完全循環型社会と教養の時代
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
生成AIは人類の希望…生成AIで教養を高めて問題解決せよ
完全循環型社会と教養の時代(2)生成AIで教養を高める
小宮山宏(東京大学第28代総長/株式会社三菱総合研究所 理事長/テンミニッツ・アカデミー座長)
人類は再生可能エネルギーと都市鉱山による「完全循環社会」という方向へ向かっている。再生可能エネルギーはその普及予測が何度も書きかえられるほど急速に普及しており、都市鉱山への可能性としてスクラップからEV車を作るという試みに成功している。さらに、進歩の著しい生成AIとの協働によって「教養」を高める時代がやってくる。これによって、知の局在を解決し、相互理解を達成していける可能性がある。これらによって、問題を解決していける可能性こそ、人類の希望であろう。(全2話中第2話)
時間:13分16秒
収録日:2023年11月22日
追加日:2024年1月8日
≪全文≫

●IEAの「再生可能エネルギー普及予測」が毎年どんどん増加


 (前回の話を受けて)、少し具体的に「こちらに向かっている」というお話をさせていただこうと思います。一つは再生可能エネルギー、もう一つは都市鉱山。この二つ(の方向)へ人類は向かっているという話です。

 こちらのスライドが再生可能エネルギー(に関するもの)です。エネルギーに関しては、IEA(International Energy Association、国際エネルギー機関)という国際機関が世界で最も信頼できるデータを作り、予測をしています。こちらの出してくる予測自体がどんどん変わってきています。

 2010年というと、それほど昔ではなく、13年前にあたります(編注:2023年11月収録時)。こちらは少し複雑な図ですが、2030年にはどうなっているかということを2010年に予測しているのが、こちら(左グラフの左端)です。(内訳としては)一番下(黄緑色)が再生可能エネルギー(風力、太陽光)ですが、上のブルーも再生可能エネルギーである水力発電です。その上にある橙色が原子力発電、ピンク色がガスの火力発電、一番上、赤みがかったオレンジ色が石炭火力発電です。

 2010年時点では、2030年に下の二つを足した3割弱(28パーセント)ほどが再生可能エネルギーになっているだろうとIEAでは予測していました。ところが、(その予測値が)毎年増えてきています。直近の2023年が一番右側になりますが、再生可能エネルギーだけで33.4パーセント、水力発電が14パーセントということで、47.4パーセントとほぼ半分近くが再生可能エネルギーになると予測しているわけです。

 2010年に予測した時よりも(再生可能エネルギーへの転換の)テンポが速いため、予測自体が変わってきています。これが、今後2030年までにどんな推移をたどるかというと、この先も毎年予測値が増えてくるだろうと考えるのが普通です。そうすると、2030年頃には大体65パーセント、つまり3分の2ぐらいが再生可能エネルギーになっているだろうと。それに加えて10パーセントほどの核、原子力発電が残るとすると、4分の3が非化石(燃料)になるということです。


●2040年の再生可能エネルギー普及率はほぼ100%に


 この頃(2030年頃)になると、皆さんはどう思われるか。つまり温暖化がさらに進み、おそらく東京でも40度というような事態が...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
ヒトはなぜ罪を犯すのか(1)「善と悪の生物学」として
ヒトが罪を犯す理由…脳の働きから考える「善と悪」
長谷川眞理子
ヒトの性差とジェンダー論(1)「性」とは何か
MLBのスーパースターも一代限り…生物学から迫る性の実態
長谷川眞理子
培養肉研究の現在地と未来図(1)フェイクミート市場とリアルミート研究
食肉3.0時代に突入、「培養肉」研究の今に迫る
竹内昌治
ChatGPT~AIと人間の未来(1)ChatGPTは何ができて、何ができないか
ChatGPTは考えてない?…「AIの回答」の本質とは
西垣通
現在の宇宙の姿(1)星はなぜ自ら輝くのか
宇宙に関するニュースを理解するために宇宙の姿を学ぶ
岡村定矩
ブラックホールとは何か(1)私たちが住む銀河系
太陽系は銀河系の中で塵のように小さな存在でしかない
岡朋治

人気の講義ランキングTOP10
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
編集部ラジオ2025(27)なぜ何回説明しても伝わらない?
なぜ伝わらない?理解の壁の正体を今井むつみ先生に学ぶ
テンミニッツ・アカデミー編集部
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(2)量子論と空海密教の本質
脳内の量子的効果――ペンローズ=ハメロフ仮説とは
鎌田東二
内側から見たアメリカと日本(2)アメリカの大転換とトランプの誤解
偉大だったアメリカを全否定…世界が驚いたトランプの言動
島田晴雄
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(2)バイアスの正体と情報の抑制
『100万回死んだねこ』って…!?記憶の限界とバイアスの役割
今井むつみ
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ
エンタテインメントビジネスと人的資本経営(1)ソニー流の多角化経営の真髄
ソニー流「多角化経営」と「人的資本経営」の成功法とは?
水野道訓
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(2)「ほめる」技術
男性は「ほめる」のが苦手?傾聴から始まる「ほめる」技術
三谷宏治
徳と仏教の人生論(1)経営者の条件と50年間悩み続けた命題
宇宙の理法――松下幸之助からの命題が50年後に解けた理由
田口佳史