『食卓の世界史』で学ぶ「料理の歴史と食の物語」
いつの時代も、人間は食事をしてきました。「食」を追求する人間の情熱には驚くべきものがあります。人はパンのみにて生くるにあらず。さりとて、パンなしでは生きられません。食事は単なる栄養摂取以上のものであり、料理の背後にはその土地の地理や歴史、文化が息づいているのです。
今回ご紹介する『食卓の世界史』(遠藤雅司著、ちくまプリマー新書…
日本で唯一の「気象神社」とは?
日本の神社は、願いごとにあわせてさまざまなご利益を受けることができます。中には他にはない、変わったご利益のある神社も。今回は全国で特に珍しい、日本唯一の“お天気”に関わるご利益があるという「気象神社」についてご紹介します。
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絶対に入ってはいけない?日本の「禁足地」6選
その土地の伝承や歴史的背景から限られた人しか入れない、あるいは誰しも入ってはいけないとされている場所を「禁足地」といいます。歴史の長い日本では今でもそのような禁足地が各地に残っており、意外なことに東京の都心にも見られるのです…
人生で大切なことは『教養としての歴史小説』から学ぶ
長期化するロシア・ウクライナ紛争。その遠因は「チンギス・ハンにあり」とするのが、直木賞作家・今村翔吾氏です。チンギス・ハンはいうまでもなく13世紀最強のモンゴル帝国を建設した英雄。その支配はロシアやウクライナにも及び、もとも…
作曲者不詳の名曲たち…「仰げば尊し」も?
一度は耳にしたことがあり、さらに言えば子どもの頃に学校で習っていたり、大人になってもつい口ずさんでしまったりするようななじみ深い名曲といえば、あなたはどんな曲を思い浮かべるでしょうか。
そして、名曲も楽曲であり多くの人に…
昭和の車には「しっぽ」がついていた?
かつて、クルマのリアバンパーの下につり革を取り付けて走行、令和視点からするとかなりシュールな光景です。
昭和時代にはそんなつり革だけでなく、尻尾のようなゴムベルトが取り付けられていました。
令和の時代にあっても、「旧車っぽくてカッコいい」というようにそのエモさからか、昭和の時代に流行したカスタムとして装着走行しているケースも…
「にほん」と「にっぽん」どちらが正しいのか?
にほん国憲法と大にっぽん帝国憲法、にほん航空と全にっぽん空輸、にほん書紀とにっぽん永代蔵、にほん共産党とにっぽん維新の会、そして、東京のにほん橋と大阪のにっぽん橋……。
国名である「日本」の読み方は「にほん」と「にっぽん」…
『関東大震災』――現代まで続く「100年の呪縛」とは
1923年9月1日、今からちょうど100年前のこの日、相模湾北西部を震源とするマグニチュード7.9の大地震が発生しました。この震災は南関東から東海地方までの広範囲に甚大な被害をもたらし、被災者は約200万人、死者は10万人以上と推定されてい…
「お盆の時期」3種類あるのはなぜ?
●実は3種類ある「お盆」
ご先祖様の魂が帰ってくるとされる夏の風物詩「お盆」。この期間中に帰省して親族に会ったり、お墓参りに行ったりする方も多いでしょう。お盆の正式名称は盂蘭盆会(うらぼんえ)といい、語源は一説によるとサンス…
日本の通貨単位はなぜ「円」なのか
日本の通貨は「円」と呼びますが、そもそもなぜ「円」というのでしょうか。あまりに馴染みすぎて、考えたこともなかったという人は多いと思います。
今回は、知っているようで知らない「円」という通貨単位の歴史について、深掘りしてい…
日本はなぜ「左側通行」なのか
日本の道路で車を運転したり、自転車に乗ったりするとき、わたしたちは左側を通行することを当然のように思っています。しかし、世界を見渡してみると世界各国の7割以上が右側通行を採用しています。右側通行の身近な国としては、ヨーロッパ諸国、アメリカやカナダ、中国、韓国、ベトナムなどがあげられます。では、なぜ日本では左通行が採用されているのでし…
日本の船に「丸」という名前がつけられる理由
日本の船といえば「~丸」という名前がおなじみですよね。漁船から貨物船、クルーズ船まで、船名に「丸」がついている傾向があります。
日本人が船に「丸」とつけがちなのは、どうしてなのでしょうか。日本船に「丸」がつく理由や、ルー…
昔の1円は現在の何円相当なのか?
