知識の爆発
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
光合成に関する人類の知識量はこの百年で千倍以上増加!
知識の爆発
小宮山宏(東京大学第28代総長/株式会社三菱総合研究所 理事長/テンミニッツ・アカデミー座長)
「光合成」の細部をすべて理解している専門家は存在しない?知識の量が爆発的に増加した現代。何が起き、どう対応すべきか「知識の構造化」と「情報技術」をキーワードに考えていく。
時間:8分43秒
収録日:2013年12月6日
追加日:2014年6月30日

●膨大な知識量増加が生んだ「個人知の限界」


 それでは、「知識の爆発」についてお話したいと思います。知識の量が、この20世紀から今にかけて膨大に増えました。その増え方というのは、おそらく千倍とか1万倍とかそれほどの量が増えたのです。

 知識の量が増えたということは、もちろん人類にとってはいいことなのですが、1人の人が分かる部分が異様に小さくなってしまったという問題も含んでいるわけです。

 例えば、私が学生だった頃は、「生命科学」はなかったのです。ゲノムがワトソン、クリックによって発見されてからまだ50数年しか経っていません。ということは、私が学生のときには、まだ生命科学という形で習ったことはありませんでした。

 それから、「情報科学」というのもありませんでした。まだそろばん、計算尺といったような時代でしたから、情報科学というものもなかったのです。量子力学というのはありました。ですが、今のようにレーザーといったものが当たり前で、量子力学なしには技術者が動かないといったような状況ではありませんでした。量子力学そのものも、まだそれほど重要ではありませんでした。

 そういう意味で言うと、今、生命科学と情報科学と量子力学、これら三つを勉強しないで済んだら楽ですよね。つまり、それぐらい新しい知識というのは無駄に増えているということです。だから、われわれ年寄りが、「最近の学生がこういうことも知らない、ああいうことも知らない」などと言っても、それは無理だということなのです。それが一つ。

 それからもう一つの事例をお話しますと、こういうことにわりあい早く気がついた人がやはり世界にはいて、私が知っているのはセシという、フランスの人だったと思いますが、確か1982年に論文を書いています。これは、大変な実験をしたのです。本当にトップ、メジャーと言われる学術誌12誌を選んで、それらの雑誌に3年以内に既に掲載されている論文を、もう1回投稿するという実験をしたのです。 そのような優れた学術誌というのは、その分野のことを一番よく知っているだろうと思われる審査員が大体3人ぐらいで見るわけです。例えば、「エネルギー分野だったら小宮山先生に見てもらおう」といったことです。そういう形で、トータル4人で読むところもあるので、計39人の審査員がその12の論文を読んだのですが、そのうち、この論文が3年以内に出た再投稿...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(1)神とは何か、そして天皇とは?
日本と世界の「神と信仰」の違いは?…そして天皇の大切な役割
橋爪大三郎
現代の小児科学と最高の子育て(1)現代の小児科学の役割
困難の克服と幸せな人生の獲得、それが小児科学の目的
高橋孝雄
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
プラトン『ソクラテスの弁明』を読む(1)真実の創作
プラトンの『ソクラテスの弁明』は謎多き作品
納富信留
『孫子』を読む :計篇(1)「戦わずして勝つ」の意味
「戦わずして勝つ」ことを唱える『孫子』が注目される理由
田口佳史

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(37)長谷川眞理子先生の公開収録!
【アンケート&公開収録】長谷川眞理子先生:男と女でどう違う?能力の高め方
テンミニッツ・アカデミー編集部
ロシア人の見る「ロシアの歴史」(2)タタールのくびきと「第三のローマ」
なぜロシアが「第三のローマ」なのか?…東ローマ帝国とモンゴル帝国の根深い影響を探る
上月豊久
『「甘え」の構造』と現代日本(1)「甘え」のインパクト
「甘え」は現代においてダメなものなのか…名著『「甘え」の構造』への2種類の誤解とは?
與那覇潤
『万葉集』と律令社会~官僚の心得と歌宴(1)国守・大伴家持と地方社会の日常
『万葉集』でわかる奈良時代の貴族と地方豪族の関係と日常…歌人・大伴家持の歌に秘められた国守時代の苦労話
上野誠
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
「満洲」から考える日本とアジア(1)「満洲」を知る意義とは
「満洲史」はなぜ現代日本でタブー視されるのか?…王道楽土の夢とアヘンなどの裏面から見えてくる現代への教訓
宮脇淳子
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
「進化」への誤解…本当は何か?(1)進化の意味と生物学としての歴史
実は生物の「進化」とは「物事が良くなる」ことではない
長谷川眞理子
万葉集の秘密~日本文化と中国文化(1)万葉集の歌と中国の影響
『万葉集』はいかなる歌集か…日本のルーツと中国の影響
上野誠
江戸とローマ~日本酒とワイン(2)ローマの酒文化とファストフード
ポンペイのファストフード店、遺跡が物語るローマの酒文化
本村凌二