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最大の脅威である北朝鮮にアメリカはどう対応するのか

トランプ政権研究(6)シリア・アフガニスタン・北朝鮮

島田晴雄
慶應義塾大学名誉教授
概要・テキスト
2017年4月6日、マールアラーゴにて
公立大学法人首都大学東京理事長の島田晴雄氏が、トランプ大統領の北朝鮮への対応を解説する。トランプ大統領はオバマ前大統領と違い、実際にシリアとアフガンに爆撃を行った。北朝鮮に対しても、武力攻撃を辞さないと脅しを与えている。しかし、アメリカが先制攻撃に出れば、北朝鮮は韓国と日本を壊滅させようとするだろう。(全11話中第6話)
時間:12:40
収録日:2017/05/23
追加日:2017/06/23
カテゴリー:
≪全文≫

●シリアへのミサイル攻撃は即決された


 習近平・中国国家主席との夕食会が終わる頃、ドナルド・トランプ氏から「今、シリアにミサイル攻撃をしたところだ」と報告があったようです。アメリカ側の報道では、習氏は理解を示したということですが、本当のところは分かりません。確かに夕食会のあった時刻、東地中海に展開していたアメリカの駆逐艦、ポーターとロスから、60発のトマホークが発射されました。正確に言えば、1発は失敗してしまったので59発ですが、それらがシリアの政府軍基地に着弾したのです。

 トランプ氏はこうした重大な決定を、即座に下してしまいました。決定的なきっかけは、愛娘のイヴァンカ氏が見せた1枚の写真だったそうです。それは、サリンのような毒ガスで死んだ子どもの写真でした。トランプ氏は、これはひどいとすぐに反応したのです。彼はもともと、文字を読むのが嫌いで、映像人間なのですが、同時に非常に情緒的な人間でもあります。それゆえ、こうした決定は非常にトランプ氏らしいとはいえます。

 しかし、外国を相手にミサイルをたたき込むわけですから、本当は多くの関係者とよく相談し、慎重かつ緻密に行わなければならないはずです。ところが、フロリダにいたマイク・ペンス副大統領など、ごく少数の側近だけと話をして、すぐに決めてしまいました。もちろん議会に報告する義務があるわけですが、ペンス氏がミサイル発射の数分前に一言だけ知らせた、という顛末だったようです。


●やるときはやるのだという意思の表明


 もちろんロシアは直ちに抗議しましたが、その後は特別な抗議をしているわけではありません。アメリカでは、このシリア空爆はかなり高い評価を得ました。トランプ大統領にとってこれは、「やるときはやるのだ」という意思の表明だったと言われています。ただ、どうもこれは、バラク・オバマ氏に対する当て付けという面もあったと思います。

 オバマ氏も大統領在任中、関係国がレッドライン(最後の一線)を越えたときは、力で抑制すると公言していました。例えばシリアについて、シリア市民の人命をないがしろにするような行動、例えば毒ガスによる大量殺害があれば、レッドラインを越えたものとして攻撃すると言っていました。ところが、国連の調査団がシリアでは、明らかにサリンのような毒ガスで2,000人もの市民が殺されていると報告をしています。つまり...
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