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はじまる?週休3日の時代
2025年度から、国家公務員や東京都庁職員では週休3日制が導入されています。またこれらに先駆けて茨城県や千葉県、大阪府などではすでに週休3日制を導入しています。ほかの自治体でも検討しているところも複数あり、この流れは拡がっているようです。国家公務員に関してはこれまでにも育児・介護などの事情がある場合選択的週休3日制が実施されていたので、2025年度からは全体に拡大されたということのようです。
民間企業についてみてみましょう。令和6年(2024年)の厚生労働省の就労条件総合調査によれば、現状で「何らかの週休2日制」を採用している企業は90.9%(前年85.4%)、「完全週休2日制」は56.7%(前年53.3%)となっています。また「何らかの週休3日制」を採用している企業は1.6%、「完全週休3日制」では0.3%です。
「完全週休2日制」について、従業員が1000人を超える企業では72.3%が採用しており、「300人~999人」では66.9%、「100人から299人」では61.4%、「30から99人」では53.6%といったように、規模が大きくなればなるほど「週休2日制」が拡がっています。この現状からすると今後、民間企業が幅広く週休3日制を導入するには、もう少し時間がかかるのかもしれません。
「給与維持型(労働時間減・給与維持)」
出勤日の就業時間はこれまでの週休2日制の場合と変わらずに休みが1日増えます。総労働時間は減少しますが給与水準が維持される週休3日制です。ただしこれを実現するためには、生産性の向上が不可避となります。
「総労働時間維持型(労働時間・給与ともに維持)」
週休2日制と同じ総労働時間を維持しながら「週休3日制」を目指します。つまり1日の労働時間を増やします。たとえばこれまで1日8時間労働で週5日40時間労働だった場合、1日10時間労働で週4日にすればこれまで同様、週40時間の労働時間を確保できます。
「給与減額型(労働時間・給与ともに削減)」
休日が増え労働時間が減少する分、給与を減額する「週休3日制」です。例えば1日8時間労働で週5日40時間労働から1日8時間週4日32時間労働になる場合、労働時間は元の8割なので、給与を80%支給とします。この場合もちろん給与が減ることについて、従業員の理解を得る必要はあります。
民間企業では、塩野義製薬が2021年10月から選択的週休3日制を導入し副業許可基準も見直しました。給与は所定労働時間に応じた金額、つまり上記三つ目の「給与減額型(労働時間・給与ともに削減)」に該当します。ほかにもファーストリテイリングは「1日10時間の週4勤務」の変形労働制を導入しています。またみずほフィナンシャルグループもこの形に近い週休3日制を導入しています。
問題点としては、チームメンバーが揃う機会が少なくなることでコミュニケーション不足になるリスクがある点です。認識のズレや誤解により憶測がうまれたりして、業務遂行が滞ったり、問題が起きるリスクがあります。また上司が部下の労働状況を見る機会が減ることで、適正な労働評価が下せなくなる可能性もあります。さらに特に選択制の場合は人事管理が複雑になります。こういったデメリットに関しては新たな仕組みが必要となるかもしれません。
週休3日制にだけでなく、フレックスタイム制やリモートワークを導入したりすることで、総労働時間を減らすことは可能かもしれません。また専門性を重視したジョブ型雇用にすることによって生産性を上げることも考えられます。現在はこういった試みの実例を積み重ねている時です。この先はこの実績の積み重ねにより、それぞれの企業ができることを検討することが可能になると考えられます。つまり、現在先んじて行われている国家公務員や自治体などの事例が一般に共有されていくことで、週休3日制の普及可能性はより高まっていくと思われます。
民間企業についてみてみましょう。令和6年(2024年)の厚生労働省の就労条件総合調査によれば、現状で「何らかの週休2日制」を採用している企業は90.9%(前年85.4%)、「完全週休2日制」は56.7%(前年53.3%)となっています。また「何らかの週休3日制」を採用している企業は1.6%、「完全週休3日制」では0.3%です。
「完全週休2日制」について、従業員が1000人を超える企業では72.3%が採用しており、「300人~999人」では66.9%、「100人から299人」では61.4%、「30から99人」では53.6%といったように、規模が大きくなればなるほど「週休2日制」が拡がっています。この現状からすると今後、民間企業が幅広く週休3日制を導入するには、もう少し時間がかかるのかもしれません。
週休3日制の代表的な3つの形
