2018年の経済動向~インフレ率と金利~
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
日本銀行としては金利を引き上げる決断は難しい
2018年の経済動向~インフレ率と金利~
植田和男(第32代日本銀行総裁/東京大学名誉教授)
2017年後半から続く「ぬるま湯相場」は、2018年も続いていくのか。日本経済もアメリカ経済も、現在の低金利水準が上昇すれば、株価は大きく崩れるだろう。インフレ率と金利に着目して新年の相場を見る必要があるということを、共立女子大学国際学部教授の植田和男氏が解説する。
時間:15分59秒
収録日:2017年12月22日
追加日:2018年1月2日
≪全文≫

●2017年後半から「ぬるま湯相場」が続いている


 半年ほど前、2017年7月末に内外の金融政策、インフレ率、資産価格、経済の関係についてお話ししました。今回は、それから半年がたって、これらの動きがどうなったのかということをお話ししようと思います。

 前回もほとんど同じ図を見ていただきましたが、この図の左側がアメリカの中央銀行(FED、連邦準備制度理事会)の最近の金融政策の動きです。半年前に予想したように、FEDは秋口から買い入れた資産を徐々に減らしていくという意思決定をするとともに、年末には一度金利を引き上げています。今回はあまり触れませんが、欧州中央銀行(ECB)も最近、2018年の初めから資産の買入額を減らしていくという意思決定をしました。

 前回、私は2017年後半には2つの可能性があると指摘しておきました。第1に、金利が上がって株価やその他の資産価格が大きく崩れるということです。通常よく使われる表現で言えば、「適温相場」あるいは「ぬるま湯相場」が崩れるということです。ぬるま湯相場とは、例えばインフレ率があまり変動せず、金融引締めのペースもゆっくりであるか、あるいはほとんど引き締められないという場合に、株価が強く推移している状態を指します。今後はこうした相場が崩れるのではないかと、指摘したのでした。

 第2に指摘したのは、こうした適温相場、あるいはぬるま湯相場が続いていく可能性があるということでした。主な理由としては、インフレ率があまり上がらず、そのために金融引き締めのペースもゆっくりになるということです。

 こうした2つの可能性を指摘しておいたのですが、実際にはこの半年間は、第2の可能性に近い状態で世界経済が動いてきました。

 例えば、過去1年間のアメリカの10年国債の金利を見ると、2017年11月には多少金利が上がっていますが、1年間の平均ではほとんど大きな動きはありません。年末に金利が上がっているのは、その時期にドナルド・トランプ政権が減税政策を決定したからでしょう。

 株価を見ると、S&P500種指数は2017年初頭には2200程度だったのですが、最近では2700近くになっており、2割ほど着実に上昇しています。


●インフレ率次第で、新年の相場や金融政策が大きく揺れる



スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
本当によくわかる経済学史(1)経済学史の概観
経済学史の基礎知識…大きな流れをいかに理解すべきか
柿埜真吾
「次世代地熱発電」の可能性~地熱革命が拓く未来
地熱革命が世界を変える――次世代地熱の可能性に迫る
片瀬裕文
戦争とディール~米露外交とロシア・ウクライナ戦争の行方
「武器商人」となったアメリカ…ディール至上主義は失敗!?
東秀敏
緊急提言・社会保障改革(1)国民負担の軽減は実現するか
国民医療費の膨張と現役世代の巨額の「負担」
猪瀬直樹
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
トランプの誤謬…米国製造業を壊した犯人は米国の経営者
島田晴雄
日本の財政政策の効果を評価する(1)「高齢化」による効果の低下
高齢化で財政政策の有効性が低下…財政乗数に与える影響
宮本弘曉

人気の講義ランキングTOP10
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(9)秀吉が作った公武統一政権と歴史のif
公武統一政権を作った秀吉の狙いとその歴史的意味
黒田基樹
AI時代と人間の再定義(4)自分と出会うチャンス
人生はエネルゲイア――AIにない「自分と出会うチャンス」
中島隆博
ポスト国連と憲法9条・安保(1)国連の構造的問題
核保有する国連常任理事国は、むしろ安心して戦争できる
橋爪大三郎
衰退途上国ニッポン~その急所と勝機(1)安いニッポンと急性インフレ
世界で一人負け…「安い国」日本と急性インフレの現実
宮本弘曉
これからの社会・経済の構造変化(1)民主主義と意思決定スピード
フラット化…日本のヒエラルキーや無謬性の原則は遅すぎる
柳川範之
「進化」への誤解…本当は何か?(7)進歩思想としての進化論と社会進化論
適者生存ではない…進化論とスペンサーの社会進化論は別物
長谷川眞理子
プラトン『ポリテイア(国家)』を読む(1)史上最大の問題作
全米TOP10大学の必読書1位が『ポリテイア(国家)』
納富信留
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
「次世代地熱発電」の可能性~地熱革命が拓く未来
地熱革命が世界を変える――次世代地熱の可能性に迫る
片瀬裕文
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典