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生成AIは人類の希望…生成AIで教養を高めて問題解決せよ

完全循環型社会と教養の時代(2)生成AIで教養を高める

小宮山宏
東京大学第28代総長/株式会社三菱総合研究所 理事長/テンミニッツTV座長
情報・テキスト
人類は再生可能エネルギーと都市鉱山による「完全循環社会」という方向へ向かっている。再生可能エネルギーはその普及予測が何度も書きかえられるほど急速に普及しており、都市鉱山への可能性としてスクラップからEV車を作るという試みに成功している。さらに、進歩の著しい生成AIとの協働によって「教養」を高める時代がやってくる。これによって、知の局在を解決し、相互理解を達成していける可能性がある。これらによって、問題を解決していける可能性こそ、人類の希望であろう。(全2話中第2話)
時間:13:16
収録日:2023/11/22
追加日:2024/01/08
≪全文≫

●IEAの「再生可能エネルギー普及予測」が毎年どんどん増加


 (前回の話を受けて)、少し具体的に「こちらに向かっている」というお話をさせていただこうと思います。一つは再生可能エネルギー、もう一つは都市鉱山。この二つ(の方向)へ人類は向かっているという話です。

 こちらのスライドが再生可能エネルギー(に関するもの)です。エネルギーに関しては、IEA(International Energy Association、国際エネルギー機関)という国際機関が世界で最も信頼できるデータを作り、予測をしています。こちらの出してくる予測自体がどんどん変わってきています。

 2010年というと、それほど昔ではなく、13年前にあたります(編注:2023年11月収録時)。こちらは少し複雑な図ですが、2030年にはどうなっているかということを2010年に予測しているのが、こちら(左グラフの左端)です。(内訳としては)一番下(黄緑色)が再生可能エネルギー(風力、太陽光)ですが、上のブルーも再生可能エネルギーである水力発電です。その上にある橙色が原子力発電、ピンク色がガスの火力発電、一番上、赤みがかったオレンジ色が石炭火力発電です。

 2010年時点では、2030年に下の二つを足した3割弱(28パーセント)ほどが再生可能エネルギーになっているだろうとIEAでは予測していました。ところが、(その予測値が)毎年増えてきています。直近の2023年が一番右側になりますが、再生可能エネルギーだけで33.4パーセント、水力発電が14パーセントということで、47.4パーセントとほぼ半分近くが再生可能エネルギーになると予測しているわけです。

 2010年に予測した時よりも(再生可能エネルギーへの転換の)テンポが速いため、予測自体が変わってきています。これが、今後2030年までにどんな推移をたどるかというと、この先も毎年予測値が増えてくるだろうと考えるのが普通です。そうすると、2030年頃には大体65パーセント、つまり3分の2ぐらいが再生可能エネルギーになっているだろうと。それに加えて10パーセントほどの核、原子力発電が残るとすると、4分の3が非化石(燃料)になるということです。


●2040年の再生可能エネルギー普及率はほぼ100%に


 この頃(2030年頃)になると、皆さんはどう思われるか。つまり温暖化がさらに進み、おそらく東京でも40度というような事態が起こり始めているわけですから、「やはり二酸化炭素を減らすことは不可欠である」と世界の多くの人が思っているでしょう。そして、脱炭素ということができそうだとも、2030年頃には皆さんが思っているはずです。

 そのときには、化石資源に対するペナルティが非常に大きくなっています。今はCO2が1トンに対して1万円という程度の価格で、人はものを考えているわけですが、まず確実に、これが3倍にはなるだろうと私は思っています。

 これによって、石油・石炭・天然ガスの類はますます使いにくくなります。ですから、2040年を予測するのが右の図になりますが、再生可能エネルギーの(占める割合が)毎年5パーセントずつ増えるという急速な予測(の変化)がIEAから出ているわけです。

 もしも2030年時点で「2040年がどうなっているか」ということを考えるとすれば、おそらく100パーセント近く再生可能エネルギーが占めるという予測が出てくるでしょう。その頃、原子力がどれぐらい残っているかは分かりませんが、いずれにせよ主力が再生可能エネルギーになるということは、ほぼ確実だと思います。つまり、エネルギーは、再生可能エネルギーで人類はやっていけることになるわけです。


●都市鉱山への可能性――スクラップから自動車を作る試みに成功


 それから、昨年(2023年)11月10日は、「東京製鐵」というスクラップの鉄を溶かして新しい鉄を作る企業がベンチャー企業と組んで、スクラップから自動車を作る試みに成功した(というニュースが報道されました)。

 写真の左側にある小さな車はEVなのですが、このEVは72パーセントがスクラップからの鉄でできています。「ハイテン(高張力鋼板=High Tensile Strength Steel Sheets)」という素材が自動車には不可欠なのですが、従来は「スクラップではできない」といわれていました。ですが、そのハイテン(高張力鋼板)ができたということです。

 さらに強い素材を「スーパーハイテン(超高張力鋼板)」と呼びますが、今後は設備投資さえすればスーパーハイテンもできるのがほぼ確実になってきています。

 一方で、「飽和」という状況を考えると、スクラップを回し、都市鉱山を回して資源を使っていくという文明がもう見えてきます。昨年(2023年)はそういう状況であったものが、今年(2024年)はさらに進んでいくので...
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