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安倍・菅体制で官邸からのコントロールが相当利いている

内閣改造とは何か~安倍政権の内閣改造を分析・評価する~

曽根泰教
慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツTV副座長
概要・テキスト
第2次安倍改造内閣(平成26年9月3日発足)
出典:首相官邸ホームページ(http://www.kantei.go.jp/jp/96_abe/meibo/index.html)より
地方創生や女性の登用を目玉として打ち出した2014年9月の安倍政権の内閣改造。曽根泰教氏が安倍政権の特徴を明らかにしつつ、今回の内閣改造を分析・評価し、内閣改造の本質を浮き彫りにする。
時間:17:02
収録日:2014/09/11
追加日:2014/09/21
カテゴリー:
≪全文≫

●二つの反省を活かし、スタートラインがうまくいった安倍政権


 安倍政権が内閣改造をしましたが、内閣改造とは何なのかというお話をします。

 そもそも安倍政権が出来上がったときには、二つの反省から出発しました。一つは、第一次安倍内閣が約1年という非常に短命に終わったことです。もう一つは、民主党政権が失敗したということです。その二つの反省に、いくつかの要因が重なるわけですが、例えば、経済政策一つとっても、第一次安倍内閣のときの金融政策や経済政策は、やはり付け焼刃的なかなり薄っぺらいものだったのです。

 ところが、今回の安倍内閣では、政権交代前にアベノミクスを打ち出します。これも、第一の矢、第二の矢、第三の矢とそれぞれ評価はありますが、特に金融から入り、株価を上げ、スタートラインがうまくいきました。これによって、支持率は落ちても半分を少し割るくらいに止めています。そういう点で、安倍内閣は、第一次安倍内閣とは大きく違います。

 もう一つ、大きく違うのは、衆参がねじれていないということです。ということは、当たり前のことですが、法案は基本的には通りますので、その意味で国会運営はやりやすいのです。

 安倍内閣が、これだけ持続して支持率が高い理由は何なのかと、よく聞かれるのですが、一つは、以前に比べて随分周到だと思います。その理由の一つは、例えばスキャンダルや失言で辞めた大臣がいないからです。つまり、2年弱の任務をまっとうできたということが、この内閣の特徴です。少なくとも国民の期待値は、「1年くらいで交代してしまう政権はもうこりごりよ」というものですから、それに対しては、持続するというだけでも安倍内閣の価値はあると思います。もちろん、問題は中身ですが、中身に関しては異論もあるし、さまざまな解釈も可能でしょう。


●官邸からのコントロールが相当利いている政権


 さて、内閣改造に関連して、自民党が長期政権であったときの内閣改造のイメージで今でも語る人がいます。安倍政権はすでに違う段階に差しかかっていると思いますが、例えば、「幹事長をやっていれば総裁選に出てもいい」とか、「内閣に入ると総裁選に出るのは難しい」という意見です。しかし、それは自民党長期政権時代の話なのです。つまり、どちらも難しいのです。例えば、選挙に敗れれば、首相だけではなく幹事長も責任をとらなければい...
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