●再生可能エネルギーで7割を自給できる
では、私たちの目標はどこに置くべきなのでしょうか。これは、エネルギーに関して終始一貫している私の提案ですが、再生可能エネルギーによるエネルギーの自給国家です。しつこいようですが、人工物は飽和して、エネルギー効率が上がります。冷蔵庫の数も、もう増えることなどありません。けれども、この20年間で日本の冷蔵庫の電力消費は5分の1に減っているのです。
そのように、人工物が飽和してエネルギー効率は上がるため、省エネによるエネルギー減が、甘く見てもこれぐらいは見込めます。皆、ここの見込みが弱いのです。もっともっといけます。ここには原子力も入っていますから、原子力を除くと約9パーセントになりますが、現状に対して32パーセント程度の再生可能エネルギーは十分可能なのです。そうすると、これは7割自給という絵が描けるということです。ここを目指しましょう。
●再生可能エネルギーは安いし、量も十分ある
そんなことはできるのか。皆さん、そう思っておられるでしょう。「再生可能エネルギーはいいけれども、高い」「少しは安くなってきたかもしれないけれど、量が足りない。日本は狭い国だ」と思っておられるでしょう。それはもう昔の話なのです。
30年前なら、太陽電池の電気は1キロワットアワー(kWh)で200円しました。今は何と比べるべきかというと、国のデータでは、LNG(液化天然ガス)の火力が13.7円と計算されています。原子力は10.1円です。ただし、10.1円以上です。今後どれだけ高くなるか、分からないからです。つまり、1kWh10円、あるいは14円というのが今の電気の値段です。それに対して、科学技術振興機構 低炭素社会戦略センターの試算によれば、太陽光はすでに16円になっています。
いまやいろいろなものが安くなっています。高いといわれたパワーコンディショナー(直流を交流に変換し、家庭用として利用するための機器)も、予想通りとても安くなってきています。効率も上がっていることもあり、太陽光は16円で、陸上の風力も16円まで下がってきています。地熱が約12円にまでなってきています。後は小水力が残っています。大きいものはありませんが、小水力を全部足すと、100万キロワットの火力発電所7基分ぐらいのポテンシャルがあります。小さいから大変で...