“志”とは何か?
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
「後世のために何を植えられるか」がいま問われている
“志”とは何か?
上甲晃(志ネットワーク代表)
松下政経塾の理事・塾頭、常務理事・副塾長を歴任し、現在は志ネットワークの代表として、次代を担う人材の育成に注力する上甲晃氏は、「松下幸之助の晩年の10年間に仕えるのは、非常に得難い機会だった」と振り返る。松下幸之助氏が松下政経塾をつくったのは85歳の時。晩年を迎えていた松下氏がなぜ松下政経塾をつくったのか。そこにあったのは、まさに“志”だった。(2015年3月20日開催日本ビジネス協会JBCインタラクティブセミナー講演より、全8話中第1話目)
時間:12分20秒
収録日:2015年3月20日
追加日:2015年4月1日
カテゴリー:
≪全文≫

●10年間、松下政経塾の中に住み込み勤務


 改めまして、皆さん、こんばんは。私は、上甲と言います。よろしくお願いします。私は、松下政経塾の塾生ではなく、塾生を育てる方の立場でしたので、あらゆる意味において教育的責任を負っています。ですから、いろいろとご批判もあると思うのですが、その点は横に置きまして、今日は、私自身が経験し考えたことを自分の言葉でお話ししたいと思っていますので、よろしくお願いします。

 今から考えると、私は、松下幸之助の晩年の10年間に仕えるという、非常に得難い機会を頂きました。当時、松下幸之助は、政経塾の塾長であり、理事長でした。私は、現場の責任者である塾頭で、学校でいえば、校長先生のような立場でした。

 その時に、彼は嫌なことを言うのです。「君な、君が本当に人を育てようという気持ちがあるんやったらな、24時間365日、塾生と共に生活をする覚悟が、教える君になかったら人なんか育たんぞ」。要するに、教える側がサラリーマン根性では、人は育たない。24時間365日、共に生活をする覚悟が私になかったら、人は育たんぞ、と言ったのです。

 私は、その一言を聞いた瞬間、たまらんな、と思いました。私が松下電器産業株式会社(現パナソニック株式会社、以下「松下電器」)に入った最大の動機は、完全週休2日制の魅力だったからです。私が入社した年から完全週休2日制になりましたが、昭和40年ごろに、完全週休2日制などという会社は他になかったのです。話があちこちそれますけれど、「物事やるときはな、常に他に先駆けてというものがなければ、やる値打ちはないんや。あそこも週休2日か。ここも週休2日か。いつまでもうちだけ週休1日というわけにはいかんなと言って、やることは失敗する」と、松下幸之助が言うのです。ですから、やるときは何でも他に先駆けてというものがなかったらいかん、ということで、松下電器は、昭和40年から完全週休2日制になりました。

 私は、その魅力で入ったのです。その会社で、「24時間365日共に生活せい」というのは、たまらんと思いましたけれども、私は安心していました。相手は90近い年寄りです。そのうち忘れるだろうと思っていました。しかし、年寄りが頑固だということをすっかり忘れていたのです。会うたびに「覚悟できたか」と言うのです。結果的には、断りきれなくなり、...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
東洋の叡智に学ぶ経営の真髄(1)経営とは何かをひと言で?
経営をひと言で?…松下幸之助曰く「2つじゃいけないか」
田口佳史
エンタテインメントビジネスと人的資本経営(1)ソニー流の多角化経営の真髄
ソニー流「多角化経営」と「人的資本経営」の成功法とは?
水野道訓
イノベーションの本質を考える(1)イノベーションの定義
イノベーションの定義はパフォーマンスの次元が変わること
楠木建
ストーリーとしての競争戦略(1)当たり前の重要さ
柳井正氏の年度方針「儲ける」は商売の本筋
楠木建
バブル世代の現実とこれからの生き方
バブル世代は「バブル崩壊世代」、苦労の先に見えるものがある
江上剛

人気の講義ランキングTOP10
内側から見たアメリカと日本(6)日本企業の敗因は二つのオウンゴール
日本企業が世界のビジネスに乗り遅れた要因はオウンゴール
島田晴雄
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(5)『秘蔵宝鑰』が示す非二元論的世界
雄大で雄渾な生命の全体像…その中で点滅する個々の生命
鎌田東二
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――認知行動療法とポジティブ・ルーティーン
西野精治
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(7)不動産暴落と企業倒産の内実
不動産暴落、大企業倒産危機…中国経済の苦境の実態とは?
垂秀夫
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
古代中国の「日常史」(1)日常史研究とは何か
『古代中国の24時間』英雄だけでなく無名の民に注目!
柿沼陽平
戦国武将の経済学(1)織田信長の経済政策
織田信長の経済政策…楽市楽座だけではない資金源とは?
小和田哲男