持続可能で明るい低炭素社会
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
量も十分、もっと安くなる再生可能エネルギー
持続可能で明るい低炭素社会(3)再生可能エネルギーの時代
小宮山宏(東京大学第28代総長/株式会社三菱総合研究所 理事長/テンミニッツ・アカデミー座長)
太陽光発電、風力発電、地熱発電。再生可能エネルギーがいいことは分かっている。「でも価格が高いし、供給量が不安定」。そう思っている人は多いだろう。だが、実はそれは全く誤った先入観だと、株式会社三菱総合研究所理事長で科学技術振興機構低炭素社会戦略センター長・小宮山宏氏はデータや事実を基に解説する。日本が再生可能エネルギーによるエネルギー自給国家を目指す方法とは。(2015年6月23日開催 一般社団法人地球温暖化防止全国ネット設立5周年記念式典基調講演「持続可能で明るい低炭素社会 ビジョン2050の実現は視野に入った!」より、全4話中第3話目)
時間:8分56秒
収録日:2015年6月23日
追加日:2015年7月30日
≪全文≫

●再生可能エネルギーで7割を自給できる


 では、私たちの目標はどこに置くべきなのでしょうか。これは、エネルギーに関して終始一貫している私の提案ですが、再生可能エネルギーによるエネルギーの自給国家です。しつこいようですが、人工物は飽和して、エネルギー効率が上がります。冷蔵庫の数も、もう増えることなどありません。けれども、この20年間で日本の冷蔵庫の電力消費は5分の1に減っているのです。

 そのように、人工物が飽和してエネルギー効率は上がるため、省エネによるエネルギー減が、甘く見てもこれぐらいは見込めます。皆、ここの見込みが弱いのです。もっともっといけます。ここには原子力も入っていますから、原子力を除くと約9パーセントになりますが、現状に対して32パーセント程度の再生可能エネルギーは十分可能なのです。そうすると、これは7割自給という絵が描けるということです。ここを目指しましょう。


●再生可能エネルギーは安いし、量も十分ある


 そんなことはできるのか。皆さん、そう思っておられるでしょう。「再生可能エネルギーはいいけれども、高い」「少しは安くなってきたかもしれないけれど、量が足りない。日本は狭い国だ」と思っておられるでしょう。それはもう昔の話なのです。

 30年前なら、太陽電池の電気は1キロワットアワー(kWh)で200円しました。今は何と比べるべきかというと、国のデータでは、LNG(液化天然ガス)の火力が13.7円と計算されています。原子力は10.1円です。ただし、10.1円以上です。今後どれだけ高くなるか、分からないからです。つまり、1kWh10円、あるいは14円というのが今の電気の値段です。それに対して、科学技術振興機構 低炭素社会戦略センターの試算によれば、太陽光はすでに16円になっています。

 いまやいろいろなものが安くなっています。高いといわれたパワーコンディショナー(直流を交流に変換し、家庭用として利用するための機器)も、予想通りとても安くなってきています。効率も上がっていることもあり、太陽光は16円で、陸上の風力も16円まで下がってきています。地熱が約12円にまでなってきています。後は小水力が残っています。大きいものはありませんが、小水力を全部足すと、100万キロワットの火力発電所7基分ぐらいのポテンシャルがあります。小さいから大変で...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
ChatGPT~AIと人間の未来(1)ChatGPTは何ができて、何ができないか
ChatGPTは考えてない?…「AIの回答」の本質とは
西垣通
断熱から考える一年中快適で健康な住環境(1)日本の住宅の実態と問題点
なぜ日本は夏暑く、冬寒いのか…断熱から考える住宅の問題
前真之
進化生物学から見た「宗教の起源」(1)宗教の起源とトランス状態
私たちにはなぜ宗教が必要だったのか…脳の働きから考える
長谷川眞理子
巨大地震予知の現在地と私たちにできること(1)地震予知研究と前兆すべり
地震予知に挑む!確かな前兆現象を捉える画期的手法とは
梅野健
培養肉研究の現在地と未来図(1)フェイクミート市場とリアルミート研究
食肉3.0時代に突入、「培養肉」研究の今に迫る
竹内昌治
本当によくわかる「量子コンピュータ入門」(1)量子コンピュータとは何か
「量子コンピュータ」はどういうもので、何に使えるのか
武田俊太郎

人気の講義ランキングTOP10
平和の追求~哲学者たちの構想(6)EU批判とアメリカの現状
理想を具現化した国連やEUへの批判がなぜ高まっているのか
川出良枝
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎
戦争とディール~米露外交とロシア・ウクライナ戦争の行方
「武器商人」となったアメリカ…ディール至上主義は失敗!?
東秀敏
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境に対峙する哲学カフェ…西洋哲学×東洋哲学で問う矛盾
津崎良典
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
組織心理学とは何か~『武器としての組織心理学』と概論
なぜ組織に「心理学」が必要か?多様化と個の時代の処方箋
山浦一保
プロジェクトマネジメントの基本(1)国際標準とプロジェクトの定義
プロジェクトマネジメントとは?国際標準から考える特性
大塚有希子
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(1)史実としての豊臣兄弟と秀長の役割
豊臣兄弟の謎…明らかになった秀吉政権での秀長の役割
黒田基樹
渡部昇一の「わが体験的キリスト教論」(1)古き良きキリスト教社会
古き良きヨーロッパのキリスト教社会が克明にわかる名著
渡部玄一