●お金の価値は変化し続けている
コロナ禍やロシア・ウクライナ間での戦争の影響で、物価の上昇が続いています。そうすると、同じ金額を出しても以前は買えたものが今は買えないという状態になってしまいますよね。つまり、お金の価値がどん…
ディープすぎ?日本のおもしろ博物館
現在、博物館は全国で約6,000館あるといいます。博物館といえば、美術品や文化財など国や地球規模の壮大な展示物をイメージしますが、中にはよりマニアック性を追求した、ちょっとディープなテーマを扱う博物館もたくさんあります。
今回…
金・銀じゃない!幻の「銅閣寺」は存在した!
京都の代表的な名所といえば、金閣寺と銀閣寺ですね。金、銀……とくれば銅。ならば「銅閣寺」もあっていいのではないか、という話題がしばしば上がりますが、通史上でその名を見ることはありません。
そのため、ただの都市伝説とも、幻の…
『旋回する人類学』でめぐる文化人類学の軌跡と現在地
文化人類学とは何か。イメージができそうで意外と説明するのが難しい。そんな学問ではないでしょうか。この問いに対して、一つの道しるべともいうべきものを示してくれる本があります。『旋回する人類学』(松村圭一郎著、講談社)です。
著者は岡山大学文学部准教授である文化人類学者の松村圭一郎先生で、『旋回する人類学』のなかで文化人類学を「異…
貯金箱はなぜ「豚」なのか
●貯金箱の定番といえば豚ですが…
昭和に連載が始まり、令和の現在も子どもたちに人気のギャグ漫画「あさりちゃん」。この作品を読んで育ち、今でもお気に入りという方も多いのではないでしょうか。そんなあさりちゃんは公式ツイッターで…
「日本の十大発明家」日本を変えた発明品とは
日本は世界でも有数の発明大国として知られ、これまでに数多くの発明が生まれ世界にも大きな影響を与えてきました。日本の特許制度は1885年から始まり、100周年を迎えた1985年には、特許庁が特に功績のある10人を「日本の十大発明家」として顕…
「イケメン」といわれる歴史上の人物5選
テレビやSNSでは、毎日のように「イケメン」といわれた美男子たちが世のレディたちを魅了し、世間をにぎわせています。それは現代特有のものではなく、これまでの歴史上でも同じでした。
今回は、歴史に残る「イケメン」たちを5名、ご紹…
銭湯に描いてはいけない3つの「タブー絵」
銭湯で見たことのある絵といえば、多くの人は富士山を思い浮かべるのではないでしょうか。
では反対に、銭湯で見たことのない絵、つまり銭湯に描かれていない絵といえば、どんなモチーフを思い浮かべるでしょうか。見たことのないものに…
山手線はなぜ緑?各線ラインカラーの意外な由来
世界的な大都市で東京都心を中心とした首都圏は、JR東日本の山手線を中心とした鉄道の公共交通機関も充実しています。しかしながら、充実しているということは、複雑で絡み合った路線網であるともいえます。
そこでJR東日本や「東京メトロ」の愛称で知られる東京地下鉄といった充実した路線網が展開される都市部の鉄道各社は、各線ラインカラーを採用し、…
鳥類恐竜起源説に迫る『進化の謎をとく発生学』とは?
人が文明を築くよりもはるか昔、地球を闊歩していた恐竜。往時の姿のなぞ、絶滅のなぞ、進化のなぞ…などなど、生物ロマンをかき立ててくれるこの魅力的な古代生物は、おとなから子どもまで多くの人々の好奇心をくすぐり続けています。恐竜展…
衝撃作『ソ連兵へ差し出された娘たち』揺さぶる既存の価値観
1945年夏。敗戦後の「満州国」に取り残された黒川開拓団(600名あまり)の中から、“娘たち”はソ連兵へ差し出され、「(性)接待」を強要されました。
“娘たち”が「接待」役に選ばれた条件は、(1)数え年で18歳以上、(2)未婚の女性――…
教科書には載ってない!鎌倉幕府と北条氏の真実
2022年NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」が好調のようで、脚本を務める三谷幸喜さんらしい軽妙なシーンと残酷なシーンの対比も、大いに話題になっています。とはいえ、この時代のことは、案外ご存じない方も多いはず。せっかくの機会ですから、…
満洲事変から90年、「五族協和」に命を懸けた父の真実
満洲事変が起きたのは昭和6年(1931年)9月18日。90年前ということになります。
「満洲事変は日本の侵略」。そう言い切ってしまうと、歴史の大事な教訓を見失いかねません。当時、満洲をめぐる情勢はまことに複雑であり、さらに日本の…
その時壮大な歴史ドラマがあった!『新版 ハングルの誕生』
日本のお隣の国・韓国。韓流ドラマのヒット、K-POPの人気拡大など、この20年ほどで文化的な距離はぐっと近づき、自然と韓国語を見聞きする機会も増えました。海は隔てているものの、歴史的にはお互い同じ漢字圏として発展した国。ドラマや映画を観ていて、「今の言葉、日本語の発音と似ているな」なんて思うこともありますよね。例えば「約束」は「ヤクソk(…
知られざる「平民宰相」原敬の虚像と実像に迫る
明治維新は、政治形態の大きな転換点でした。このとき、現代日本では当たり前の価値観ともいえる、民主主義や国民主権が導入されました。しかし、民主主義かつ国民主権、言い換えれば“すべての人々を相手とする政治”の実現は、容易なことで…
日本資本主義の父・渋沢栄一ってどんな人?
