松下電器を辞めて決めた「人生のテーマ」
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松下電器を辞めて決めた「人生のテーマ」
上甲晃(志ネットワーク代表)
従業員数10万人の松下電器産業から、妻と二人だけの“志ネットワーク”を創業した上甲晃氏。松下電器産業を辞める時、ショックなことがあったという。それは、それまで「人生のテーマ」がなかったことだった。上甲氏は“志ネットワーク”でどんな「人生のテーマ」を掲げたのか。バングラディッシュでの活動内容とともに語る。(2015年3月20日開催日本ビジネス協会JBCインタラクティブセミナー講演より、全8話中第3話目)
時間:12分23秒
収録日:2015年3月20日
追加日:2015年4月3日
カテゴリー:
≪全文≫

●辞めた成果は会社名での仕事からの卒業


 従業員数10万人の松下電器産業株式会社(現パナソニック株式会社、以下「松下電器」)から社員数2名になりました。もう一名の社員は通称「妻」とも言いますけれども、この社員がなかなか難しいとしみじみ感じます。今では向こうが経営者で、こちらが社員という感じです。

 本当に辞めてみて気が付いたことがたくさんあるのですが、一番気が付いたことは、私は松下電器という会社に勤めてきて何と偉そうな仕事の仕方をしてきたかということです。自分が零細企業の経営者になって初めてよく分かりました。なんと会社の名前で仕事をしてきたか。松下電器だったらホテルの打ち合わせに行っても、松下電器というだけで新入社員でも偉そうな顔ができるのです。それはなぜか。自分の力ではなく、会社の力なのです。そこが分からなかったのです。辞めてみて初めて分かったのです。これは、私が松下電器を辞めて分かった最大の成果です。つまり、会社を辞めた最大の成果は、会社の名前をバックにして偉そうに仕事してきた自分から卒業できたことなのです。

 “志ネットワーク”は、誰もこの名前を聞いたことがないと思います。時々間違って「しネットワーク」とか言われるので、「まだ死んでません」と言うのですが、その程度の会社なのです。そこに、例えば、今日のように「少し話をしてくれませんか」という話が来るのです。零細経営者として出発した時、どれほど有り難いことかと思いました。これが商いの初心なのです。私はその時に自分で決めたのです。講演の回数は1年間何回とは絶対に数えない。私はこう思ったのです。今日もそうです。いつもこう思っているのです。「今日は初めて講演をするつもりでやろう。そして、これが私の人生において最後の講演かもしれない」。要するに、私たちのような零細経営者にとっては、自分に与えられた瞬間に命を懸ける以外、明日を開く道はないのです。それが分かったのです。

 「明日を思い煩う無かれ。与えられたこの瞬間に命を懸けろ」

 これしかない、と気付かせてもらったのは、実は会社を辞めてからなのです。

 もし松下電器の頃に「ちょっと今度の日曜日の夜、新潟まで行ってくれんか? 集まるのは10人くらいやけど」と言われたら、私はこう言っていたでしょう。「日曜日くらい休ませろよ。そんな遠い所まで行ってられんぞ。わ...

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