧日本海軍の潜水艦「伊58」を特定!
浦環
ヒトの性差とジェンダー論(1)「性」とは何か
MLBのスーパースターも一代限り…生物学から迫る性の実態
長谷川眞理子
ChatGPT~AIと人間の未来(1)ChatGPTは何ができて、何ができないか
ChatGPTは考えてない?…「AIの回答」の本質とは
西垣通
進化生物学から見た「宗教の起源」(1)宗教の起源とトランス状態
私たちにはなぜ宗教が必要だったのか…脳の働きから考える
長谷川眞理子

人気の講義ランキングTOP10
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
歴史の探り方、活かし方(4)史実・史料分析:秀吉と秀次編〈上〉
史料読解法…豊臣秀吉による秀次粛清の本当の理由とは?
中村彰彦
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(4)全てをつなぐ密教の世界観
密教の世界観は全宇宙を分割せずに「つないでいく」
鎌田東二
内側から見たアメリカと日本(4)アメリカ労働史とトランプ支持層
ギャングの代わりに弁護士!? 壮絶なアメリカ労働史の変遷
島田晴雄
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(1)内戦と組織動乱の構造
カーク暗殺事件、戦争省、ユダヤ問題…米国内戦構造が逆転
東秀敏
第二次世界大戦とソ連の真実(1)レーニンの思想的特徴
レーニン演説…革命のため帝国主義の3つの対立を利用せよ
福井義高