長らく親しんできた一万円札の顔・福沢諭吉が、2024年度に渋沢栄一に変わります。NHK大河ドラマ「青天を衝け」もスタートし、渋沢栄一の注目度はかなり上がっているようです。しかし、渋沢栄一は「何をした人?」「いったいどんな人?」と聞…
失言を防ぐための6つの「た」
失言が命取りとなる例は昔から多々ありますが、「鞘走りより口走り」とは、刀の鞘がゆるく勝手に刀身が鞘から抜け出てしまい身体を傷つける危険のある“鞘走り(さやばしり)”よりも、口をすべらせた失言の方が危険で命取りといった意味です…
「君が代」はいつから歌われているのか?
古くから日本人にはよく知られ、歌われてきた「君が代」ですが、国歌として法制定されたのは平成に入ってからという事実をご存知でしょうか。
実は「君が代」が法的な国歌として定められたのは、21世紀に近い1999(平成11)年に「国旗…
確かに微妙…「茹でる」と「煮る」の違いとは?
料理で火を通す工程には「焼く」「蒸す」「炙る」などさまざまなものがあります。中でもお湯や煮汁で火を通す工程は「茹でる」「煮る」などがありますが、はっきり何が違うのかといわれると意外と知らない人も多いのではないでしょうか。今回は「茹でる」「煮る」の違いを調べてみました。
●「茹でる」「煮る」の違い
・茹でる:水やお湯で食材を柔らかく…
再評価されつつある「明智光秀」の人間像
NHK大河ドラマ「麒麟がくる」の主人公として注目を集める明智光秀ですが、その注目のされ方は、これまでのような「稀代の反逆者」「三日天下のあわれな裏切り者」といったイメージとは少々違うようです。静岡大学名誉教授の小和田哲男氏に、再…
第二の人生を「人生を二度生きた」伊能忠敬に学ぶ
人生100年時代、第二の人生をよりよく生きるために「セカンドキャリア」をどうすべきかが注目されています。今から200年以上も前の江戸時代後半、「人生を二度生きた男」の異名をとった伊能忠敬、さらに彼をモデルとした小説を書いた現代の作…
「詩」に「志」を見出した曹操の革新性
●2つの『三国志』
中国の三国時代を舞台にした歴史小説として、『三国志』は日本でも長く読み継がれ、今なお多くの人々の心を魅了しています。吉川栄治の『三国志』のみならず、現代でも北方謙三、宮城谷昌光など多くの作家が独自の三国志…
ダ・ヴィンチのノートに隠された意外な秘密とは?
2019年は、レオナルド・ダ・ヴィンチの没後500年でした。「知の巨人」「美の巨匠」として世界中の人が認識しているダ・ヴィンチ。彼の残したノートを中心とする研究がもう100年続いていますが、その全貌は未だ解明されていないと言います。
…
モーツァルトとベートーヴェンの決定的な違い
「偉大な音楽家」と聞いて多くの人が真っ先に思い浮かべるのは、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトとルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンが双璧といってよいでしょう。どちらも不世出の天才の名を欲しいままにする音楽家ですが、玉川大学芸術学部芸術教育学科教授の野本由紀夫氏は、この2人の間には決定的な違いがあると言います。
●モーツァルト…
実は正義の人だった?明智光秀ってどんな武将?
