「r2D4」インド洋を潜る
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
モーリシャスからインド洋へ。未知の海底資源を探せ
「r2D4」インド洋を潜る(1)冒険への旅立ち
浦環(東京大学名誉教授/株式会社ディープ・リッジ・テク代表取締役)
前人未到の溶岩大平原の発見、そしてインド洋で第3番目の熱水地帯の確認! 今回は、世紀の発見を成し遂げた「r2D4」のインド洋調査の全容に迫る。九州工業大学社会ロボット具現化センター長・浦環氏が語る、波乱にみちた調査の一部始終と、その画期的な功績。(全3話中第1話)
時間:10分51秒
収録日:2016年5月17日
追加日:2016年9月28日
≪全文≫

●前身となる「R-One計画」の成功と課題


 第5回は、「浦の自律型海中ロボットr2D4は何をしてきたか」ということで、非常に画期的なインド洋中央海嶺の潜航について説明し、楽しいロボット研究のご紹介をしたいと思います。

 調査は2006年に実施し、2007年に海洋調査技術学会で発表しました(2007年11月16日)。この調査で、r2D4は、インド洋の中央海嶺の真ん中に溶岩大平原が広がっていることを発見しました。それを「ドードー溶岩大平原」と私が名前を付けました。画期的な発見でした。その後、有人潜水船が調査に行き、そこに熱水地帯を確認したりもします。ドードーとは、モーリシャスとその付近の島に生息し、18世紀までに絶滅した鳥の名前です。

 まず、「生研の中央海嶺観測プログラム」の説明をしたいと思います。先ほどの説明では割愛しましたが、r2D4の前に「R-One計画」というものを、われわれはやっていました。「Toward Ridge System」ということで、中央海嶺系を観察するようなロボットをつくろうと。中央海嶺は非常に長い海底の山脈です。そのため、比較的大型で、海底で長距離を走って詳しい調査ができるようなロボットが必要です。そこで、最初に1990年、R-One計画を始めました。

 この計画で、5年かかって、写真(右・上)の「R-One Robot」が完成し、進水します。これは長さが8.2メートル、重さは4トンです。100キロ走れるロボットをつくったのですが、なかなか大変でした。

 1996年に最初に海で潜航し、98年に12時間連続潜航しました。この写真(右・中)は12時間の連続潜航が終わって夜中の12時ごろに皆で集まって「ああ、疲れた」と慰労している記念写真ですが、本当に疲れました(笑)。これで一応当初の目的をスペック的には成し遂げました。しかし、何も観測はしていません。それは、この頃はまだデバッグが大変だったからです。1995年にハードウエアができてから、ちゃんと動くものになるまで3年もかかりました。その間にデバッグをし、さらにその翌年もデバッグを続けました。

 そして、2000年に手石海丘(ていしかいきゅう)調査を行いました。この写真(右・上)の背後に写っているのが伊豆半島で、伊東の町が向こうに見えるはずですが、その伊東市沖で1989年に海底噴...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
社会はAIでいかに読み解けるのか(1)経済学理論の役割
AIやディープラーニングによって社会分析の方法が変わる
柳川範之
ヒトの性差とジェンダー論(1)「性」とは何か
MLBのスーパースターも一代限り…生物学から迫る性の実態
長谷川眞理子
巨大地震予知の現在地と私たちにできること(1)地震予知研究と前兆すべり
地震予知に挑む!確かな前兆現象を捉える画期的手法とは
梅野健
性はなぜあるのか~進化生物学から見たLGBT(1)有性生殖と無性生殖
なぜ雄と雌の2つの性別があるのか…「性」の謎とLGBT
長谷川眞理子
水から考える「持続可能」な未来(1)気候変動の現在地
最悪10メートル以上海面上昇…将来に禍根残す温暖化の影響
沖大幹
断熱から考える一年中快適で健康な住環境(1)日本の住宅の実態と問題点
なぜ日本は夏暑く、冬寒いのか…断熱から考える住宅の問題
前真之

人気の講義ランキングTOP10
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
プロジェクトマネジメントの基本(3)プロジェクトのすすめ方
PDCAサイクルを回すための5つのプロセスとそのすすめ方
大塚有希子
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(2)『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏への道
『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏のすごさ…波へのこだわり
堀口茉純
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
熟睡できる環境・習慣とは(3)睡眠にいい環境とお風呂の入り方
布団に入る何分前がいい?入眠しやすいお風呂の入り方
西野精治
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
定年後の人生を設計する(1)定年後の不安と「黄金の15年」
不安な定年後を人生の「黄金の15年」に変えるポイント
楠木新
内側から見たアメリカと日本(7)ジャパン・アズ・ナンバーワンの弊害
ジャパン・アズ・ナンバーワンで満足!?学ばない日本の弊害
島田晴雄
経験学習を促すリーダーシップ(3)成功の再現性と教え上手の指導法
教え上手の指導法に学ぶ!成功の再現性を高める4ステップ
松尾睦