新著『大学4年間の金融学が10時間でざっと学べる』を語る
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
3つの切り口でバランスよく学べる金融学の本
新著『大学4年間の金融学が10時間でざっと学べる』を語る
植田和男(第32代日本銀行総裁/東京大学名誉教授)
共立女子大学国際学部教授の植田和男氏が、2017年7月に発刊された新著『大学4年間の金融学が10時間でざっと学べる』について語る。同書は、植田氏が学者的観点と日本銀行政策委員会などでの経験をもとに書いた金融の教科書ともいえる本で、これから金融について学ぼうとする人だけでなく、既に金融に携わっている人にもおすすめの一冊だ。
時間:9分32秒
収録日:2017年7月19日
追加日:2017年8月15日
≪全文≫

●10時間で金融学の基礎が学べる教科書


 今回は、私の新しい本『大学4年間の金融学が10時間でざっと学べる』(KADOKAWA)が発売になりましたので、ちょっとした宣伝をさせていただきたいと思います。ポイントの1つは、もちろん金融に関する教科書であるということです。それから、「大学4年間」とありますように、主に初心者向けとして高校生程度の知識があれば読める教科書というつもりで書きました。また、帯に「東大で学ぶ」とありますが、私が東大で数十年間教えてきた講義、あるいはゼミでの教材等をベースに書き上げた教科書ということになっています。


●3つの切り口でバランスよく金融学を解説


 では、この本の狙いをお話しして、それから内容についてご紹介してみたいと思います。狙いとしては、金融に関する経済学は大まかに3つの分野に分かれますが、それをバランス良く取り入れたということです。

 1つは「ミクロの金融」とよくいうのですが、典型的には銀行のような組織はなぜ存在して、どういうことを考えて、どういうことをするのか、それに伴ってどういう問題が起こるのかという話をきちんとやるという分野です。それから、もう1つは「マクロの金融」といったりしますが、銀行や家計・企業、これらが独自の原理で行動するときに、経済全体としてどういう金融現象が起こるかということを見る分野です。典型的には、インフレ率がどのように決まって、どのように動いていくのか、それを中央銀行が制御するにはどうしたらいいのか、あるいはさらに、そうした話はグローバルにどのようにつながっているのかという側面です。

 それから、ミクロ・マクロの金融のどちらにも関係しますが、資産価格がどのように決まるのかという点をかなり厳密に分析したり、あるいはそれに基づいてつくられている金融商品、派生商品等がどのように利用できるのかということを勉強する分野として「ファイナンス入門」があります。これら3つの分野を全体的にカバーする教科書になっています。


●基礎理論に加えて、経験に基づいた最前線の話題も豊富


 この本の別の面からの特徴ということでいえば、今申し上げたような3つの分野の基礎理論だけでなく、現在最先端で活躍されている金融関係者が念頭に置いているような話題をなるべく豊富に取り入れて解説したことです。

 その際、手前みそになりますが、単純に学者的...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
日本のエネルギー&デジタル戦略の未来像(1)電動化で起こる「カンブリア爆発」
日本のエネルギー政策を「デジタル戦略」で大転換しよう
岡本浩
日本人が知らないアメリカ政治のしくみ(1)アメリカの大統領権限
権限の少ないアメリカ大統領は政治をどう動かしているのか
曽根泰教
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
墨子に学ぶ「防衛」の神髄(1)非攻と兼愛
『墨子』に記された「優れた国家防衛のためのヒント」
田口佳史
財政問題の本質を考える(1)「国の借金」の歴史と内訳
いつから日本は慢性的な借金依存の財政体質になったのか
岡本薫明
日本人が知らない自由主義の歴史~前編(1)そもそも「自由主義」とは何か
消極的自由と積極的自由?…なぜ自由主義がわかりづらいか
柿埜真吾

人気の講義ランキングTOP10
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
歴史の探り方、活かし方(3)古書店巡りからネット書店へ
ネット古書店で便利に買える時代…「歴史探索」の意義とは
中村彰彦
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?
島田晴雄
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(4)全てをつなぐ密教の世界観
密教の世界観は全宇宙を分割せずに「つないでいく」
鎌田東二
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(5)恐るべき台湾への「浸透」
浸透工作…台湾でスパイ裁判が約70件、それも氷山の一角
垂秀夫
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(3)認知バイアスとの正しい向き合い方
知ってるつもり、過大評価…バイアス解決の鍵は「謙虚さ」
今井むつみ
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
編集部ラジオ2025(28)内側から見た日米社会の実状とは
島田晴雄先生の体験談から浮かびあがるアメリカと日本
テンミニッツ・アカデミー編集部
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(2)言葉を理解するプロセスとスキーマ
なぜ子どもは教えられても理解できないのか?鍵はスキーマ
今井むつみ
定年後の人生を設計する(1)定年後の不安と「黄金の15年」
不安な定年後を人生の「黄金の15年」に変えるポイント
楠木新