言わずと知れた、戦国の風雲児・織田信長。今でも、日本の歴史上の好きな人物ランキングなどで、必ず名前のあがる武将です。天下人としても知られていますが、信長は天下統一を目前に、1582年の6月2日、本能寺の変で急死しました。
信…
日本に渡ったホモサピエンス、3万年前の大航海
●黒潮を越えて日本列島へ渡ったホモサピエンスがいた
人類はアフリカにいたホモサピエンスが、環境に適応しつつ大移動をして世界中に拡散した、というのが人類史の定説になっています。アジア、ヨーロッパ等各地域の旧人、原人と置き換わっ…
新元号「令和」と万葉集の記述
新しい元号が「令和」となりました。政府発表の直前までメディア上では識者やタレント、AIまで動員しての予想合戦が繰り広げられましたが、「令和」は予想外にして歓迎とお祝い気分で迎えられているようです。
●書店では『万葉集』が売り切…
弥生時代の吉備に栄えたテクノポリス
昔から、岡山県から広島県東部は「吉備(きび)」と呼ばれてきました。今回は、その吉備の弥生時代が想像以上にすごかった!というお話です。
弥生時代といえば、稲作、農耕、弥生土器……。佐賀県の吉野ヶ里(よしのがり)遺跡や、静岡県…
「思慮ある民意」はあり得るのか 政治家・大隈重信が遺したもの
●「議会政治の三恩人の一人」が大隈重信
2018年は、明治150年にあたる年として、全国各地で明治にちなむ取り組みがさかんです。そんな明治の立役者のひとりに、大隈重信がいます。大隈重信といえば早稲田大学の創設者として有名ですが、実は「議会政治の三恩人の一人」とされていることをご存知でしょうか。なんと、国会議事堂の中央広場には、初代総理大臣…
戦争の語り部を育てる―ひめゆり平和祈念資料館
2018年8月、日本は終戦から73年目の夏を迎えました。73年を経ても消えることのない、消えるどころか時がたてばたつほど深刻化する戦後問題があります。「戦争の語り部」の減少です。戦争を体験してその悲惨さを語り継ぐことのできる人が如実に…
太平洋戦争を知らない若者に語り継ぐ戦争の記録
東京都江東区、東京メトロ・都営地下鉄新宿線「住吉」駅と都営地下鉄新宿線「西大島」駅の間に、東京大空襲・戦災資料センターはあります。この地は1945(昭和20)年3月10日未明の東京大空襲により灰塵と帰した東京下町デルタ地区の一角にあり…
百人一首の歴史上、ベストの歌とは?
日本人なら誰でも知っているといって間違いのない「百人一首」。それぞれにごひいきの歌があることと思います。たとえば朝日新聞が2014年に行ったアンケートでは1555人のうち525票を集めたのが「田子の浦にうち出でて見れば白妙の富士の高嶺に…
岡倉天心が示した東洋と西洋の文化の違い
西洋と東洋の文化の違いはさまざまな局面から語られてきましたが、自然観の違いもその一つです。それはそれぞれの庭園の作り方をみてもよく分かります。日本の庭園は自然そのままの姿を写し取ったかのようなものがほとんどですが、西欧の庭園…
岡倉天心がひらいた日本近代絵画の道
岡倉天心というと、英語で『茶の本』を執筆し、日本文化の真髄を海外に知らしめた元祖バイリンガルというイメージを抱く方も多いのではないでしょうか。しかし、東京女子大学名誉教授の大久保喬樹氏は、岡倉天心をして日本の近代美術、近代絵画の進展に寄与した優れた美術運動家であると、高く評価しています。
●アーネスト・フェノロサとの運命的出会い
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学びとは何か~自分探しよりも「学びの入り口」探しを
人生100年時代といわれる今日、重要なのは「学びの入り口」だとするのは、専修大学文学部教授の貫成人氏です。貫氏は、哲学を身近なものとするため、授業のかたわら、さまざまな著書を執筆。2017年には哲学コミック『となりのカントくん』の原…
オーストラリアの歴史の鍵を握る妖獣
オーストラリアに日本の河童や座敷わらしのような妖獣がいることを知っていますか。じつはこの幻の生き物、オーストラリアの近代史において重要な役割を果たしています。ここですこしオーストラリアの文化事情に分け入ってみましょう。海外旅…
徳川時代の伊賀者はサラリーマンだった!?
