「r2D4」インド洋を潜る
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
あわや調査中止!? 困難を乗り越えて
「r2D4」インド洋を潜る(2)危機一髪
浦環(東京大学名誉教授/株式会社ディープ・リッジ・テク代表取締役)
九州工業大学社会ロボット具現化センター長・浦環氏が語る「r2D4インド洋を潜る」。複雑な海底地形、困難な潜航計画、そして立ちはだかる壁。この回では、この調査で最大の危機となった大きな困難との遭遇が語られる。(全3話中第2話)
時間:12分13秒
収録日:2016年5月17日
追加日:2016年10月5日
≪全文≫

●潜航計画は、海底地形図の入手から


 まず、r2D4がどれだけ潜ったかですが、この広い海の中で1回に最大60キロメートル、せいぜい50キロメートルほどしか潜っていないので、そんなに多くは潜っていません。ここでテストして、ここで何回か潜って、ここは1回だけ潜りました。同時にいろいろな調査をしています。

 このようなところに行くときに、われわれは何を考えて行くかというと、いろいろ準備をします。まず、できるだけ詳細な海底地形図がなければなりません。そして、何のために潜航するかという潜航目的をクリアにして、ロボットの性能に応じて何ができるかを計画します。それから、重要なのは、何らかの理由でロボットが途中で潜航を中断した場合にも、きちんと一定の成果が得られること。つまり、潜航が最初から最後まで全部終わらなければ成功ではないということではなく、途中でも成果が上がるプランを目指すということです。

 いろいろと苦労しましたが、まず最初にロジェ海台への潜航を説明します。これがロジェ海台です。この辺りは非常に複雑な地形をしています。海嶺系の中心はここを走っているのですが、随所にボツボツと丸い岩や何かがあって、地形はとても複雑です。その広がって拡大軸になっているところの海台を狙って、29潜航、30潜航、31潜航と、潜航をしました。


●無名の海底地形に名前を付ける


 海域にはいくつもの岩山がありますが、それらには名前がありません。そこでわれわれはまず最初にこの地形図を作った時に、これらの岩山に名前を付けることにし、どういう名前を付けようかと議論をしました。その時、船上で昼食をとりながら、女優のブリジット・バルドーの話をしていました。彼女が最近、猫や犬と生活をしているという話になった時に、ではブリジット・バルドーを発掘したのは誰かというと、映画監督で彼女の最初の夫となるロジェ・ヴァディムです。ロジェ・ヴァディムは5回結婚をしていて、奥さんが5人います。よく知られた人ではキャサリン・ドヌーヴ、ジェーン・フォンダがいますが、そういう奥さんたちがいます。そこで、「よし、それではこの海底の地形図にロジェ・ヴァディムの女たちにちなんだ名前を付けよう」ということを私が提案して、皆「それはいい」ということになりました。

 そこで、全体を「ロジェ海台」と名付け、特徴的なところに女性の...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
都市木造の可能性~木造ビルへの挑戦(1)木造建築の歴史と現在
伝統木造建築はいま都市で必要な建物ではない
腰原幹雄
社会はAIでいかに読み解けるのか(1)経済学理論の役割
AIやディープラーニングによって社会分析の方法が変わる
柳川範之
本当によくわかる「量子コンピュータ入門」(1)量子コンピュータとは何か
「量子コンピュータ」はどういうもので、何に使えるのか
武田俊太郎
ヒトの性差とジェンダー論(1)「性」とは何か
MLBのスーパースターも一代限り…生物学から迫る性の実態
長谷川眞理子
水から考える「持続可能」な未来(1)気候変動の現在地
最悪10メートル以上海面上昇…将来に禍根残す温暖化の影響
沖大幹
進化生物学から見た「宗教の起源」(1)宗教の起源とトランス状態
私たちにはなぜ宗教が必要だったのか…脳の働きから考える
長谷川眞理子

人気の講義ランキングTOP10
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
歴史の探り方、活かし方(7)史料の真贋を見極めるために
質疑編…司馬遼太郎の「史料読解」をどう評価する?
中村彰彦
内側から見たアメリカと日本(7)ジャパン・アズ・ナンバーワンの弊害
ジャパン・アズ・ナンバーワンで満足!?学ばない日本の弊害
島田晴雄
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
熟睡できる環境・習慣とは(2)酒、コーヒー、ブルーライトは悪者か
ブルーライトは悪者か?近年分かった「第3の眼」との関係
西野精治
経験学習を促すリーダーシップ(3)成功の再現性と教え上手の指導法
教え上手の指導法に学ぶ!成功の再現性を高める4ステップ
松尾睦
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(1)ポピュリズムの台頭と社会の分断化
デモクラシーは大丈夫か…ポピュリズムの「反多元性」問題
齋藤純一
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