週休3日制は大きく3つのタイプが考えられます。それぞれについて少し詳しく見てみましょう。「給与維持型(労働時間減・給与維持)」
出勤日の就業時間はこれまでの週休2日制の場合と変わらずに休みが1日増えます。総労働時間は減少しますが給与水準が維持される週休3日制です。ただしこれを実現するためには、生産性の向上が不可避となります。
「総労働時間維持型(労働時間・給与ともに維持)」
週休2日制と同じ総労働時間を維持しながら「週休3日制」を目指します。つまり1日の労働時間を増やします。たとえばこれまで1日8時間労働で週5日40時間労働だった場合、1日10時間労働で週4日にすればこれまで同様、週40時間の労働時間を確保できます。
「給与減額型(労働時間・給与ともに削減)」
休日が増え労働時間が減少する分、給与を減額する「週休3日制」です。例えば1日8時間労働で週5日40時間労働から1日8時間週4日32時間労働になる場合、労働時間は元の8割なので、給与を80%支給とします。この場合もちろん給与が減ることについて、従業員の理解を得る必要はあります。
千葉県や民間企業での取り組み事例
例えば千葉県では2024年6月から選択的週休3日制が実施されています。これによると、休日分の労働(7時間45分)はほかの出勤日に振り分けられ、朝9時から午後8時頃までの勤務になるとのこと。この場合上記二つ目の「総労働時間維持型(労働時間・給与ともに維持)」となります。総労働時間と給与は変わりません。民間企業では、塩野義製薬が2021年10月から選択的週休3日制を導入し副業許可基準も見直しました。給与は所定労働時間に応じた金額、つまり上記三つ目の「給与減額型(労働時間・給与ともに削減)」に該当します。ほかにもファーストリテイリングは「1日10時間の週4勤務」の変形労働制を導入しています。またみずほフィナンシャルグループもこの形に近い週休3日制を導入しています。
週休3日制の広がりによって実現できること
週休3日制はワーク・ライフ・バランスの向上に役立ちます。特に育児や介護を行いながら働く人にとって大きな助けとなります。またそれだけでなく、自分の時間を持ちながら働くことは、労働者がリフレッシュできる時間の確保につながり、労働効率の向上に役立つ可能性があります。また、この試みによって、企業の離職率が下がる事も考えられます。問題点としては、チームメンバーが揃う機会が少なくなることでコミュニケーション不足になるリスクがある点です。認識のズレや誤解により憶測がうまれたりして、業務遂行が滞ったり、問題が起きるリスクがあります。また上司が部下の労働状況を見る機会が減ることで、適正な労働評価が下せなくなる可能性もあります。さらに特に選択制の場合は人事管理が複雑になります。こういったデメリットに関しては新たな仕組みが必要となるかもしれません。
週休3日制にだけでなく、フレックスタイム制やリモートワークを導入したりすることで、総労働時間を減らすことは可能かもしれません。また専門性を重視したジョブ型雇用にすることによって生産性を上げることも考えられます。現在はこういった試みの実例を積み重ねている時です。この先はこの実績の積み重ねにより、それぞれの企業ができることを検討することが可能になると考えられます。つまり、現在先んじて行われている国家公務員や自治体などの事例が一般に共有されていくことで、週休3日制の普及可能性はより高まっていくと思われます。
<参考サイト>
令和6年就労条件総合調査 結果の概況|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/24/index.html
じわり広がる週休3日制 導入が進む背景とは?|ProSTAFF Cloud
https://www.prostaffcloud.jp/knowledge/250402labor-management_article.html
「週休3日制」とは? メリットとデメリットや導入企業事例を紹介|HRプロ
https://www.hrpro.co.jp/series_detail.php?t_no=4291
令和6年就労条件総合調査 結果の概況|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/24/index.html
じわり広がる週休3日制 導入が進む背景とは?|ProSTAFF Cloud
https://www.prostaffcloud.jp/knowledge/250402labor-management_article.html
「週休3日制」とは? メリットとデメリットや導入企業事例を紹介|HRプロ
https://www.hrpro.co.jp/series_detail.php?t_no=4291
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