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同じモンスーン地帯のアジアの川にも最適な中小水力発電

中小水力発電の対アジア輸出で創造型需要をつくる

小宮山宏
東京大学第28代総長/株式会社三菱総合研究所 理事長/テンミニッツTV座長
概要・テキスト
中小水力発電が日本で現実に普及するかどうかは、国内だけの問題ではない。同じモンスーン地帯に属するアジアの多くの川で、実現が待たれている。株式会社三菱総合研究所理事長・小宮山宏氏に、その意味を伺ってみた。
時間:06:10
収録日:2015/03/11
追加日:2015/04/10
≪全文≫

●中小水力発電は、アジアの川にも最適だ


 水力発電、特に中小水力発電の良い点として日本に重要な点は、前回お話しした通りです。今回は、これがアジアに最適であることを述べましょう。

 アジアや日本はモンスーン地帯なので、「流れ」の形態に似ているところがあるのが一つの理由です。例えば、ミシシッピー川のようなもっとゆっくり流れる川は、水量は多いけれど、水力発電にはあまり適していません。ヨーロッパの川も同様で、上流にたくさん雨が降ったとき、上がった水位が下流まで行くのに10日以上かかります。日本の川は2、3時間でバーッと流れてしまいます。アジアにはそういう川も多く見られます。


●高度全体技術としてシステム実験は不可欠


 水力発電の原理は、水車、つまり、タービンが川の流れで回り、電気を取り出すことです。しかし、実際にこれをシステムとして動かすのは、タービンだけではできません。100台のタービンがあるとすると、そこから電気を集めて、電線伝いにグリッドといわれる使う側の設備に接続していく必要があります。それから、全体を管理する集中管理室のような情報システムに近いものも必要です。これらが全体として、中小水力発電システムを構成するのですから、非常に高度な全体技術になるのです。

 ですから、やはり日本国内での実験が必要になってきます。できれば農業用水路の上から下までに50台なり100台のタービンを入れて、本当にうまく全体管理ができるのかを調べなければなりません。今度のタービンは非常によくできていて、水が外に出ていきゴミなどもなるべくたまらないようになっていますが、それでもたまることはあります。そういうときに、1台が止まったら全体に影響を及ぼしたりはしないのか。そこだけを止めてもう一度動かせば、また全体としてきちんと復旧するのか。さまざまなシステム特性を実験していく必要があります。


●中小水力発電の技術が世界に貢献する


 これができれば、アジアが待っています。なぜかというと、アジアにもすでに三峡ダムのような例があるからです。大きなダムを造ると、三峡ダムの場合は105万人が移住しなければなりませんでした。日本も何度か経験していますが、三峡ダム一つで、故郷を失う人が105万人も出現しているのです。

 それから、前回も言ったように、ダム経由で農業用水として使いますから...
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