10MTVオピニオン|有識者による1話10分のオンライン講義
ログイン 会員登録
10MTVオピニオンは、有識者の生の声を10分間で伝える新しい教養動画メディアです。
このエントリーをはてなブックマークに追加

経験価値共創を起こすにはマネジメント層の目効きがカギ

サービソロジーと経営(4)サービスイノベーション(下)

村上輝康
産業戦略研究所 代表 
情報・テキスト
産業戦略研究所代表の村上輝康氏がサービスイノベーション推進の具体的方法について2回にわたって解説。後半の今回は、サービスの提供者、利用者、そしてマーケットで、どのように新たな価値共創が起こり、さらにひとまわり大きな持続可能なサービスイノベーションのサイクルの形成につながっていくのか、という点について学んでいく。(全9話中第4話)
時間:14:57
収録日:2017/09/20
追加日:2017/11/18
≪全文≫

●価値発信とデジタルでの態勢整備


 サービスイノベーションをどのように進めていくかという勘所について、サービソロジーがどのような貢献をなし得るかというお話を2回に分けてして行っています。今回はその後半です。

 前回、価値提案から利用価値共創、満足度評価、事前期待の形成までお話ししました。今回は、価値発信から始まります。利用者サイドに利用価値共創のサイクルが成立するわけですが、このサイクルの中で利用者である顧客は、必ず何らかの価値判断をしています。したがって、その中からいろいろなメッセージが発信されているはずなのです。満足度評価のステージ、そして、それが事前期待につながるステージと、いろいろな段階でメッセージが発信されます。


●提供者側は利用者のあらゆる価値発信を読み取るべき

 
 (前回でも事例として挙げましたが、)ホロホロ鳥の料理が気に入った顧客は、すぐにブログにその料理について感想を載せるかもしれませんし、ツィートするかもしれません。また、インスタグラムにコメントを入れて載せるかもしれません。スマート化社会、つまりデジタルなSNSが非常に活発になっている社会では、この価値発信の把握においてもデジタルなマーケットインテリジェンス、そうした世界での利用者の価値発信を捉える態勢を整備しておくことが非常に大事になってきます。

 それだけではなく、例えば年2回ほど行われるフォーマルな顧客満足度調査の結果や覆面のミステリーショッパーズ調査、店頭での顧客の非常に明確な謝辞、または苦情のつぶやきといったもの、あるいはお店の中でのちょっとしたしぐさや表情の変化など、あらゆるものが利用者の価値発信の中身になってくるのです。それがどんなにかすかなものであろうと、提供者側は必死で読み取る必要があります。

 普通のサービスドミナント・ロジックでは、価値共創は利用者サイドで起こるという考え方なのですが、スライドで挙げた「ニコニコ図」の場合、価値共創は、利用者サイドと同時に提供者サイドでも起こっているのではないか、と考えるのが非常に大きな特色となります。もし、提供者側が何ら価値発信を把握できないということになると、ここでサービスイノベーションのプロセスは終わってしまいます。しかも、提供者側の価値共創は全く起こらないということになってしまいます。ですから、価値発信でどの程度、どんな価値情報を読み取るかということは、提供者のサービスイノベーションの基本的な能力を規定することになります。


●価値発信と提供者の知識・スキルが出会って経験価値を共創


 もし、このレストランが、例えば「お客さんが春先にたくさん来る」「外国人のお客さんが多い」というようなことを把握したとします。そこで、提供者側の価値共創のプロセスに入るわけですが、利用者サイドの価値共創は、価値提案と事前期待が出会うことによって起こりました。提供者サイドの価値共創は、価値発信の把握の結果がその提供者がすでに蓄積している知識やスキルのストックと出会うことによって、起こり得るのです。価値発信の把握と知識・スキルの蓄積が出会って、その両者がダイナミックな相互関係を取り結ぶことが、提供者側の経験価値の共創になります。つまり、利用者サイドでは利用価値が共創され、提供者サイドでは経験価値が共創されると考えます。

 経験価値というと、バーンド・シュミット氏が提唱している「経験価値マーケティング」があります。「顧客接点で顧客がどういう経験をするかというのが経験価値なのだ」というのが今の通念なのですが、ニコニコ図の枠組みの中では、経験価値はあくまで「提供者がその先の価値提案、サービスイノベーションにつながっていくような知識・スキルを蓄積する経験」という意味を指しています。つまり、提供者サイドでの経験なのです。

 ですから、例えば「どうもお客さんが春先に多い」ということに気付く。それと、それまでのレストランの知識の蓄積を合わせて、いろいろなところで話がされる。そういう中で、日本の料理ではどんなものも旬を大切にしますが、われわれはフランス料理に旬があるとはあまり考えません。しかし、「どうも外国人はホロホロ鳥を春先に食べたがる」と気付くことによって、ホロホロ鳥に関しては旬があるのではないかというような議論が、知識の蓄積との相互関係の中で生まれてくるわけです。そうすると、その中から「それでは来年からは春先にホロホロ鳥のシーズンメニューのキャンペーンをやったらどうか」というような、そのレストランにとっての新しいサービスイノベーションのアイディアが湧き起こってきます。このようなダイナミックなプロセスが経験価値の共創ということです。


●サービソロジーにとって活発な分野は学習度評価についての開発


 利用者...
テキスト全文を読む
(1カ月無料で登録)
会員登録すると資料をご覧いただくことができます。