グローバル化が進む昨今、ビジネスの場だけでなく、日常の場でも外国の人とちょっとしたコミュニケーション、世間話をする機会が増えてきています。そんなとき、役に立つのは忍者の知識ではないでしょうか。ハロウィンの日に渋谷駅を降りると…
2つの古代文明からみる「神殿更新」の作用
●アンデス考古学者がひもとく「神殿更新」
「式年遷宮(しきねんせんぐう)」をご存知でしょうか。一定の周期ごとに同じ神社の敷地内で新しい神殿を造営して旧神殿からご神体を移す神事をいいます。とくに有名なのが20年に一度行われる伊勢…
海外でも大人気「日本刀」の歴史とは?
近年、日本刀は国内でも海外でもブームを呼んでいます。英語圏では“Samurai Sword(サムライソード)”と呼ばれる日本刀、その魅力と歴史について、現代に鎌倉刀をよみがえらせた刀匠、松田次泰氏のお話を聞いてみました。
●日本刀は日本が生んだ日本の美術品
現在、国宝1108件のなかで約120点と圧倒的多数を占めるのが日本刀で、松田氏が最初に「日本刀…
二種類の「三国志」その違いとは?
小説はもとより、アニメや人形劇、スーパー歌舞伎などで根強い人気を誇る「三国志」ですが、実は広く知られている「三国志」は中国・明代に書かれた『三国志演義』という歴史小説に基づいています。この歴史小説に対して、正史の『三国志』が…
日本画を描くために必要な「写意」と「写生」
小さい頃の思い出の場所を大人になってから訪ねると、大変な大木と思っていた木が実はそれほどでもなかったり、ものすごく急な坂道と思っていたものが、案外ゆるやかだったりという経験を、誰しも持っていることと思います。これは、幼い時に…
福沢諭吉と対比される中国の思想家・胡適とは?
明治維新後、日本人の意識を一新させたのは福沢諭吉による『学問のすすめ』。1872(明治5)年から1876(明治9)年にかけて出版されたシリーズは合計300万部以上売れ、国民の10人に1人が買った勘定になるといいます。
そこに書かれていた…
人類の最大にして永遠の課題~隣人を愛する
●神への愛と隣人への愛
「汝の隣人を愛せよ」。キリスト教信者でなくとも、このイエスの言葉を耳にしたことはあるでしょう。上智大学神学部教授でカトリック司祭の竹内修一氏は、この言葉こそがイエスの愛の本質を表していると言います。
…
バランス感覚に長けたローマ初代皇帝アウグストゥス
英語の月名の一部がローマ皇帝に由来(July,August)しているのはよく知られたことですが、企業が資金提供をして文化・芸術活動を支援する「メセナ」。これも元をたどれば古代ローマのある人物に由来しています。その人物とはローマ初代皇帝アウグストゥスの側近ガイウス・マエケナス。マエケナスMaecenasがフランス語のmécénatに転じたのです。
●皇帝を文武…
『吾妻鏡』に読むリーダーシップのエッセンス
●謎と魅力に満ちた『吾妻鏡』
古今東西の歴史書に精通する歴史学者・山内昌之氏は、数ある歴史書のなかでも鎌倉時代の歴史を記した『吾妻鏡』を謎と魅力に満ちた書であると言います。どんな謎に満ちているのかというと、それは、この書物が…
老子の「力のメカニズム」で時代を読む
トランプ大統領の就任以来、「アメリカファースト」に続けとばかりに「自国ファースト」のオンパレードが続きますが、この「○○ファースト」について、中国古典思想に造詣の深い田口佳史氏は、老荘思想研究者ならではのおもしろい見方を示して…
戦国武将に見る「正しい裏切り」の方法
政治やビジネスの勢力争いでは「裏切り」「寝返る」といった背信行為は、憎むべきものと考えられるのが普通。現代でもそうですから、とりわけ武家社会では裏切り行為は憎むべきもの、恥ずべきことの筆頭に挙げられる、と私たちは思いがちです…
北畠親房が示した「批評」のお手本『神皇正統紀』
●「悪口」と「批評」は別もの
敢えて競合他社については貶めず、とことん自社の良い点をアピールするのが、コマーシャルの世界の基本ですが、こと政治の世界では、対立相手をやりこめようと舌戦に集中するのが最近の傾向のようです。しかし…
司馬遷の『史記』が問いかける歴史の本質
●紀伝体のスタイルを確立した司馬遷の『史記』
世にあまたある歴史書のなかでも名著として必ず名前があがるのが、中国前漢の武帝時代に書かれた司馬遷の『史記』です。司馬遷が父の遺志を受け継いで執筆したこの歴史書の特徴は、「紀伝体」という記述スタイルにあります。それまでは史実を年代順に記す「編年体」が主流だったのですが、『史記』以降、人物に…
