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日本付近の4つのプレートが地震大国の原因

地震を知って防災に生かす(2)日本はなぜ地震国なのか

纐纈一起
東京大学地震研究所 名誉教授/理学博士
概要・テキスト
世界有数の地震国、日本。その原因はどこにあるのだろうか? そして、東日本大震災が教えてくれる教訓とは? 東京大学地震研究所・纐纈一起教授が、写真や地図などを交え、明快に解説する。(第2話目)
時間:11:46
収録日:2015/12/22
追加日:2016/02/22
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≪全文≫

●世界の震源分布とプレート境界のメカニズム


 今回は、日本はなぜ地震国なのかというお話をして、ぜひ皆さんにいろいろ考えていただきたいと思います。

 こちらは、世界地図にここ30年ほどの地震を小さな点で描いたものです。点の色は、地震の起こった深さを表します。赤に近い暖かい色ほど浅い地震で、青に近い冷たい色ほど深い地震であることを示します。

 見ていただくと、地震の起こる場所が線状に並んでいることが分かります。この線が何を意味するのかということが、1960年代から70年代にかけて地球科学で非常に盛んに研究されました。その結果、分かったのは次のことです。

 第1回でご説明したように、地球の表面はプレートと呼ばれる岩盤で覆われ、その境目に地震が起こることになっています。プレートが全部同じ方向に動いていれば何事も起こりません。しかし、それぞれのプレートが勝手な方向に動くと、プレートの境目で衝突が起こります。その衝突により地震が起こる。そのようなメカニズムであるため、地震はプレート境界で起こるということになります。


●世界の地震の約10パーセントが日本で起こるメカニズム


 では、日本の付近はどうでしょうか。図を見ていただくと、日本付近にはこれだけたくさんのプレート境界があります。

 関係するプレートとしては、太平洋プレートとフィリピン海プレート、それに大陸のプレートであるユーラシアプレートとオホーツクプレートで、この四つが絡む境界がそれぞれにあるわけです。地震が起こるのは境界ですから、それがたくさんある日本は、結果的に地震国になっているというメカニズムです。

 世界の地震の約10パーセントが、日本付近で起きています。日本の領域が占める面積は、地球の表面積の1パーセント程度ですから、単純計算すると、世界平均の約10倍の地震が起こるということです。

 先ほどの世界地図でご覧いただいた海のプレートは、大陸のプレートに向かって年間数センチの速さで進んでいます。そうすると、そのプレートの運動に伴って、日本列島にもひずみがたまるという現象が起こります。

 この図は、国土地理院という機関が、GPSの高性能な観測機械を使って、日本列島にたまっていくひずみの形を実際に観測した結果を、かなり誇張して表現したものです。

 40万倍誇張しているために、日本列島は大変な...
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