社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
日本が初の世界1位!観光競争力ランキングとは
2022年5月、日本が“観光競争力ランキング(2021年度)”において、全117か国のうち初の首位となったことが報道され、大きな話題となりました。
インバウンド需要に力を注ぎ続けた国内の旅行業界にとっては何とも嬉しいニュースですが、そもそもこの“観光競争力”とは一体どういったものなのでしょうか。
観光競争力は、以下の5つの領域(サブインデックス)と、さらにそれを細分化した17項目113指標(ピラー、サブピラー)から評価されます。
【1】実現環境(安全面、衛生面など)
【2】旅行・観光政策と実現条件(価格競争力など)
【3】インフラ面(陸上・航空の交通面など)
【4】旅行・観光の需要喚起(旅行の動機付けとなる観光資源があるかなど)
【5】旅行と観光の持続性(環境配慮、オーバーツーリズム問題への対応など)
以上のうち“【5】旅行と観光の持続性”とは持続可能性と回復力(サスティナビリティとレジリエンス)に関するもので、今回のランキングから新たに加えられたものとなっています。
1位:日本(2位↑)
2位:アメリカ(1位↓)
3位:スペイン(5位↓)
4位:フランス(6位↑)
5位:ドイツ(4位↓)
6位:スイス(7位↑)
7位:オーストラリア(8位↑)
8位:イギリス(3位↓)
9位:シンガポール(9位→)
10位:イタリア(12位↑)
※カッコ内は前回(2019年)の順位と順位変化。前回の順位は、今回と評価基準を合わせた順位となっている
※ロシア・ウクライナ戦争により、ロシア、ウクライナ両国は今回のランキングから除外
前述の5つの領域のうち、日本は“【3】インフラ面”“【4】旅行・観光の需要喚起”において高評価を獲得。それぞれ領域別ランキングで世界3位となっています。中でも道路・列車など交通インフラの利便性、文化遺産や自然遺産など観光資源の豊富さ、加えて治安の良さ、清潔さが評価を押し上げ、総合評価でトップ1位となったのです。
日本が1位となるのは、2007年の調査開始以来初のこと。2位から10位までのアメリカやスペインを始めとする欧米の国々は、前回の2019年、前々回の2017年のランキングでもトップ10入りしていた常連です(※当時の評価基準による)。観光先進国である欧米諸国を抑えての1位は、まさに快挙というべきものでしょう
特にインドネシアは前回44位から32位と、全117か国中最も順位を上げたことが注目されています。さらにベトナム(52位/前回60位)は【1】【2】【3】の3つの領域においてほぼ全てのスコア値が上昇。全117か国中最もスコアを伸ばした国となりました。
ランキング全体で見ると、アジア太平洋地域20か国のうち12か国が世界の平均スコアを上回る結果となり、アジア太平洋地域諸国全体が観光立国としての歩みを進めていることがうかがえます。
最もスコアが低かったのは「価格競争力」で、117か国中96位。これは“【2】旅行・観光政策と実現条件”に属する項目で、同じく【2】に属する「旅行・観光の優先度」と「国際的開放度」もそれぞれ42位と39位と、かなり低めとなっています。特に「国際的開放度」については、トップ10の国の中で最低です。
ほか【1】に属する「人的資源と労働市場(31位)」、【5】に属する「環境面の持続可能性(38位)」・「旅行・観光需要に対する圧力と影響(41位)」もスコアが低く、他国より出遅れている形となっています。
これらのデータから、観光客と彼らを迎える事業者・地域住民ともに満足する価格設定と労働市場の改善、さらにオーバーツーリズム問題をはじめとした持続可能な観光環境の整備が、今後の日本の喫緊の課題と言えそうです。
インバウンド需要に力を注ぎ続けた国内の旅行業界にとっては何とも嬉しいニュースですが、そもそもこの“観光競争力”とは一体どういったものなのでしょうか。
ランキングは世界経済フォーラムが調査・算出
観光競争力とは、各国の観光業の競争力を数値化(スコア化)したものです。スイスのダボス会議の主催団体である世界経済フォーラムが調査し、『旅行・観光競争力レポート』で調査報告をまとめ、ランク付けしています。観光競争力は、以下の5つの領域(サブインデックス)と、さらにそれを細分化した17項目113指標(ピラー、サブピラー)から評価されます。
【1】実現環境(安全面、衛生面など)
【2】旅行・観光政策と実現条件(価格競争力など)
【3】インフラ面(陸上・航空の交通面など)
【4】旅行・観光の需要喚起(旅行の動機付けとなる観光資源があるかなど)
【5】旅行と観光の持続性(環境配慮、オーバーツーリズム問題への対応など)
以上のうち“【5】旅行と観光の持続性”とは持続可能性と回復力(サスティナビリティとレジリエンス)に関するもので、今回のランキングから新たに加えられたものとなっています。
日本は「インフラ」「観光資源」が高評価
<観光競争力総合ランキング(2021年度)>1位:日本(2位↑)
2位:アメリカ(1位↓)
3位:スペイン(5位↓)
4位:フランス(6位↑)
5位:ドイツ(4位↓)
6位:スイス(7位↑)
7位:オーストラリア(8位↑)
8位:イギリス(3位↓)
9位:シンガポール(9位→)
10位:イタリア(12位↑)
※カッコ内は前回(2019年)の順位と順位変化。前回の順位は、今回と評価基準を合わせた順位となっている
※ロシア・ウクライナ戦争により、ロシア、ウクライナ両国は今回のランキングから除外
前述の5つの領域のうち、日本は“【3】インフラ面”“【4】旅行・観光の需要喚起”において高評価を獲得。それぞれ領域別ランキングで世界3位となっています。中でも道路・列車など交通インフラの利便性、文化遺産や自然遺産など観光資源の豊富さ、加えて治安の良さ、清潔さが評価を押し上げ、総合評価でトップ1位となったのです。
日本が1位となるのは、2007年の調査開始以来初のこと。2位から10位までのアメリカやスペインを始めとする欧米の国々は、前回の2019年、前々回の2017年のランキングでもトップ10入りしていた常連です(※当時の評価基準による)。観光先進国である欧米諸国を抑えての1位は、まさに快挙というべきものでしょう
アジア太平洋地域の国々が上位へ食い込む
今回トップ10入りを果たした日本、オーストラリア、シンガポールをはじめ、アジア太平洋地域に属する国々が高スコア・高ランクとなったのも、本ランキングの特徴となっています。特にインドネシアは前回44位から32位と、全117か国中最も順位を上げたことが注目されています。さらにベトナム(52位/前回60位)は【1】【2】【3】の3つの領域においてほぼ全てのスコア値が上昇。全117か国中最もスコアを伸ばした国となりました。
ランキング全体で見ると、アジア太平洋地域20か国のうち12か国が世界の平均スコアを上回る結果となり、アジア太平洋地域諸国全体が観光立国としての歩みを進めていることがうかがえます。
日本の今後の課題は?