成人の日に毎年放送されていた「国民的番組」を振り返る
日本の国民的番組と言えば、大みそかに放送される「紅白歌合戦」(以下、「紅白」)です。1951年に放送が始まり、歴代最高視聴率は第14回(1963年)のなんと81.4%、第66回(2015年)に記録した過去最低の視聴率でも39.2%に達しています。2017…
維新前夜の長州藩に「防衛」意識を育てた男
●Jアラートなき時代の国防意識
2017年8月29日朝、Jアラートが鳴り響き、日本列島全体が「北」からのミサイル危機を感じる機会が増えてきました。しかし、歴史をさかのぼれば、幕末期の黒船来航以前から国防意識を持ち、危機に備えようと考…
バルチック艦隊迎撃作戦に見る「意思決定プロセス」
東郷平八郎は、世界三大提督の一人に数えられるほど偉大なる軍人として名を馳せた人物ですが、日露戦争では連合艦隊司令官長として指揮をとりました。その時、東郷のとった作戦が、現代のビジネスや人生のさまざまな局面でどのような意思決定…
吉田松陰に学ぶ「深い読書」
「本離れ」と言われながらも、書店では相変わらず読書法の本が平積みにされています。その多くが、本の「読み方」として、いかにたくさん読むか、速く読むか、効率よく読むかという点に重きを置いたものです。
一方、かつてそうしたこと…
「知識」が造った東大寺の廬舎那仏
「仏像」といえば東大寺は奈良の大仏(廬舎那仏金銅像)を思い浮かべる方も多いと思いますが、聖武天皇(701~756年)の発願で造られたこの仏さまは、天皇の力、その財力によって造られたわけではありません。実は、民衆の「知識」があってこそ成し得たものだったのです。
●「知識」が造った東大寺の廬舎那仏
ここでいう「知識」とは、いわゆる現代の“k…
「2代目」の役割に徹した徳川秀忠
●徳川永続の境目は3代目にあり
「売り家と唐様で書く三代目」。初代が苦労して財を築いても、3代目で家も売らなければならないほど落ちぶれて、「売り家」と書いた字は金にまかせて身につけたしゃれた唐様の書体である--何とも皮肉な川柳で…
吉田松陰の『留魂録』が時代に遺したもの
●「遺書文学」の最高峰『留魂録』
歴史上の人物の遺書、最期の言葉というのは、その人生が凝縮されているようで、興味がつきません。特に日本には「辞世」というある種の文学的な形式があり、その一生の振り返り方も実にさまざまです。たと…
吉田松陰、乃木希典を育てた稀代の教育者
吉田松陰と乃木希典。幕末、明治を語るに欠かせない2人の重要人物の共通点は何か、お分かりですか? 実は2人とも、玉木文之進に教育を受けているのです。文之進は松陰の叔父で、私塾・松下村塾を立ち上げた人物でもあります。歴史上で表立っ…
尊皇の志士の気骨を示した「鉄道の父」井上勝
その技術力の高さ、そして「安全神話」を生むほどの確固たる安全性を世界に誇る新幹線、そして、日本の高速鉄道。その源には、明治時代に鉄道建設に生涯をかけた井上勝の存在があります。時に、その風貌から親しみをこめて「井上おさる」と呼…
「昭和維新」とは一体何だったのか
「昭和維新と明治維新には似ている点と違う点がある」と、上智大学名誉教授の故・渡部昇一氏は語っています。かたや徳川家を中心とした武家支配から天皇親政へと政治・経済・社会の大変革をもたらし、近代化と西洋化に向かった政治的革命。一方は、財閥や議会政治を倒し、天皇と国民が「君民一体」となる国家への改造を求めた軍部によるスローガン。こうした両…
庇護される快適より自由を求めた古代ローマ人
古代ローマの人々は「自由と寛容」を重んじた、と東大名誉教授で早稲田大学国際教養学部特任教授の本村凌二氏は言います。共和政から帝政へ向かい、広大な地域を支配した民族にはふさわしくない肩書きでしょうか。本村氏がそのように考える根拠…
愛の宗教キリスト教に「いのちの倫理」を学ぶ
キリスト教は「愛の宗教」、聖書は「いのちの書」であると言われます。聖書の記述は、現代の日本人が日常の意識のままで読んでも、なかなか腑に落ちることはなく、「読もう!」と意気込んでも、尻すぼみになることが多いのではないでしょうか…
自衛隊「自衛艦隊司令官」から学ぶ意思決定プロセス
仕事でもプライベートでも、非常に重大な意思決定を迫られた経験をお持ちの方も多いでしょう。意思決定プロセスにおいて欠かせない要因とは?状況分析はどのように行っていくのが適切か?シビアな意思決定について、第49代海上自衛隊自衛艦隊…
21世紀のいま、ローマ史を学ぶ意義とは?
