飽和型から創造型に移り変わる需要
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
飽和社会、残るわずかなシェアを競ってもゼロサム競争に
飽和型から創造型に移り変わる需要
小宮山宏(東京大学第28代総長/株式会社三菱総合研究所 理事長/テンミニッツ・アカデミー座長)
時代は「飽和型需要」から「創造型需要」に向かうべきだ、と株式会社三菱総合研究所理事長・小宮山宏氏は語る。飽和社会において、その「創造型需要」の鍵になるのが再生可能エネルギーなのだが、中でも小宮山氏が注目するのが中小水力発電である。その多くのメリットを紹介しつつ、さらにビジネス生態系構想を論ずる。
時間:13分27秒
収録日:2015年2月5日
追加日:2015年3月21日
≪全文≫

●工業が行き渡り、迎えた「飽和」の時代

 
小宮山 私は、これからの未来社会を考えていくときに、時代のキーワードは「飽和」だと思っています。それは今まで先進国が独占していた工業を世界が共有し始め、どこでも工業をやるようになってきたという意味です。「工業」とは「産業革命」のことですから、つまり「産業革命が世界中に行き渡った」という意味で、「飽和した」ということです。

 その結果、何が起こったかというと人間の持っているモノが飽和したのです。私が子どもの時は白黒テレビです。それまではラジオしかなくて音しか聞いていなかったのが、画面が動くのですからね。私の小学校のクラス50人の中で、テレビがある家は電気屋さんのお宅だけでしたから、学校が終わると、そこに見に行ったわけです。

―― 1950年代半ばから後半、今から60年前のことですね。

小宮山 子どもだけではなく、親も欲しいわけであって、お金ができればモノを買った。これが高度成長のスタートです。

 その高度成長の終わりが、私が大学生だった頃から、1960年代から70年代にかけてで、自動車のカー、クーラー、カラーテレビで「3C」と言われましたが、その後はこのような大きな需要の動きはありません。いま先進国は大体二人に1台、日本であれば5800万台の車があって、車を二人に1台持ったら、それ以上は増えないという意味です。ですから、先進国は人口も飽和しているし、持っているモノも飽和しているから、需要は買い替えでしか、生まれないのです。


●新しい雇用を生み、「創造型需要」の時代へ

 
―― それが「飽和型需要」なのですね。

小宮山 私はこれを「飽和型需要」と呼んでいます。「アジアの新しい需要を成長に取り込もう」という考え方は正しいのですが、これは「アジアのまだ飽和に至っていないところのシェアを取っていきましょう」という話ですよね。これも今の日本にとって、既存産業が生き残るためには不可欠な話なのですが、これはゼロサムの競争なのです。日本は需要を取りたいけれど、フォルクスワーゲンもGMも取りたいわけで、そこをどうやって取るか、という話ですから一人勝ちは無理ですよね。最終的には、例えばテレビにしても何にしても、相当多くの国が自国でつくるようになるでしょう。トヨタだって、国内ではなくてタイでつくるでしょうし。そういう種類の競争...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
知能と進化(1)知性と身体性
AI、ディープラーニングとは…知能と身体性は不可分か?
長谷川眞理子
本当によくわかる「量子コンピュータ入門」(1)量子コンピュータとは何か
「量子コンピュータ」はどういうもので、何に使えるのか
武田俊太郎
生成AI・大規模言語モデルのしくみ(1)生成AIとは何か
10年で劇的な進歩を遂げた生成AIと日本の開発事情
岡野原大輔
ヒトの性差とジェンダー論(1)「性」とは何か
MLBのスーパースターも一代限り…生物学から迫る性の実態
長谷川眞理子
進化生物学から見た「宗教の起源」(1)宗教の起源とトランス状態
私たちにはなぜ宗教が必要だったのか…脳の働きから考える
長谷川眞理子
性はなぜあるのか~進化生物学から見たLGBT(1)有性生殖と無性生殖
なぜ雄と雌の2つの性別があるのか…「性」の謎とLGBT
長谷川眞理子

人気の講義ランキングTOP10
インフレの行方…歴史から将来を予測する(1)インフレの具体像を探る
270年の物価の歴史に学べ…急激な物価上昇期の特徴と教訓
養田功一郎
ソニー流「人的資本経営と新規事業」成功論(1)人を真に活かす人事評価とは
ソニー流の「人材論」「新規ビジネス論」を具体的に語ろう
水野道訓
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
おもしろき『法華経』の世界(9)「如来寿量品」と三身論
仏の寿命は無量で久遠に実在する…「如来寿量品」の神秘
鎌田東二
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(2)翻訳に込めた日米の架け橋への夢
アメリカ人の心を震わせた20歳の日系二世・三上弘文の翻訳
門田隆将
こどもと学ぶ戦争と平和(2)「本当の平和」とは何か
「平和」には2つある…今の日本は本当に平和なのか?
小原雅博
逆境に対峙する哲学(10)遺産を交換する
ナイチンゲールの怒りから学ぶこと…逆境の中で考えるとは
津崎良典
平和の追求~哲学者たちの構想(7)いかに平和を実現するか
国際機関やEUは、あまり欲張らないほうがいいのでは?
川出良枝
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(6)政治と経済をつなぐ公共哲学
どのような経済レジームを選ぶか…倫理資本主義の可能性
齋藤純一
プロジェクトマネジメントの基本(1)国際標準とプロジェクトの定義
プロジェクトマネジメントとは?国際標準から考える特性
大塚有希子