首位となった日本ですが、当然全ての項目のスコアが良かったわけではなく、評価が伸び悩んだ点もあります。最もスコアが低かったのは「価格競争力」で、117か国中96位。これは“【2】旅行・観光政策と実現条件”に属する項目で、同じく【2】に属する「旅行・観光の優先度」と「国際的開放度」もそれぞれ42位と39位と、かなり低めとなっています。特に「国際的開放度」については、トップ10の国の中で最低です。
ほか【1】に属する「人的資源と労働市場(31位)」、【5】に属する「環境面の持続可能性(38位)」・「旅行・観光需要に対する圧力と影響(41位)」もスコアが低く、他国より出遅れている形となっています。
これらのデータから、観光客と彼らを迎える事業者・地域住民ともに満足する価格設定と労働市場の改善、さらにオーバーツーリズム問題をはじめとした持続可能な観光環境の整備が、今後の日本の喫緊の課題と言えそうです。
<参考サイト>
・Travel & Tourism Development Index 2021(世界経済フォーラム公式HP)
https://www.weforum.org/reports/travel-and-tourism-development-index-2021/
・観光競争力、日本が初の首位 WEF調査(日本経済新聞)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR23CSE0T20C22A5000000/
・旅行・観光開発ランキング 「持続可能性」を考慮した2021年版で日本1位に -世界経済フォーラム(やまとごころ.jp)
https://yamatogokoro.jp/inbound_data/46457/
・Travel & Tourism Development Index 2021(世界経済フォーラム公式HP)
https://www.weforum.org/reports/travel-and-tourism-development-index-2021/
・観光競争力、日本が初の首位 WEF調査(日本経済新聞)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR23CSE0T20C22A5000000/
・旅行・観光開発ランキング 「持続可能性」を考慮した2021年版で日本1位に -世界経済フォーラム(やまとごころ.jp)
https://yamatogokoro.jp/inbound_data/46457/
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
物知りもいいけど知的な教養人も“あり”だと思います。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。
『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
忠犬ハチ公で哲学する…人と犬の関係から見えてくる道徳論
東大ハチ公物語―人と犬の関係(1)上野英三郎博士とハチ
東京大学大学院人文社会系研究科教授・一ノ瀬正樹氏が、海外でも有名な「ハチ公」の逸話を例に、人と犬の関係について考察する。第一回目は、ハチの飼い主・上野英三郎博士について触れ、東大とハチ公の結びつきや、東大駒場キ...
収録日:2017/04/04
追加日:2017/06/13
使えるデータで「健康のプラットフォーム」を実現しよう
産業イニシアティブでつくるプラチナ社会(3)健康産業イニシアティブ実装に向けて
「プラチナ社会」の実現には、人々の健康もその重要な指標になる。それを支える「健康産業イニシアティブ」とは、いったいどのような構想なのか。日本の弘前大学をはじめ、アジアの周辺諸国で集められるビッグデータを資源に、...
収録日:2025/04/21
追加日:2025/10/29
変人募集中…0から1を生める人、発掘する人、育てる人
エンタテインメントビジネスと人的資本経営(4)エンタメで一番重要なのは「人」
エンタメビジネスにおいて一番大切なのは「人」である。さらに、「0から1を生める」クリエイターが必須であることはいうまでもないが、そのような人材だけではエンタテインメントビジネスは成立しない。時として異能で多様なク...
収録日:2025/05/08
追加日:2025/10/28
正直とは何か――絶対的存在との信頼関係の根幹にあるもの
徳と仏教の人生論(2)和合の至りと正直
『書経』を研究する中で発見した真理について理解を深めていく今回。徳は天をも感動させる力を持ち、真の和合は神を動かす。そして、宇宙は人間のように、また人間も宇宙のように構成されており、その根底には「正直」がある。...
収録日:2025/05/21
追加日:2025/10/25
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
「習近平中国」「習近平時代」における中国内政の特徴を見る上では、それ以前との比較が欠かせない。「中国は、毛沢東により立ち上がり、鄧小平により豊かになり、そして習近平により強くなる」という彼自身の言葉通りの路線が...
収録日:2025/07/01
追加日:2025/09/25