「古代ローマ史を学ぶ意義は?」と問われたときに、「世界史のなかでも、特にローマ史に絞る意味は?」と問い返したくなる方は、多いのではないでしょうか。歴史を学ぶこと自体については、ドイツの鉄血宰相ビスマルクの「愚者は経験に学び、…
中国・唐の名君は対立する意見をどう扱ったか?
中国・唐代に書かれた『貞観政要』は、名君の誉れ高い皇帝・太宗(李世民)の言行録。遣唐使が日本に持ち帰って以来、「長期政権の基本について書かれている書」として読み継がれてきました。この書の中で、最も有名な一節が、太宗が臣下に、「国や組織を創るのと維持するのとでは、どちらが難しいか」と問うた時の話です。「創業」、「守成」いずれの論にも学…
昭和初期に渡部昇一氏が熱狂した「空の勇士」
2017年4月17日に亡くなられた渡部昇一氏は、専門の英語学はもとより、歴史論や社会評論で有名な論客です。1970年代半ばに記された『知的生活の方法』はベストセラーを超えて、40年後の現在も読み継がれるロングセラーとなっています。
●「…
なぜ聖徳太子は天皇にならなかったのか?
法隆寺管長・大野玄妙氏は、「法隆寺は聖徳太子と共にある」と語ります。金堂の釈迦像や夢殿の観音像は太子をモデルにしているなど、知れば知るほど太子が建てたという意味以上に、法隆寺と太子は深いつながりがあるのです。寺にある宝物は誰…
世界最古の木造建築「法隆寺」その最大の謎とは?
7世紀に創建された法隆寺の西院伽藍は、現存する世界最古の木造建築物群として、古代寺院の姿を今に伝えてくれます。1993年、姫路城とともに日本で最初に世界遺産に登録された寺院には、いくつもの謎があることでも有名。なかでも最大のミステ…
薩長同盟を結んだ「薩摩藩」と「長州藩」はどう違う?
「薩長同盟」を結び、日本の近代への道を切り拓いた薩摩藩と長州藩。セットで語られることも多い薩長ですが、片や開国しつつ幕政改革推進を主張、片やあくまでも攘夷を旨とする急進的反幕派が藩を動かします。この水と油のような2藩の違いにつ…
文明発祥の地は肥沃な土地でなく乾燥地帯だった!
古代四大文明について、歴史や地理の授業では「雨量が多く、年に数回、川が氾濫することで肥沃な土壌が生まれる。そうした土地に古代四大文明が生まれた」、このように習った人も多いのではないでしょうか。しかし、水循環システム研究の第一人者である東京大学生産技術研究所教授の沖大幹氏によれば、世界の四大文明はむしろ大河の河口付近の比較的乾燥した地…
シーザーの「賽は投げられた」の本当の意味とは?
1200年に及ぶローマ史のなかで、私たち日本人にもなじみ深い名前といえば、カエサル(英語読みではジュリアス・シーザー)をおいてないのではないでしょうか。「賽は投げられた」「来た、見た、勝った」「ブルータス、お前もか」などの名言で…
吉田松陰が3年で読んだ本の冊数がスゴイ!
●約3年で1460冊もの書物を読破した
吉田松陰と言えば、松下村塾を開いて多くの志士を育てたこと、ペリーの黒船に乗り込もうとしたエピソードや、『講孟余話』を残したことで有名ですが、あまり知られていない事実に、彼が大変な「読書家…
家康に天下を獲らせた意外な人物がいた!
