自律型海中ロボットの仕事
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海底の地図を作り「全体像」を明らかにするロボットたち
自律型海中ロボットの仕事(4)ロボットで「森」を見る
科学と技術
浦環(東京大学名誉教授/株式会社ディープ・リッジ・テク代表取締役)
「自律型海中ロボットによって、“森”が見えるようになった」と語るのは、九州工業大学社会ロボット具現化センター長・特別教授の浦環氏だ。“森”とは一体何か。自律型海中ロボットは何を実現し、私たちに何をもたらしているのか。浦氏が、自律型海中ロボットの具体的なエピソードと成果を語る。(全4話中第4話)
時間:17分10秒
収録日:2016年5月17日
追加日:2016年9月7日
≪全文≫

●最初のターゲットは明神礁


 その後、私たちはベヨネーズ海丘に出かけています。これは明神礁にあるベヨネーズ列岩という有名な岩です。この辺りにはたくさんの海底カルデラがあって、熱水地帯になっているので、それを調査しました。

 海中ロボットがしなければならない仕事はたくさんありますが、最近の重要な仕事は海底の熱水鉱床の調査です。「海のジパング計画」でもご説明したように、日本の周りにはたくさん海底カルデラがあって、熱水鉱床が形成されています。すでに発見されている数の10倍、100倍あるのではないかとも言われています。その候補の一つがベヨネーズ海丘です。目的としては、熱水活動を発見します。またこのカルデラは急峻な崖に囲まれていますので、潜航するのは難しい。さらに黒潮が流れていますから、ロボットを潜らせるのは危険です。われわれとしては、そうした危険なところにあえて潜らせて、能力を上げていきたいのです。簡単な仕事をさせるだけだと楽ですが、それでは駄目なのです。

 伊豆小笠原諸島からマリアナ諸島まで、ずっと列島になっています。この列島に沿って海底火山や火山があります。明神礁はこの辺りです。海底の地形図を見ると、このようになっています。これが明神礁カルデラで直径が7キロほど。阿蘇山のカルデラが直径20キロくらいですから、その3分の1の大きさです。阿蘇山は、上から見ればカルデラの広がりが分かりますが、海底では音響を使って地図を作らないと私たちが見ることができません。その北に明神海丘カルデラ、ベヨネーズカルデラ、南の方にはスミスカルデラという大きなカルデラがあります。われわれは後でこちらの方にも行きました。

 われわれの最初のターゲットは、明神礁カルデラでした。明神礁、ベヨネーズ、明神海丘、スミスの各カルデラを立体的に見るとこのように見えます。明神礁カルデラは深さが900メートルほど。ベヨネーズカルデラはもう少し浅くて800メートルくらいです。


●危険なところにこそ、ロボットが行くべき


 まず明神礁についてご説明したいと思います。われわれはロボットの行き先をよく勉強しておかなければ、潜らせることができません。ここがベヨネーズ列岩で、もう地形が分かっていました。カルデラはこのように広がっています。われわれは、最初はこの火山、カルデラを調査しなければならないと思って...

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