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社会の新たな枠組みを作るための3つのキーワード

これからの社会と働くということ(2)日本の持続可能性

古賀伸明
日本労働組合総連合会(連合)第6代会長
情報・テキスト
日本労働組合総連合会(連合)第6代会長の古賀伸明氏が「これからの社会と働くということ」について論じるシリーズ講義。古賀氏は日本社会の持続可能性を議論するにあたり、まず成熟化社会、超少子高齢・人口減少社会という2つの課題を指摘。これらの課題からさまざまな問題が噴出していることを挙げ、新たな枠組みを作っていくためのキーワードを提示する。日本社会のあり方を根本から見直すそのキーワードとは?(全6話中第2話)
時間:14:46
収録日:2017/12/27
追加日:2018/02/26
≪全文≫

●日本社会の2大課題‐成熟化、超少子高齢・人口減少


 さて、そのような状況の中で、日本の今の持続可能性はどうかということに話を移したいと思います。

 「今の日本の大きな課題を2つ挙げろ」といわれれば、ほとんどの人がこの2つを挙げるのではないかと思います。1つ目の大きな課題は、日本は成熟化社会に入っているということです。成熟化社会は2つの特徴があると思います。1つは低成長です。成長は重要です。しかし、過去のような高度成長はほぼ望めません。もう1つは、成熟社会は国民の意識や価値観が多様化するということです。過去のように1点だけで求心力を持つというような状態ではなくなるということです。

2つ目の大きな課題は、何といっても超少子高齢・人口減少社会です。国立社会保障・人口問題研究所が5年に1回、人口推計を出しています。2017年にその5年に1回の統計が出ました。そこでは2015年と2065年を比べているのですが、2015年、日本の人口1億2,000数百万人だったものが、2065年には8,800万人台になるという推計が出ています。また、超少子高齢化が進んでいますから、高齢化率も格段に上がっていきます。今、まだ20数パーセントの高齢化率が50年後の2065年には40パーセントに近づく、そのような状況になっていきます。

 加えて、生産年齢人口は1995年をピークに減少しています。1995年に8,700万人台だった生産年齢人口が20年後には約1,000万人減っているという状況になっています。この超少子高齢・人口減少社会は供給面で語られることが多いのですが、需要構造も大きく変化していくということを、私たちは肝に銘じておかなければならないのではないかと思います。


●なかなか解消しない非正規雇用、長時間労働問題


 次は、雇用、あるいは働き方の面で今の日本の状況を見てみたいと思います。ご案内の通り、現時点での完全失業率は2.数パーセント、そして、有効求人倍率は全都道府県で1倍をかなり超えるという、いわば量の面では完全雇用の状況といっても過言ではないと思います。しかし、残念ながら質を見た場合、本当に満足できるか。例えば、処遇が低い非正規労働者は4割近くいますが、なかなか減らないのです。中でも年収200万円以下の層が1,000万人います。こちらもなかなか減りません。1,000万人というと、雇用労働者の20数パーセントを占めます。これらの課題をどう解決をしていくか。

 一方、労働時間という側面から見ると、日本の働く者の労働時間は年間1,700時間台です。1,700時間といえば、ヨーロッパに比べたらまだまだ多いけれども、なかなか妥当な数字ではないかという感じがします。しかし、これは大きな数字のマジックといってもいいと思います。なぜ1,700時間なのか。短時間勤務の非正規の方が増えているから、頭数で割ると1,700時間になるのです。しかし、フルタイム労働者は2,000時間を軽く超えたところでずっと高止まりしているのです。したがって、過労死、過労自殺といった問題へとつながってきます。政府認定で毎年100人を超える人たちが過労死となるような先進国は他にありません。心身をどう守っていくかということは重要ですし、長時間労働を早く解消して、そして、誰もが働くことを通じて社会に参画できるという社会をつくらなければならないと思います。


●ワーストリストに定着している日本の貧困率


 次は、貧困に視点を移してみたいと思います。日本の相対的貧困率は、30数カ国が集まっている経済協力開発機構(OECD)の中では常にワースト5あたりをうろうろしています。そして、子どもの貧困率は6人に1人です。片親の子どもの貧困率はOECDの中ではダントツにワースト1です。

 また、子どもの貧困は連鎖し、貧困を固定化させます。平等に教育も受けられないという、そんな状況になっていきます。イギリス、フランス、ドイツでは、一貫して教育費無償という社会制度を整えています。

 国連の一部機関に国際労働機関(International Labour Organization、ILO)があります。ILOは1944年に第2次世界大戦以降の国際的な労働政策をどう運営すべきかという議論をアメリカのフィラデルフィアで行いました。そして、その総会の宣言が今なお、ILOの活動指針になっています。その一つに「一部の貧困は全体の繁栄にとって危険である」という文言があります。一部の貧困を見過ごすと社会全体がおかしくなるよ、ということです。肝に銘じたい宣言だと思います。


●新たな枠組みのために-1.全員参加型社会


 そのような状況の中、特にアメリカに端を発した2008年の世界同時不況あたりから、世界のあらゆるところで、あらゆる分野で、あらゆるレベルで新しい枠組みの模索が続いています。今回、私はこの新しい枠組みの模索に対して、3つのキーワードを提示したいと思います。

 1つ目は全員参...
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