●最上義光は家康率いる東軍に勝利をもたらした立役者の一人
関ケ原の戦いで、徳川家康率いる東軍がなぜ勝てたのか? 小早川秀秋の裏切り、情報戦の勝利などがよく知られていますが、実はあまり知られていない一人の立役者がいます。それ…
自衛艦隊司令官が分析するレイテ沖海戦の謎
「歴史に『もしも』は許されない」と言います。しかし、ケーススタディはその限りではありません。とりわけ意思決定プロセスを用いた分析の場合、「歴史上の人物」を素材にすることはたいへん役立つことがわかっています。
例えば、第二…
ビジネスパーソンが貞観政要から学ぶべきこと
●「失敗の研究」の書・『貞観政要』
『貞観政要』は中国唐代に編まれた皇帝・太宗の言行録です。歴史上の失敗を教訓として治世に生かすために、多くの示唆に富んだ皇帝と優秀な側近たちとの会話が収められているいわば「失敗の研究」の書。現代の中国の政治家のなかにも、長期政権をいかに築くかを学ぶためにこの『貞観政要』を読了している人が少なくないそ…
ベストセラー小説より古典を読むべき?
「読書するなら、古典を読みなさい」とよく言われるけれど、古典は難しくてなかなか読む気にならない…。そう思っている方々に朗報だ。
山内昌之氏(東京大学名誉教授、明治大学特任教授)によれば、松下村塾を開き、高杉晋作や伊藤博文を育…
なぜ歴史を学ぶと良いのだろうか
ビジネスのヒントを得るために、人生の糧として、あるいは好奇心の赴くままに、“歴史”を学ぶ人は多い。一方、それよりも現在を知った方がよいといった理由で、歴史を軽視する人もいる。人さまざまだ。
では、なぜ歴史を学ぶと良いのだろう…
名言には「パクリ」が多い!?
「パクリ」批判が厳しい世の中、ネット上では「元ネタ探し」もブームになっているようです。でも、そもそも「パクリ(ぱくり)」ってちゃんとした日本語?まずは辞書を調べてみることにしました。
●「ぱくり」の現代用法が生まれたのは20…
昭和の偉人たちが傍らにおいた「座右の書」がすごい
極貧から這い上がり政界に進出、「コンピューター付きブルドーザー」「今太閤」との異名を取り、「日本列島改造論」で高度成長期の日本をリードした内閣総理大臣、田中角栄。東京急行電鉄(東急)を創業し、運輸通産大臣も務めた五島慶太。
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大迫力!一度は見てみたい「巨大仏」&「巨大観音」
テレビではいま、お坊さん、お寺の内情をテーマにしたバラエティ番組が放送されており、さらには、お坊さんが主人公というドラマも登場した。にわかに、仏教が脚光を浴びている格好だ。
だからというわけでもないが、週末のレジャーとして、「巨大仏」「巨大観音」巡りをぜひオススメしたい。何よりまず、その圧倒的な大きさが単純に面白い(というのは…
怒りで死ぬ?そんなバカな!
世界史の教科書に出てくる「憤死」という単語をご存じだろうか。教皇グレゴリウス7世は破門したハインリヒ4世に攻められて憤死し、周瑜は諸葛孔明の挑発的な手紙に憤死した。憤死とは、「憤って死ぬこと」、つまり、心底怒り、失意のうち…
歴史は日本人がつくった!?~中国発祥ではない熟語集
昔の人は、和漢洋、つまり日本、中国、西洋の知を書物を通してバランスよく取り入れてきた。
その顕著な例が、数々の優れた翻訳語である。
たとえば「新聞」「演説」「哲学」「社会」「資本」「思想」など、現代の日本語にな…
誰もがおちいる単純な考え方「二元論」にご注意!
「二元論」とはどんなものかご存知だろうか?
ものごとは、あい反する2つの原理や要素から構成されていると考えることだ。例えば「善と悪」や「精神と物体」などだ。
中東研究で有名な歴史学者の山内昌之氏は、歴史を語る…
歴史家から見た中国・韓国の歴史認識とは?
2015年の夏に予定されている安倍晋三総理大臣の戦後70年談話発表に向け、有識者による「21世紀構想懇談会」が発足。山内昌之氏は、そのメンバーとしてこれまで会合を重ねてきた。
山内氏は、中国唐代の歴史家、劉知幾(りゅ…
中国古典思想は、最強の21世紀ビジネス本!
職場での抜擢はうれしいが、リーダーになればなったで悩みは増える。あちらを立てればこちらが立たぬ。「どこかに解決法が転がっているはず」と、日夜ヒントを求めるみなさまに朗報あり!
根本的な問題解決の方法として、アメリカのビジネススクールで活用されている書がある。それが中国の古典思想だと、老荘思想研究者にして、「東洋思考による経営」を提…