自律型海中ロボットの仕事
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
海の中には「ASIMO」とは違うロボットがいる!
自律型海中ロボットの仕事(1)ASIMOとの違い
浦環(東京大学名誉教授/株式会社ディープ・リッジ・テク代表取締役)
世界初の本格的二足歩行ロボットであるホンダの「ASIMO」が階段を下りたことで有名になったロボフェスタ神奈川2001では、隣のブースに「もう一つのロボット」があった。九州工業大学社会ロボット具現化センター長・特別教授の浦環氏たちが開発する「自律型海中ロボット」だ。それらは今や、海中で数多くの成果を残しているという。浦氏が存分に語る。(全4話中第1話)
時間:9分44秒
収録日:2016年5月17日
追加日:2016年8月15日
≪全文≫

●自律型ロボットといっても、泳ぐのと歩くのでは違う


 今日は第4回です。これまでは海についての一般的な話をしてきましたが、今回はロボットの話です。それも特に、私たちがつくったロボットを何回かにわたってご紹介したいと思います。

 最初に復習ですが、私たちがつくっているロボットは「自律型海中ロボット」といわれているもので、全自動です。遠隔操縦ロボットではありません。自律型ロボットには、例えば陸上ではホンダの「ASIMO」があります。これも実際にはいろいろ通信しているのですが、全自動で動いているように見えます。この映像はロボフェスタ神奈川2001で、ASIMOが初めて階段をひとりでスタスタと下りるところです。実はこのロボフェスタに、私たちも「うちのロボット」を出したのですが、すぐ隣ではASIMOがこのようなことをしていたのです。なかなか画期的でした。当時のスタッフたちが苦労して実現したらしいのですが、うまくいっていました。

 うちのロボットは、こういうことはできません。陸上ロボットがいいのは、かわいらしいところです。全自動でジャンケンをしたりすると、皆が見てくれて「いいね」と言ってくれるわけです。この写真はASIMOのスケルトン模型で、内部がどのようになっているかが見える。それをきれいなお姉さんが説明してくれるというのは素晴らしいと思います。ですが、うちのロボットは水中で動くので、なかなかそうはいかない。

 しかし一方で、ASIMOは海に潜れません。このとき、ASIMOの開発メンバーの方々は僕らの水中ロボットを知っていて、われわれのブースに見に来て「これが水中ロボットか」と言っていました。そこで、「それじゃあ、ASIMOと水泳の競争をしましょう」と言ったら、「泳げません」と返されました。自律型ロボットといっても、海の中で泳ぐことと陸で歩くことはいろいろと違うのです。その違いは重要です。


●パイプの表面写真を撮るのがTri-Dog1号の仕事


 その2001年当時、私たちは「Tri-Dog(トライドッグ)1号」というロボットをつくっていました。これは、その数年前に行われた進水式です。Tri-Dog1号が初めて水の中に潜ったのです。ロボフェスタ神奈川2001では、このロボットを泳がせました。ASIMOはいかにもロボットという感じがしますが、Tri-Dog...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
水から考える「持続可能」な未来(1)気候変動の現在地
最悪10メートル以上海面上昇…将来に禍根残す温暖化の影響
沖大幹
ヒトの性差とジェンダー論(1)「性」とは何か
MLBのスーパースターも一代限り…生物学から迫る性の実態
長谷川眞理子
本当によくわかる「量子コンピュータ入門」(1)量子コンピュータとは何か
「量子コンピュータ」はどういうもので、何に使えるのか
武田俊太郎
ブラックホールとは何か(1)私たちが住む銀河系
太陽系は銀河系の中で塵のように小さな存在でしかない
岡朋治
都市木造の可能性~木造ビルへの挑戦(1)木造建築の歴史と現在
伝統木造建築はいま都市で必要な建物ではない
腰原幹雄
培養肉研究の現在地と未来図(1)フェイクミート市場とリアルミート研究
食肉3.0時代に突入、「培養肉」研究の今に迫る
竹内昌治

人気の講義ランキングTOP10
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
歴史の探り方、活かし方(7)史料の真贋を見極めるために
質疑編…司馬遼太郎の「史料読解」をどう評価する?
中村彰彦
内側から見たアメリカと日本(7)ジャパン・アズ・ナンバーワンの弊害
ジャパン・アズ・ナンバーワンで満足!?学ばない日本の弊害
島田晴雄
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
熟睡できる環境・習慣とは(2)酒、コーヒー、ブルーライトは悪者か
ブルーライトは悪者か?近年分かった「第3の眼」との関係
西野精治
経験学習を促すリーダーシップ(3)成功の再現性と教え上手の指導法
教え上手の指導法に学ぶ!成功の再現性を高める4ステップ
松尾睦
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(1)ポピュリズムの台頭と社会の分断化
デモクラシーは大丈夫か…ポピュリズムの「反多元性」問題
齋藤純一
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