松下幸之助の人づくり
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
松下幸之助が「勉強よりも掃除」と言った理由
松下幸之助の人づくり
上甲晃(志ネットワーク代表)
志ネットワーク代表、「青年塾」主宰者として、日本の若者の志を育てる人間教育を生涯のテーマとする上甲晃氏。その教育の実践には、隅々に至るまで松下幸之助氏の言葉、そしてその言葉を受けて上甲氏が考え実行してきたことが生かされている。上甲氏が語る、松下幸之助氏直伝・人間力を高める方法とは?(2015年3月20日開催日本ビジネス協会JBCインタラクティブセミナー講演より、全8話中第5話目)
時間:10分35秒
収録日:2015年3月20日
追加日:2015年4月6日
カテゴリー:
≪全文≫

●松下電器、松下政経塾、青年塾の人づくりの原点


 前回、松下幸之助の「心に刻み込む勉強」について触れましたが、それに関連する松下幸之助の人づくりについてご紹介してみたいと思います。

 昭和の初め頃、まだ松下電器産業株式会社(現パナソニック株式会社、以下「松下電器」)が中小企業に毛の生えた程度の規模だった頃の話であります。ある幹部が会合に出かけていきました。たまたま隣に座った人と名刺交換をして、「あなたは松下電器という会社にお勤めなんですか。ところで、松下電器とは何をつくっている会社ですか?」と聞かれたそうです。当然答えました「電気製品をつくる会社です」と。会社に帰ってそのことを社長に報告したのです。

 事の次第を話すと、「そうか。君どう答えたんや?」と社長の幸之助が聞くので、「そりゃ社長、ちゃんと電気製品つくる会社と答えておきました」と報告したのですね。その幹部社員は報告しながら、社長はきっとこう言うだろうなと思ったと言いました。「そうか。うちはまだ会社の名前を聞いただけではピンと来てもらえんか。残念やな。会社の名前を聞いたらすぐ、何をつくっている会社か分かってもらえるように、これからしっかり頑張らないかんな」と、これぐらいは言われると思ったそうです。

 しかし、幸之助の答えは全く違ったと言うのです。「なに? 君は松下電器は電気製品をつくる会社と答えた。その君の答えは、僕の考え方と違うな」と言ったのです。報告した人も、えっ? 他に何かつくっているかなと、思わず「社長、それはどういう意味ですか?」と聞きました。その時の答えは、まさに松下電器の人づくりの原点であり、松下政経塾の人づくりの原点であり、私がやっている青年塾の人づくりの原点であります。


●「松下電器は人間をつくる会社や」


 「君な、知識も大事やで。新しいこともいろいろ知っている。難しいこともいっぱい知っている。いろいろと専門的なことも知っている。高度なことも知っている。知識ももちろん大事や。技術も大事や。あるいは資格を取るということも誠に大事だ。しかしな、知識も技術も資格も、全て人生の道具にしか過ぎんのや。どんな立派な道具をそろえても、それを使う本人が人間として立派になってこないからには、絶対にええ仕事はできんのや。松下電器は電気製品をつくる前に、人間をつくる会社や」と、こう言ったので...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
本質から考えるコンプライアンスと内部統制(1)「法令遵守」でリスクは管理できない
「コンプライアンス=法令遵守」ではない…実例が示す本質
國廣正
野獣の経営、家畜の経営(1)経営センスが育つ土壌
ファーストリテイリングで経営者が育つ理由
楠木建
オリエント 東西の戦略史と現代経営論に学ぶ(1)ビジネスのヒントは歴史にあり
『失敗の本質』、中国古典…ビジネスのヒントを歴史に学ぶ
三谷宏治
東洋の叡智に学ぶ経営の真髄(1)経営とは何かをひと言で?
経営をひと言で?…松下幸之助曰く「2つじゃいけないか」
田口佳史
キャリア転換で人生を成功させる方法(1)2つの大きな潮流
なぜ40歳でキャリアについて一度考え直す必要があるのか
為末大

人気の講義ランキングTOP10
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境に対峙する哲学カフェ…西洋哲学×東洋哲学で問う矛盾
津崎良典
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(1)史実としての豊臣兄弟と秀長の役割
豊臣兄弟の謎…明らかになった秀吉政権での秀長の役割
黒田基樹
渡部昇一の「わが体験的キリスト教論」(1)古き良きキリスト教社会
古き良きヨーロッパのキリスト教社会が克明にわかる名著
渡部玄一
インテリジェンス・ヒストリー入門(1)情報収集と行動
日本の外交には「インテリジェンス」が足りない
中西輝政
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
平和の追求~哲学者たちの構想(4)ルソーが考える平和と自由
ルソーの「コスモポリタニズム批判」…分権的連邦国家構想
川出良枝
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(2)バイアスの正体と情報の抑制
『100万回死んだねこ』って…!?記憶の限界とバイアスの役割
今井むつみ
編集部ラジオ2025(31)絵で語る葛飾北斎と応為
葛飾北斎と応為の見事な「画狂人生」を絵と解説で辿る
テンミニッツ・アカデミー編集部
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(2)『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏への道
『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏のすごさ…波へのこだわり
堀口茉純
生成AI「Round 2」への向き合い方(5)生成AIの活用イメージ
Copilotの提供方法を紹介~一般向けから業務特化型まで
渡辺宣彦