経営者としての生きる証―ゲーム理論の実践
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経営者としての生きる証―ゲーム理論の実践
小林喜光(元東京電力ホールディングス株式会社 取締役会長)
「日本の産業界を真にグローバルな設計にするにはまだまだ時間がかかる」と、三菱ケミカルホールディングス社長・小林喜光氏は語り、今の安定をなかなか手放したがらない業界、経営者に厳しい目を向ける。その小林氏をして、困難だらけの社長業を続けさせようとする原点となるものは何なのか?化学業界、ひいては日本の産業界をけん引する“哲人経営者”の原動力を探る。
時間:14分48秒
収録日:2014年9月1日
追加日:2015年4月4日
≪全文≫

●企業が真の競争力をつけるために必要な、大きな枠への転換


―― 片方で古い型をつぶしながら、もう片方でイノベーションを進めていくというのは、やはり大変ですよね。

小林 時間軸が全然違うのです。つぶすのは数年でつぶせますが、イノベーションはその10倍、20~30年かかりますからね。この何とも言えない綾がどううまく紡げるかではないでしょうか。

―― それにしても非常に難しいチャレンジですよね。

小林 はい。でも、外はそれをもう要求していて、できないところは10年後にはどうなっているか分からないくらいスピードが上がっていますからね。それこそ生きていけないと思います。

―― 市町村は合併でその数も半分になっています。

小林 そうそう。それなのに、企業はほとんど減っていない。これはどういうことなのか。3600ぐらいの市町村が減って1800、たった10年やそこらでそこまで減るわけではないですか。企業は、古いとか新しいとか言っても、全然新しくなっていません。食品や化学では、何万という会社が相変わらず存在しています。「グローバルに展開して幅を広くしてやっている」というのならまだしも、バイオは、まだまだかなりドメスティックなところでやっている部分もありますからね。

―― 企業を半分に減らすということになったら、ものすごく競争力が上がりますよね。化学業界で言えば、売上1000億や2000億くらいの規模でやるのは非常に難しいですね。そういう中途半端なサイズの会社がなくなると、かなり違った展開になります。

小林 いや、十分変わり得ますね。また、アメリカやドイツの5兆円くらいの会社を二つか三つにまとめてしまうというような流れも、僕が見る限りではもう無理でしょうね。本当はそのくらい大きな嵩というか枠になると、フォーカスする部分が変わって、逆にやりやすくなる。グローバルな意味で本当に強くなり、コンペティティブになる。こういう設計は、まだ少し時間がかかりそうですね。

 ですから、一番いいのは、本当にものすごいスピードと激しい競争の中で、社会的にどうなるかは別として、つぶれる会社が相当出てきて悪くなると、どこかでマージ(合併)する可能性が出てくるということです。そういう形でマージする時期が、ここ5年か10年の間に僕は必ず来ると思うのです。薬などの業界は特に早いでしょうし、化学も来...

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