再生可能エネルギーの技術革新と蓄電池の価格破壊
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
日本は再生可能エネルギーの評価・予測ができていない
再生可能エネルギーの技術革新と蓄電池の価格破壊
小宮山宏(東京大学第28代総長/株式会社三菱総合研究所 理事長/テンミニッツ・アカデミー座長)
2016年に世界中で数多くの発電所が造られたが、その7割は再生可能エネルギーである。再生可能エネルギーの技術革新には目を見張るものがあるが、それを適切に評価し予測することはエネルギー政策にとって欠かせない。技術革新の評価と予測の重要性について、東京大学第28代総長で株式会社三菱総合研究所理事長の小宮山宏氏が解説する。
時間:8分33秒
収録日:2017年12月21日
追加日:2018年2月14日
≪全文≫

●最もコストが安い発電は再生可能エネルギーだ


 現在、エネルギーの分野で非常に大きな変革が起きているということは、皆さんご存じのことでしょう。2016年には、世界中で新しい発電所がたくさん造られましたが、そのうちのおよそ70パーセントは再生可能エネルギーの発電所です。風力発電、水力発電、太陽光発電の3つが中心ですが、地熱やバイオマスの発電所もあります。

 そして、ガスと石炭を用いる火力発電所がおよそ25パーセント、残りの5パーセントほどが原子力発電所です。これが現代の世界が選んだ選択です。主として自由主義経済の下で、最もコストが安い発電は再生可能エネルギーだと認識され始めているのです。


●日本で20万円する電池をテスラモーターズは2万円で販売している


 さらに、再生可能エネルギーでは風力と太陽光が中心になりますが、この2つは変動が激しい発電です。変動のための対策として、電池が非常に重要な役割を果たします。よく指摘されているのは、この電池が非常に高価であるという問題です。

 しかし、電池の価格を調べてみると面白いことが分かります。1キロワットの電力を1時間供給するという意味で、1キロワットアワーが電池の主要な単位の1つになっています。1キロワットアワーの電池は、日本ではおよそ20万円です。ところが3年ほど前、同じ電池をアメリカのテスラモーターズが、日本円にしておよそ3万5千円で発売すると発表して、世界を驚かせました。今では2万円程度で売られているそうです。つまり、日本で20万円ほどで売られている電池をテスラモーターズは2万円で販売しているのです。

 ところがある時、商社の方からこんな話を聞きました。リチウムバッテリーなどの蓄電池を製造している化学会社で、同じ電池を自動車会社に1万円で納入しているところがあるというのです。別の商社の方にこの話が本当なのかを聞いてみたところ、本当のことで、それどころか最新の納入価格では8千円だというのです。

 この事態を皆さんはどのようにお考えになるでしょうか。日本で20万円で売られている電池が、2万円で市販されており、化学会社が自動車会社に納入している価格はさらに1万円から8千円にまで値下がりしているのです。


●きちんとした予測をしていれば、不思議ではない


 ここで、2つのことを申し上げたいと思います。第1に、新しい技術をめぐって世界が競争を...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
ブラックホールとは何か(1)私たちが住む銀河系
太陽系は銀河系の中で塵のように小さな存在でしかない
岡朋治
レアメタルの光と影(1)イントロ
イノベーションがレアメタルをコモンメタルにする
岡部徹
進化生物学から見た「宗教の起源」(1)宗教の起源とトランス状態
私たちにはなぜ宗教が必要だったのか…脳の働きから考える
長谷川眞理子
生成AI・大規模言語モデルのしくみ(1)生成AIとは何か
10年で劇的な進歩を遂げた生成AIと日本の開発事情
岡野原大輔
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
発酵はマジックだ!
色を消し、脂を溶かし、水を分解―スゴすぎる発酵の力!
小泉武夫

人気の講義ランキングTOP10
石原慎太郎と三島由紀夫と近衛文麿(1)政治家・石原慎太郎の源流と核の問題
石原慎太郎と三島由紀夫と近衛文麿…対比で見えてくる現代的課題
片山杜秀
編集部ラジオ2026(15)昭和の名将・樋口季一郎
【10min解説】ユダヤ人救出、奇跡の撤退…名将・樋口季一郎
テンミニッツ・アカデミー編集部
AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(1)最新研究から見えてくる未来像
AI大格差…なぜ日本の雇用環境では「ショックが大きい」のか?
宮本弘曉
昭和の名将・樋口季一郎…キスカ・占守島編(1)キスカ島撤退作戦
5200人の将兵を救え…米軍も称賛した「キスカ島撤退作戦」の奇跡
門田隆将
ウェルビーイングを高めるDE&I(2)人と組織を取り巻く環境変化:後編
なぜ日本の幸福度は低すぎるのか?会社任せで失われる自律性
青島未佳
イラン戦争と終末論(3)トランプ・ネタニヤフの終末論的共生
私利私欲で世界を振り回す二人の指導者とイラン戦争の実態
東秀敏
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(8)シオニズムとユダヤ教
シオニズムは伝統的なユダヤ教とは異質…イスラエル建国の背景
鶴見太郎
百姓からみた戦国大名~国家の本質(1)戦国時代の過酷な生存環境
戦国大名と民衆の過酷な課題…飢饉の常態化をどう生き延びるか
黒田基樹
昭和の名将・樋口季一郎…ユダヤ人救出編(5)陸軍悪玉論の中の名将たち
武力を持ったエリート官僚たち…陸軍悪玉論と個々人の決断
門田隆将
天下人・織田信長の実像に迫る(1)戦国時代の日本のすがた
織田信長の「天下」とは…最新研究で激変する人物像・時代像
柴裕之