遠隔操縦機~カメラロボ
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ロボット学者の威信をかけて南三陸町海底の再調査へ
遠隔操縦機~カメラロボ(4)ロボット学者の威信
科学と技術
浦環(東京大学名誉教授/株式会社ディープ・リッジ・テク代表取締役)
九州工業大学社会ロボット具現化センター長・浦環氏が、3.11の震災後、大槌・南三陸の海底を調査することとなった経緯を解説する。南三陸町では別グループが先に調査を行っていたが、ロジの不用意のために成果を上げることができなかった。ロボット、そしてロボット学者の威信をかけて、浦氏は南三陸町の再調査を決意する。(全5話中第4話)
時間:12分05秒
収録日:2017年1月27日
追加日:2017年5月21日
≪全文≫

●被災地の海底へ調査に向かった理由


 次に、われわれがどうして志津川あるいは大槌に行ったのか、あるいはロボットたちがどのような成果を上げ、それに基づいて何をしようと考えたか、ということをお話しします。

 震災があり津波が起こったときに、海に関するさまざまなことが起き、すべきことが山のようにあると思いました。遠隔操縦機による海底の調査もその一つです。当時私は、東京大学の海洋アライアンスという機構をつくり、横型組織の中で、東京大学として、また海に携わる人間として一体何ができるのかを考え、調査団を派遣したりもしました。もちろん、ロボットに何ができるかということも考えていましたが、先に申しましたようにロジなどのいろいろな状況を考えて、すぐに出て行く状況にはないと思っていたのです。

 しかし、大槌には東京大学の施設があります。その周りの海中あるいは海底に関して、できる限りの努力をすることが務めであろう思い、4月の中旬に大槌に行くことを決めました。


●NHKの記者が大鎚での調査に協力してくれた


 実はその前にも一度、東京大学海洋アライアンスの調査団として、石巻や気仙沼、大船渡に小型のロボットを持っていき、どういう状況になってるいるのかを調べてきました。問題点をある程度は理解していたのです。ロジは苦しいということは分かっていましたが、そこにはすでに東京大学のグループが入っていたので、彼らとやればきちんとした海上活動ができると考えていました。

 そこで、これから大槌へ行って海中活動の調査をするということをTwitterで流したところ、NHKの大庭さんという人から急にファクスが来ました。われわれの調査を取材させてくれないかと言ってきたのです。取材はもちろん結構ですよと言ったら、彼は現場にもうすでに入っており、いろいろと調べてくれました。船は佐々木さんという方が持っていて、それが使える。佐々木さんに協力の約束を取り付けてくれました。また漁業関係では、黒澤さんという方がいろいろと面倒を見てくれる。このように、彼が走り回ってくれました。

 この時にNHKさんの能力というか、足の速さをつくづく感じました。NHKの協力を得たのですが、とはいえ分からないことが山のようにあり、テント生活を覚悟で大槌に向かったのです。


●大鎚の人々が寝所や船の面倒を見てくれた


 4月末の大槌はこのような具...

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