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リーマン・ショック後のアメリカの金融緩和の終了と影響

米国の異例の金融緩和終了へ

植田和男
第32代日本銀行総裁/東京大学名誉教授
概要・テキスト
2014年10月第2週のマーケットは、世界中で大荒れの状況となった。植田和男氏は、その背景として「アメリカの金融政策がらみの影響も大きい」と語る。リーマン・ショック以降続いてきた異例とも言えるアメリカの金融緩和政策はついに終焉を迎えるが、この影響等について植田氏が解説する。
時間:18:03
収録日:2014/10/21
追加日:2014/10/22
≪全文≫

●過去2週間の市場の大荒れは米国の金融政策がらみの動きに反応した部分も大きい


 それでは、今日は、過去2週間くらい世界中でマーケットがかなり大荒れになりましたが、その背景について若干お話をさせていただきたいと思います。

 マーケットが荒れた背後には、IMF(国際通貨基金)も言っていましたが、世界経済の見通しが少し暗くなってきたということもあります。特に日本、中国、それからヨーロッパですね。日本は消費税後の反動にまだ苦しんでいますし、中国は金融危機後に打った大きな対策の反動で、不動産をはじめとして設備等をつくりすぎてしまった反動にいまだに苦しんでいます。それからヨーロッパは、ご案内のように、日本のようなデフレの時期に行ってしまうのではないかというリスクも噂されています。このような悪い材料がいくつか出てきたということはありますが、とりあえずのここでのタイミングで言えば、アメリカの金融政策がらみの動きに対する反応の部分も非常に大きかったのではないかと思われます。


●米国の金融緩和全体が近い将来に終了するという段階に入っている


 そこで、今日はそのあたりに焦点を絞って少しお話してみたいと思います。ご案内のように、アメリカの異例の金融緩和政策と呼ばれるものが、二つないし三つのコンポーネントから成り立っていますが、それがいずれもだんだんと終わりに近づきつつあるということです。

 まず、当面はいわゆる量的緩和、あるいは大規模資産購入です。米国債やMBS(住宅ローン担保証券)をFED(連邦準備制度)が購入してきたのですが、これは一応FEDが方針を変えない限り、間もなく終了するということになっています。

 それから、ゼロ金利は2008年の暮れからですので、すでに今年の暮れで6年になりますけれども、これも大きな事態の変化がない限り、来年のどこかで、半ばないし半ば過ぎくらいまでには引き上げられるということが言われています。

 あと、もう一つのアメリカの緩和の様相は、時間軸政策ということで、ゼロ金利や量的緩和を長く続けるという約束なのですが、これもゼロ金利や量的緩和そのものがだんだん終わってしまいますので、今後はだんだん下火になり、弱い力しか持たなくなっていくということだと思います。

 従って、米国の異例の金融緩和全体が、近い将来に終了していくという段階に入って...
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